農村地域への産業の導入に関する基本方針の変更の公表について(厚生労働省・農林水産省・経済産業省)
2023年9月11日

 農村地域への産業の導入の促進等に関する法律(昭和46年法律第112号)第3条第3項の規定に基づき、農村地域への産業の導入に関する基本方針を次のように変更したので、同条第5項の規定に基づき公表する。

令和5年9月 11 日

厚生労働大臣 加藤 勝信
農林水産大臣 野村 哲郎
経済産業大臣 西村 康稔

1 農村地域への産業の導入の目標

 (1) 農村地域における土地利用に関する計画等による農村振興の方向に即し、地域社会との調和、公害の防止等の環境の保全、農村地域の景観との調和及び農業を始めとする地域産業との協調に留意しつつ、農村地域に成長性と安定性のある産業の導入を図る。

 (2) 導入産業の業種については、市町村が定める実施計画において具体的に記載されることとなるが、当該業種の選定の考え方については、以下の考え方に即しつつ、都道府県の実情を踏まえて基本計画に記載することとする。

  ア 地域における就業効果が見込め、地域の農業者の安定した就業機会が確保される業種であって、産業の立地・導入に伴う土地利用調整により地域の農地の集積・集約化等が図られるものなど、農業と導入産業との均衡ある発展が図られる業種を選定すること。

  イ 地域の実情を踏まえるとともに、地域社会との調和が図られるよう配慮して業種を選定すること。

  ウ 公害のおそれがない業種を選定するなど、環境保全に配慮すること。

  エ 農家レストラン、農泊等の地域資源を活用した産業については、農村全体の雇用と所得向上を図る上で特に重要であるため、その積極的な導入が促進されるよう業種の選定に当たっては配慮すること。

  オ 導入の対象となる「産業」には農業用施設において営まれる農業も含まれるため、その導入を目的とする場合には農業を業種として選定することも認められること。

 (3) 産業の立地については、国土利用計画、土地利用基本計画、都市計画、農業振興地域整備計画等の各種の土地利用計画との調整を行った結果、当該地域の実施計画に定める産業導入地区において行われるよう誘導することとし、各種の土地利用計画との調整の方針等について、基本計画において具体的に記載することとする。

   なお、産業導入地区の区域は、地番単位で設定することとする。

 また、市町村においては、過去に造成された工業団地及び再生利用が困難な荒廃農地を含め活用されていない土地が存在する場合には、産業導入地区の区域を定める際に、その活用を優先することとする。

 また、市町村においては、こうした土地について把握を行うとともに、把握した情報を体系化し、事業者に適切に開示することが望ましい。

 産業導入地区への立地を想定していた事業者が立地を取りやめたり、立地した事業者がその後すぐに撤退する等の事態が生じないよう、具体的な立地ニーズや事業実現の見通しを踏まえて区域を設定する。

 やむを得ず産業導入地区に農用地を含める場合においては、市町村が産業導入地区の区域を設定する際に行うべき調整について、下記の考え方に基づく具体的な方針を、基本計画において、地域の実情を踏まえて定めることとする。

  ア 農用地区域外での開発を優先すること

 市町村の区域内に、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく市街化区域又は用途地域が存在する場合には、これらの地域内の土地を優先的に産業導入地区の区域として設定するなど、農用地区域外での開発を優先すること。

  イ 周辺の土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障が生じないようにすること

    農用地において導入産業の用に供する施設を整備することにより、

   ・ 集団的まとまりを持つ農用地の中央部に他の使途に用いられる土地が介在し、高性能農業機械による営農への支障が生じる

   ・ 小規模の開発行為がまとまりなく行われ、農業生産基盤整備事業の実施や、農地中間管理事業等の農地流動化施策の推進への支障が生じる

   ・ 農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)第19条第1項に規定する地域計画(以下「地域計画」という。)の区域内に他の使途の土地が介在することとなり、当該地域計画に定められた農作物の生産振興や産地形成、当該地域計画に定められた効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積及び農用地の集団化に関する目標等の地域計画の達成に支障が生じる

