労働組合法第十八条に基づく申立てに係る決定について(厚生労働省)
2023年4月11日

 労働組合法(昭和24年法律第174号)第18条第1項の規定に基づき、令和4年7月29日付けでヤマダホールディングスユニオン中央執行委員長三浦広和及びUAゼンセン デンコードーユニオン執行委員長三浦聡一から申立てのあった、令和4年5月13日付けでヤマダホールディングスユニオン及びUAゼンセン デンコードーユニオンと株式会社ヤマダデンキ及び株式会社デンコードーとの間に締結した労働協約(以下「本件労働協約」という。)の地域的拡張適用について、同法第18条第1項及び第2項並びに労働組合法施行令(昭和24年政令第231号)第15条の規定に基づき、中央労働委員会が、令和5年2月1日に開催された第1842回定例総会で、一部修正の上、拡張適用することが適当である旨決議をした。これにより、同法第18条第1項及び第3項並びに同令第15条の規定に基づき、次のように労働協約の拡張適用を受けるべきことを決定する。

 令和5年4月 11 日

厚生労働大臣 加藤 勝信

1 適用される本件労働協約の条項

 第2条から第8条までの各条項

 ただし、第8条第1項中「2022(令和4)年6月1日から2025(令和7)年5月31日までの3年間」とあるのは「令和5年6月1日から令和7年5月31日までの間」と、同条第2項中「2022(令和4)年6月1日」とあるのは「令和5年6月1日」とし、修正後の本件労働協約の各条項は以下のとおりである。

  第2条(用語の定義等)

 この労働協約における用語について、次のとおり定義する。

   (1) 「適用地域」

 この労働協約における「適用地域」とは青森県全域、岩手県全域、及び、秋田県全域をいう。

   (2) 「大型家電量販店」

 この労働協約において、「大型家電量販店」とは、次のアからエの全てを充足する店舗をいう。但し、専ら法人顧客を対象とする店舗を除外する。

    ア 当該店舗において事業者の営む事業が、日本標準産業分類(総務省平成25年10月改定、平成26年4月1日施行)の「5931 電気機械器具小売業(中古品を除く)」「5932 電気事務機械器具小売業(中古品を除く)」又は「6081 写真機・写真材料小売業」のいずれかに該当し、かつ、これら以外の「5611 百貨店、総合スーパー」「6091 ホームセンター」等には該当しないこと

    イ 当該店舗において事業者が小売販売する商品の中に、少なくとも、エアコン、冷蔵庫、及び、洗濯機の三品目が含まれていること

    ウ 当該店舗の存在する建物が、大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第2条第2項所定の「大規模小売店舗」に該当すること

    エ 当該店舗が次の(ア)から(ウ)のいずれか一つ以上に該当すること

     (ア) 当該店舗を営む事業者が、前掲ウ記載の建物に関して、大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第5条又は第6条所定の届出を自ら行ったこと

     (イ) 店舗面積が1000㎡を超えていること

      (但し、「店舗面積」とは、大規模小売店舗立地法第2条第1項の定める「小売業を行うための店舗の用に供される床面積」を意味し、事務室、荷扱場所、倉庫、階段、通路、エレベーター、休憩室、食堂、便所等を含まない面積をいう。)

     (ウ) 当該店舗の存在する建物において当該事業者が単独で支配・管理する占有面積が1200㎡を超えていること

      (但し、「占有面積」とは、建物の全部又は一部を借り受けている場合は借受け部分の床面積、建物を区分所有している場合には専有部分の床面積であり、大規模小売店舗立地法第2条第1項の定める「小売業を行うための店舗の用に供される床面積」のみならず、事務室、荷扱場所、倉庫、階段、通路、エレベーター、休憩室、食堂、便所等を含む床面積であるが、当該事業者が単独で支配・管理していない部分は除く。)

   (3) 「各年度」

 この労働協約における「各年度」とは、各年の4月1日から翌年の3月31日までの期間をいう。但し、賃金計算・労働時間管理・昇級昇格等の人事労務管理のために定める1年単位の期間の始期から終期までの期間がこれと異なる場合には、当該期間をもってこの労働協約における「各年度」として扱うことができる。

