基調講演:図表2
「キャリア・コンサルティング研究会
−キャリア・コンサルタント自身のキャリア形成のあり方部会」報告書
(平成24年3月公表)の概要:
第71回労働政策フォーラム
現代社会の諸問題とキャリア・コンサルティング
(2013年12月6日)
(テキスト情報)
- 1 調査の目的、方法等
- キャリア・コンサルタントを活用する側のニーズに焦点を当て、(1)企業、就職支援機関、教育機関、地域など活用機関にヒアリングを行い、期待する役割やニーズを把握するとともに、(2)活躍しているキャリア・コンサルタントからヒアリングを行い、成長過程を把握・集約した。
- 2 活動領域ごとにキャリア・コンサルタントが求められる役割能力の育成に当たって留意すべきこと
1 企業領域 2 就職支援領域 3 教育領域 4 地域領域 役割 キャリアに関する悩み相談、若年社員の定着支援、中高年のキャリア再構築、就業意欲向上、メンタルヘルス支援・復職支援、研修の企画等 求人・求職のマッチング、求職者の就職支援、派遣労働者の就業支援、求人の充足支援等 学生の就職活動支援、キャリア教育の推進、キャリア関係のセミナーの実施等 就職前段階の相談支援、生活環境支援、社会参加支援、メンタルヘルス面の配慮、職業的自立支援等 共通して必要とされる能力 スキル:基本的面談スキル、ネットワークを構築するスキル、環境に働きかける力
知識:職業・業界についての知識、労働関係法令・労働関係施策についての知識・理解必要とされる能力 従業員の現状・立場等の理解、社内の制度・風土の理解、職務遂行に必要な能力についての理解等 求職者のニーズを把握する力、職業・業界に関する知識・理解、労働関係法令・労働施策の知識・理解、求人の実態把握、労働市場の理解等 面接指導・キャリア・シート等作成支援力、セミナー等の企画・運営力、ファシリテーション能力、教員への働きかけ能力、大学組織・方針等の理解等 カウンセリング・スキル、若者問題・女性問題の理解、ネットワーク構築力、リファーする判断力等 必要とされる能力を身につけるうえで留意すべき点等 - 企業による違いが大きい
- 経営方針理解のサポート等、活躍の場が拡大する可能性があるが、求められる能力も高くなる
- 事業部門等にいるキャリア・コンサルタントの活用についても考えてよいのではないか
- 外部人材としての利用例もある
- 個別の求人の具体的な内容や個別の業界の最新の情報等が求められる
- 求職者層、求人者層の特質に応じた支援を行うことが必要
- 必要な情報を的確に提供していくことが必要
- 求められる役割を意識し、使命感を持つ
- 職業・業界についての幅広く、かつ、最新の情報が必要であること
- グループ・アプローチ、ファシリテーションスキルが必要
- 学校組織・方針等についての理解
- 必要なカウンセリングレベルが高い
- リファー先を含む関係機関とのネットワーク構築の重要性が高い
- 情報提供の持つ意味が大きい
- 立場により、組織を運営する力、指導する力も重要
- 3 まとめ
- キャリア・コンサルタントには「まず、実践し、経験を積むこと」、「ネットワークを作ること」、「経験を積む中で必要となってくることを中心に継続的に学ぶこと」と「必要な働きかけを行うこと」が求められる。複数のキャリア・コンサルタントが得意分野を活かし合うことも考えられる。行政には、これを支援していくために、「学習支援情報」を提供していくこと、地方の学習環境を整備すること等が求められる。また、キャリア・コンサルタントを活用する機関には、キャリア・コンサルタントについて理解するほか、期待する役割、求める能力をキャリア・コンサルタントに伝え、その活動状況について評価し、その結果をフィードバックしていくことがのぞまれる。