など、土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障が生じる事態が起きないようにすること。

  ウ 面積規模が最小限であること

 産業導入地区の区域として設定する面積が、事業者の立地ニーズを踏まえ、導入産業の用に供するために必要最小限の面積であること。

  エ 面的整備(区画整理、農用地の造成、埋立て又は干拓)を実施した農用地を含めないこと

 土地改良事業等で、区画整理、農用地の造成、埋立て又は干拓に該当するものを実施した農用地について、当該事業の工事が完了した年度の翌年度の初日から起算して8年を経過していないものは、産業導入地区の区域に含めないこと。

  オ 農地中間管理機構関連事業の取組に支障が生じないようにすること

 土地改良法(昭和24年法律第195号)第87条の3第1項の規定により行う土地改良事業(農地中間管理機構関連事業)として農業者の費用負担を求めずに事業を実施した農用地について、農地中間管理権の存続期間中は産業導入地区の区域に含めないこと。また、農地中間管理機構関連事業を行う予定のあることが公にされている農用地についても、産業導入地区の区域に含めないこと。さらに、農地中間管理権の存続期間が満了した農用地についても、上記アからウまでの考え方に基づき、やむを得ない場合でなければ産業導入地区の区域に含めないこと。

 (4) 既存企業を含めた地域産業の振興を図る観点から、導入企業と既存企業との交流を促進する。この場合において、既存企業の技術力、製品開発力、販売力等の向上や環境の保全に留意し、バイオマスを活用したエネルギーの開発利用、地域住民・企業等自らによる起業化又は新分野進出への支援、産業導入地区の就業環境及び生活環境の改善、企業相互又は企業と試験研究機関等の公的機関との連携関係の構築を通じた人、物、技術等の広域的かつ濃密な交流の促進等を図り、地域の特色を生かした産業の導入に努める。

 また、導入企業は、快適な職場環境及び生活環境の確保、周辺地域の環境との調和、緑地等の施設の地域への開放を行うなど、従業員又は地域住民からの要請にも応えるよう配慮する。

 (5) 労働力需給等の地域における雇用の動向を踏まえた計画的な企業導入に努めるとともに、導入産業における労働力の確保に当たっては、在宅通勤圏の広域化等を踏まえ、公共職業安定所や関係市町村の連携の下に、地域の労働力需給が量的にも質的にも整合性のとれたものとなるよう努める。

 この場合において、高年齢者の雇用・就業機会の確保、女性の職業能力発揮のための条件整備、若年者等の地元就職の促進に配慮する。

2 農村地域に導入される産業への農業従事者の就業の目標

 農村地域への産業の導入に伴い増加する労働力需要に対しては、導入産業の特質に応じ、農業以外の産業に就業を希望する農業従事者(その家族を含む。以下同じ。)からの労働力を重点的に充てることにより、これらの者の安定した就業機会の確保を図る。

 この場合において、都道府県及び市町村は、地域社会の年齢構成、男女比率、労働力需給の状況等を勘案しつつ、農業従事者の意向を把握し、農業以外の産業に就業を希望する中高年齢者就業の円滑化、日雇・出稼ぎ等の不安定就業者の地元における安定就業の促進並びに新規学卒者及びUIJターン等の移住希望者を始めとする若年層の定着化を図る。

 また、労働条件面等で若年層に魅力ある雇用機会づくりに配慮するとともに、適正な労働条件の確保、労使関係の安定促進及び労働者の安全と健康が確保される職場環境の整備並びに田園回帰の動きに対応した人材の地方還流の円滑化に努める。

3 農村地域への産業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標

 (1) 農村地域及びその周辺の地域における自然的、経済的、社会的諸条件、需要の動向及び地域の特性に対応した農業生産の方向を考慮し、食料・農業・農村基本計画(令和2年3月31日閣議決定)や農林水産業・地域の活力創造プラン(平成25年12月農林水産業・地域の活力創造本部決定、令和4年6月改訂)で示された政策の方向に即し、農業構造の改善を図るよう努める。