   (4) 「所定休日」

    ア この労働協約における「所定休日」とは、就業規則、労働協約、又は、労働契約等に基づき、使用者又は使用者から命を受けて各労働者の労働義務を負う日時を決定する権限を有する者が、労働義務のない日として予め定めた日をいい、次の(ア)から(オ)は「所定休日」から除外する。

     (ア) 労働者が年次有給休暇を取得する日

     (イ) 就業規則、労働協約、又は労働契約により病気・結婚・出産・忌引・子供の学校行事出席・看護・介護等を理由に休業できることを定める日に関して、労働者がその権利を行使する日

     (ウ) 生理休業、産前産後休業、育児休業、看護休暇、介護休業、介護休暇その他の法令により休業できる日に関して、労働者がその権利を行使する日

     (エ) 一旦労働義務を負う日として指定されたが、その後に、自然災害・疫病・交通途絶等の理由又はその他の使用者の都合により、労働義務が免除される日

     (オ) 一旦労働義務を負う日として指定されたが、その後に、所定休日の振替日に指定され、労働義務が免除される日

    イ この労働協約における「所定休日」は、暦日の午前0時から24時間連続して労働義務から解放される日でなければならず、これに該当しないものをこの労働協約における「所定休日」として扱うことはできない。

   (5) 「所定労働時間」

    ア この労働協約における「所定労働時間」とは、「所定休日」以外の労働義務を負う日において、労働義務を負う時間として予め定められた時間をいう。

    イ 1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1週間単位の非定型的変形労働時間制等を採用し、1日の所定労働時間又は1週間の所定労働時間が変動

する場合においては、前掲(3)所定の「各年度」における実際の所定労働時間を所定労働日数(当該年度の総日数から所定休日数を差し引いた日数)で除したものをもってこの労働協約における1日の「所定労働時間」とし、また、この1日の「所定労働時間」に5を乗じたものをもってこの労働協約における1週間の「所定労働時間」として扱う。

   (6) 「適用対象労働者」

    ア この労働協約における「適用対象労働者」とは、次の(ア)から(エ)の全てを充足する労働者をいう。但し、後掲イに該当する場合を除く。

     (ア) 前掲(1)所定の「適用地域」にある前掲(2)所定の「大型家電量販店」を営む事業主との間で労働契約を締結したこと

     (イ) 労働契約には契約期間の定めがないこと

     (ウ) 前掲(1)所定の「適用地域」にある前掲(2)所定の「大型家電量販店」を主たる就労場所として労働時間管理を受ける者であること

     (エ) 前掲(5)所定の「所定労働時間」が1日7時間以上でありかつ1週35時間以上であること

(なお、労基法67条に基づく育児時間、均等法13条に基づく妊産婦の時間短縮措置、育介法23条に基づく所定労働時間短縮の措置を受けている者、その他法令の定めにより一時的に所定労働時間を短縮する扱いを受けている者に関しては、これらの時間短縮の扱いを受けない場合における本来の所定労働時間が1日7時間以上でありかつ1週35時間以上であれば、この(エ)の条件を充足している者として扱う。)

    イ 前掲ア記載の(ア)から(エ)を充足する者であっても、次の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する者については、この労働協約の「適用対象労働者」から除外し、この労働協約の「適用対象労働者」としない。

     (ア) 基本給が時給制又は日給制により算出される者

     (イ) 店長や次長等の職名をもつ課長級以上の管理職であり、かつ、この労働協約の「適用対象労働者」2名以上をその部下としている者

   (7) 「適用対象労働者(A)」

 この労働協約における「適用対象労働者(A)」とは、前掲(6)所定の「適用対象労働者」のうち、1日の所定労働時間が7時間45分を超える者をいう。

   (8) 「適用対象労働者(B)」

 この労働協約における「適用対象労働者(B)」とは、前掲(6)所定の「適用対象労働者」のうち、1日の所定労働時間が7時間以上7時間45分以下の者をいう。

  第3条(所定休日の最低日数)