 (2) この場合において、農村地域への産業の導入により農業従事者、特に不安定な就業状態にある農業従事者の地元における安定就業を促進するとともに、農業経営基盤強化促進法第13条第1項に規定する認定農業者等の地域の中核的な農業経営者たる担い手への農用地の面的なまとまりのある形での利用の集積及び農業経営の法人化を図ることにより、国際化に対応し得る生産性の高い農業の確立に努める。

 また、農業を支援する機能を有する産業と地域の農業が相互に補完しあい、農産物の高付加価値化等により農業の振興を図ることにも配慮する。

 (3) 農業の構造改革の喫緊性が一層高まる中、農地の集積・集約化が図られるよう、農業経営基盤強化促進法第6条第1項の規定に基づき市町村が策定する基本構想の内容や、地域計画の内容等に留意することが必要である。

 (4) さらに、農業従事者の他産業への就業動向に即しつつ、農業生産基盤の計画的整備を重点的かつ効果的に推進するとともに農村地域における定住条件の整備を一体的に推進することにより、活力と潤いのある農村社会の建設を進める。

4 1から3までの目標を達成するために必要な事業の実施に関する事項

  1から3までの目標を達成するため、地域の実情に応じ、次により必要な事業を実施する。

 (1) 施設の整備等

 農村地域への成長性と安定性のある産業の導入を促進するためには、事業者のニーズを的確に把握しながら産業基盤の整備や生活基盤を始めとする定住条件の整備を促進することが肝要であり、次の施策の実施に努める。

 この場合において、本制度に基づく税制、融資、予算等の支援措置や、業種横断的な設備投資に係る税制上の措置等の活用を図り適切な産業施設の立地を図る。また、地域再生法(平成17年法律第24号)、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律(平成19年法律第40号)、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成19年法律第48号)、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(平成20年法律第38号)、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(平成22年法律第67号)等に基づく施策との連携に努めるとともに、農村地域の持つ良好な環境を生かしつつ定住条件の整備を進め、これらを通じてゆとりと豊かさを実現できる産業・生活空間の形成に努める。

 また、市町村単位で整備することが困難なものについては、都道府県、関係市町村等の連携により効率的に整備を進めるよう配慮する。

  ア 産業基盤の整備

 地域社会との調和に配慮し、地域の特色を生かした産業が導入されるよう、導入産業の特性及びニーズを十分に把握の上、適切な立地条件を有する産業導入地区の計画的な設定を促進しつつ、産業基盤の整備を促進することが重要である。

 こうした観点から、周辺地域を含む地域全体の産業の立地動向、市場への近接性、交通インフラの整備状況等を勘案の上、産業の立地・導入に必要な用地や道路等の整備を計画的に進めるとともに、関係機関・団体等の協力を得て、産業導入地区を含む農村地域及びその周辺の広域的な地域にわたる技術者の確保、関連企業との交流・連携等を進めるよう努める。

  イ 定住等及び地域間交流の条件の整備

 産業の円滑な導入を図るとともに、定住等及び地域間交流の促進に資するため、農村地域における定住等及び地域間交流の条件の整備を計画的に進める。

 この場合において、定住等及び地域間交流の条件の整備は、複数の市町村からなる広域的な視点も考慮し、産業の導入が十分に行われておらず安定した就業機会が不足している地域に重点を置いて実施されるよう配慮する。また、地域社会のニーズを把握して、生産基盤と生活基盤との一体的整備及び文化の振興に努める。

 (2) 職業紹介の充実等

 導入産業に農業従事者のほか、地域住民、地域への移住者等が円滑に就業することを促進するため、次の施策を実施する。

  ア 雇用情報の収集及び提供

 導入企業の労働力需要と地域の労働力供給との円滑な結合を促進するため、地域の労働市場の動向、導入企業の労働条件、職業内容等の雇用に関する情報を収集し、企業、農業従事者等への提供に努める。

  イ 職業紹介等の充実

 農業従事者のほか、地域住民、地域への移住者等がその希望及び能力に応じて導入産業に就業できるようにするため、在宅通勤圏の広域化に配慮して職業紹介機能の充実を図り、きめ細かい職業相談、職業指導及び職業紹介を実施するとともに、雇用の安定等に関し導入企業への指導援助に努める。

 この場合において、地元農業従事者、特に中高年齢者が導入産業へ円滑に就業できるようにするため、職業転換給付金制度、地域雇用開発助成金制度等の積極的な活用に努める。

 また、労働者の雇用の安定を図るため、雇用安定事業による助成等の雇用環境の整備に努めるとともに、労使関係の安定促進等に必要な措置を講ずる。

 さらに、労働力需給の不適合の解消に資するよう、雇用管理の改善や求人・求職条件面での指導を実施するとともに、高年齢者の雇用・就業機会の確保、女性の職業能力発揮のための条件整備に努めるほか、若年者等の地元就職に資するよう相談・援助に努める。

  ウ 職業能力開発等の推進

 職業紹介との連携を密にしつつ、導入産業への中高年齢者等の円滑な就業を促進するため、職業転換給付金制度等の活用と相まって既存の公共職業能力開発施設、企業内の職業訓練に対する助成制度等を活用することにより、機動的な職業訓練と職場適応訓練を実施する。

 この場合において、技術革新や情報化の進展に留意しつつ、地域や導入企業のニーズ等に応じた公共職業訓練の弾力的な実施、新技術に関する研修の充実及び国内産業の高付加価値化や新分野への事業展開を担う人材の育成に資する職業訓練や自己啓発等の能力開発に対する支援対策に努めるとともに、企業において雇い入れた農業従事者等の能力開発が継続的に行われるよう、適切な指導援助に努める。

 (3) 農業構造の改善

   農村地域への産業の導入と相まって、農業構造の改善を図るため次の施策を実施する。

  ア 担い手の育成・確保

 効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造を実現するため、市町村における地域計画の策定を通じて地域の話合いと合意形成を促しつつ地域における担い手を明確化した上で、農地中間管理機構の活用等を通じ、担い手に対する農地の集積・集約化を進め、担い手を中心とした地域農業の早期確立を図る。

 また、農地の流動化の推進に当たっては、導入された企業への雇用期間が長い者や役職等の要職に就いている者等の安定的な就業機会が確保されている者からの農地提供を促進するなど、重点的かつ効果的な実施に努める。

  イ 農業生産基盤及び農業施設の整備

 効率的かつ安定的な農業経営の育成を図るため、その基礎的条件である農業生産基盤の計画的な整備を図ることとし、特に農地の集積・集約化に資する農地整備事業と農地中間管理機構との連携の更なる強化や農地の大区画化・排水改良等の基盤整備を一層推進するとともに、農業生産近代化施設及び農産物の流通加工施設の整備を推進する。

5 その他農村地域への産業の導入に関する重要事項

 (1) 環境の保全等

 実施計画の策定及びこれに基づく具体的な産業の導入に当たっては、必要に応じて環境に与える影響を調査検討し、優れた自然の保全及び森林、農地、水辺地等における自然環境の維持・形成に努めるとともに、公害の防止はもとよりエネルギー利用の効率化、健全な水循環機能の保全、適正なリサイクル・廃棄物処理等により、大気環境、水環境、土壌環境等への負荷をできる限り増加させないよう努める。

 また、交通量の増加に伴う道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るとともに、道路の交通に起因する障害の防止に配慮する。

 (2) 農村地域の活力の維持増進への配慮

 若年層の流出、高齢化の進行等により活力の低下がみられる地域については、地域社会の活力の維持増進にも配慮して、人口の流出の抑止や新規学卒者等の若年者の地元就職及びUIJターン等の移住希望者の雇用機会の確保に資するよう、産業の導入や定住条件の整備、職業安定機関による職業紹介等を総合的に進める。