  1 各年度の初日に在籍する適用対象労働者(A)に関して、各年度に付与される所定休日の日数は、111日以上とし、これを下回ることはできない。

  2 各年度の初日に在籍する適用対象労働者(B)に関して、各年度に付与される所定休日の日数は、107日以上とし、これを下回ることはできない。

  3 適用対象労働者のうち各年度の初日に在籍しない者に関して、就労を開始した年度に付与される所定休日の日数については、前掲各項の定める最低日数を基礎に年度内の残余日数に比例して付与することその他の合理的措置を適宜講ずることができる。

  第4条(休日振替等)

  1 適用対象労働者の所定休日の振替を行う場合には、振替の対象とされる所定休日の開始よりもできるだけ早い時点で、所定休日を振り替えることを告知し、かつ、当該年度内の日を振替休日として指定することとし、翌年度に振替休日を持ち越すことはできない。

  2 前項の規定にかかわらず、非常災害への対応その他のやむを得ない理由があるときには、所定休日の開始後であっても休日指定を取り消して労働をさせること、及び、事後的に休日振替を行うことができる。

  3 前掲第1項の規定にかかわらず、非常災害への対応その他のやむを得ない事情のため年度内に休日振替をなすことが困難である場合には、翌年度の日を振替休日として指定することができる。

  4 前項により年度をまたぐ休日振替がなされたとき、休日振替のなされた年度における第3条所定の所定休日の最低日数は、年度をまたいで休日振替のなされた日数分を減少させ、また、新たに振替休日として指定された年度における第3条所定の所定休日の最低日数は、年度をまたいで休日振替のなされた日数分を増加させる。

  第5条(休日労働割増賃金)

 休日振替を行うことなく所定休日に労働が行われたときには、適用対象労働者は、当該労働を行った日に対応する賃金支払日において、休日労働割増賃金として、通常の労働時間の賃金の1時間当たりの額の135%に当該労働を行った時間数(8時間未満の場合は8時間とみなす)を乗じた額の支払を受ける。

  第6条(みなし休日労働)

  1 適用対象労働者のうち各年度の初日に在籍する者が、次の(1)又は(2)のいずれか一つ又は両方に該当する場合においては、当該年度に就労した日のうち、当該年度内の最後の労働日から順に労働日を遡って、所定休日の最低日数に達するまでの日数について、所定休日であったものとみなし、この日に休日労働が行われたものとみなす。

   (1) 適用対象労働者に対し予め付与された所定休日の日数が所定休日の最低日数に満たず、その結果として、適用対象労働者が年度内に実際に取得できた所定休日の日数が所定休日の最低日数に満たない場合

   (2) 事後的に休日振替をなす予定で所定休日に労働がなされたが、年度内に振替休日が付与されず、その結果として、適用対象労働者が年度内に実際に取得できた所定休日の日数が所定休日の最低日数に満たない場合

  2 当該適用対象労働者は、前項により休日労働が行われたものとみなされる日に対応する賃金支払日において、第5条所定の休日労働割増賃金の支払を受ける。

  第7条(この労働協約の最低基準効)

  1 適用地域における大型家電量販店に勤務する適用対象労働者に適用される労働契約、労働協約、就業規則等の定める労働条件のうち、この労働協約の定める労働条件を下回る部分については無効とし、無効とされた部分は、この労働協約の定めるところによる。

  2 この労働協約は、適用地域における大型家電量販店に勤務する適用対象労働者の休日に関して、共通の最低基準を定めるものであり、別途、労働契約、労働協約、又は、就業規則等により、この労働協約の定める基準を上回る定めをなすことを妨げるものではない。

  第8条(この労働協約の有効期間等)

  1 この労働協約の有効期間は、令和5年6月1日から令和7年5月31日までの間とする。

  2 この労働協約の第3条は、令和5年6月1日の属する年度から適用し、この労働協約の第4条から第6条は、令和5年6月1日以降適用する。

2 適用される地域

 青森県全域、岩手県全域及び秋田県全域

3 適用される使用者及び労働者

 2に記載する地域内において、本件労働協約第2条(2)に定める「大型家電量販店」に該当する店舗を営む事業主及び当該事業主に雇用される労働者のうち、同条(6)に定める「適用対象労働者」に該当する者

4 拡張適用の期間

 令和5年6月1日から令和7年5月31日まで