 (3) 過疎地域等への配慮

 過疎地域、山村地域等への産業の導入に当たっては、これらの地域の振興に関する施策との連携を積極的に図り、その円滑な実施が図られるよう努める。

 (4) 農業団体等の参画

 実施計画の策定の段階から農業団体、商工団体等の関係団体の参画を図り、産業の導入、農業構造の改善を促進するための措置等について、その円滑な実施が図られるよう努める。また、導入後も企業が円滑に定着できるように、これらの団体の参画により諸問題の解決が図られるよう配慮する。

 (5) 関係部局間の十分な連携等

 農村地域へ導入された企業と地域社会との相互理解を深め、活力ある地域社会の形成を図るため、都道府県は、市町村、導入企業、農業団体、商工団体、試験研究機関、教育機関等の連絡調整体制の整備に努める。

 また、本制度は産業導入促進、就業促進及び農業構造改善を一体として推進するものであることを踏まえ、都道府県及び市町村においては、本制度の運用に当たっては、商工関係部局と農林関係部局を中心とした関係部局間の密接な連携が重要であることに留意して、施策の推進や情報の共有等に努めるものとする。

 (6) 企業への情報提供等

 都道府県及び市町村においては、産業導入地区に関する情報、企業に対する支援措置等について、企業等に周知徹底を図るとともに、産業導入地区への産業の導入のあっせん活動を積極的かつ継続的に進める。また、立地後の企業についてもその定着化を図るために必要な指導その他の援助を行う。

 これらを効果的に行うため、農村地域への産業の導入を円滑に推進するために農林水産省及び各地方農政局に設置された「農村地域産業導入支援施策活用窓口」の活用を図るとともに、農村地域への産業の導入に関する情報の収集及び提供、地方公共団体と企業との間に立ったあっせん活動、立地企業の情報交換・交流促進等を行う一般財団法人日本立地センター、一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構等の活用に努める。

 その際、企業等が活用可能な施策については、関係府省横断的な施策や地方公共団体が独自に講じている企業立地・設備投資促進に係る施策が多岐にわたることから、上記の窓口や関係機関の活用・連携を図りながら、企業に対して適時適切に積極的な情報提供等を行うものとする。

 (7) 遊休地解消に向けた取組

 既存の産業導入地区内において、過去に造成された工業団地、再生利用が困難な荒廃農地等の活用されていない土地が存する場合には、当該土地の活用を図るものとする。

 (8) 撤退時のルールについて

 立地企業が撤退する場合には、撤退後の跡地の有効活用が可能となるよう、時間的余裕をもって可能な限り早期に市町村に報告する等の撤退時のルールを市町村と企業との間で企業の立地時に定めておくことが望ましい。

 (9) 実施計画のフォローアップ体制の確保

 本制度の運用については、その状況が適切にフォローアップされ、目標の達成を始め適切な制度運用の確保が図られることが必要である。

 このため、市町村は、産業導入地区、当該区域に係る土地利用の調整の状況、導入産業の業種及び規模、導入産業への農業従事者の就業の目標、産業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標、産業導入地区内の遊休地の解消状況、企業撤退時のルールづくり等について、当該市町村自らが定期的に確認するとともに、当該確認の結果を国及び都道府県に共有することが望ましい。

 確認の結果、遊休地の発生を始め産業の導入の促進が適切に進展していない場合や、農業従事者の就業の目標・農業構造の改善に関する目標の達成が明らかに見込まれないと認められる場合などにおいては、市町村は、その理由や今後の方策等について検討を行い、事業計画の変更、縮小及び廃止を含め制度運営の改善等に活用することが望ましい。この場合においても、当該検討結果等について、国及び都道府県に共有することが望ましい。

 都道府県及び市町村は、農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律(平成29年法律第48号)の施行前に既に定められた基本計画及び実施計画についても、フォローアップ体制を確保することが望ましい。

   附則

 この基本方針の変更は、令和5年9月11日から適用する。