パネルディスカッション:第62回労働政策フォーラム
介護職の安定的な採用・確保に向けて
(2012年9月19日)

パネリスト

福士 亘
厚生労働省職業安定局雇用政策課介護労働対策室長
飯塚裕久
NPO法人もんじゅ代表/小規模多機能型居宅介護ユアハウス弥生所長
白井孝子
東京福祉専門学校ケアワーク学部介護福祉士科教務主任
鈴木隆夫
埼玉県社会福祉協議会福祉人材センター副センター長
門野友彦
株式会社リクルートHR・斡旋カンパニー雇用創出支援グループ
 
HELPMANJAPAN担当
堀田聰子
労働政策研究・研修機構研究員

コーディネーター

佐藤博樹
東京大学大学院情報学環教授

佐藤

パネルディスカッションの論点ですが、1つは、この業界の就業環境を、業界の方だけじゃなく、社会全体として正しく理解してもらうこと。離職率が高い、その背景として就業環境が悪いのではないか、という業界評価がここ何年かの間、強く出ていたと思います。しかしすべてがそういう事業所ばかりではありません。堀田さんのデータでも、事業所単位での離職率、定着率を見ると、きちっと人が採れて、定着している事業所が多いのです。

佐藤教授

また、学生からすれば、ちゃんとした事業所がどこにあるのかという情報がきちっと伝えられることが重要です。そういう意味で、この業界の就業環境に関する正しい情報を皆さんと一緒に社会に発信していくことがとても意義のあることだと思います。

さらに、養成校、マッチング機関、事業所などがうまく連携しながら、介護業界を若い人たちに就職先の1つとして考えてもらうことが大事だと思います。来てもらえたら、大変なところもあるが頑張ればキャリアが開けて、また大事な仕事だと思ってもらえるという、こうした連携をどのようにつくっていくのか。これを2つ目の論点としたいと思います。

その中でもっとも大事なのは、事業所の取り組みです。人が採れない事業所には、人の育成や仕事の与え方、キャリアの見通しの持たせ方などの面で、問題があることが少なくない。定着、育成がきちっとできれば、たくさん人を採らなくてよくなる。そうすると、きちっと人も選べることにもなる。定着している会社には学校も人材を送るわけです。人の育成や定着をきちっとやれるようにしっかりと人材マネジメントをすることが、実は大事であるということを3つ目の論点として皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

上記の3つの論点を議論する際には、堀田さんの説明資料にある図表5(「研究報告」)の事業所単位の離職率が大事になってきますので、算出方法の説明をお願いします。

ミクロの議論は事業所単位の離職率で

堀田

まず、図表3(研究報告)の離職率は、新聞などでも報道される介護労働安定センターが例年発表している離職率です。この調査に回答している事業所が7,000ぐらいあるのですが、回答事業所に勤めている職員の数を全部足し上げ、7,000事業所をいわば、1つの事業所とみなして、1年間に離職した人数、1年前に在籍した人数から算出したものです。

他方、図表5の事業所単位の離職率は、回答事業所ごとに、離職者数、1年前の在籍者数から計算したものです。マクロな労働市場政策を議論するときは、前の離職率が重要になりますが、個別事業所における雇用管理や職場づくりの改善について議論するときには、後の事業所単位の離職率を分析する必要があります。

佐藤

どちらも大事な数字なのですが、全体平均だけが、今までひとり歩きしていたというのは問題だろうと思います。一生懸命頑張って人を育成し、定着させ、将来の見通しを持てるようにしている事業所もあるわけですが、なかなかそうした事業所が評価されない。やはり、こうした状況は変えていかなければならない。

では、そういう事業所を増やすためにどうするかということを議論していきたいと思います。最初に、マクロの政策を担っている厚生労働省の福士室長から、今日の各講師の報告を踏まえた上で、厚労省として考えることなどについてお話いただければと思います。

2012年度末で一連の施策は終了

福士

それでは、感じたままにコメントさせていただきます。堀田先生の報告の資料のなかに、直近の主な対策(以下図表)というのがありました。ほとんどは、リーマン・ショックの影響による対策として、2008年度補正予算で措置されたもので、多くが2012年度末をもって終了することになっています。

図表 直近の主な対策
介護職員の処遇改善等に関する懇談会2012年5月11日資料新しいウィンドウ・厚生労働省)

福士室長

2009年度から実施した「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムは非常に手厚い対策で、いろんなところから惜しまれていますが、財源の問題と雇用情勢が持ち直してきているという状況にあることから2012年度で終了することになりました。

介護労働市場は、雇用情勢が厳しい折には受け入れ市場として注目されるのですが、平時になるとそうではなくなってしまう傾向があります。やはり、不況に影響を受けない形での安定的な採用、それから人材の確保に向けた対策が必要であることは言うまでもありません。将来を見据えて、経済状況にあまり影響されないような地に足のついた取り組みをつくっていかなければならないと感じました。

飯塚さんの発表ですが、報告されたシートのなかに「仕事は生活のためにするのか」という問いかけがあります(シート)。仕事は好きではないが、生活のために働いているという人が多いと思いますが、仕事が食べるためだけのものになってしまったとき、仕事は苦痛以外の何物でもない。フランスのアランという哲学者が言っているのですが、ある職業を選んで心から受け入れた場合と嫌々ながら甘受した場合では、実際、大きな違いがあるそうです。すぐれた会計士と凡庸な会計士、すぐれた大工と凡庸な大工の違いは全てここにあると言っています。想いややる気など、仕事に向き合う姿勢で仕事のできや質が大きく変わってきます。

シート 生活のためにするのか?

※「楽しい」と「楽」は~~人生楽しく

介護事業者の方から、「この業界で働こうという人は誰でもいいというわけではない」とよく言われます。また、強い思い入れのある人でないと、長続きもしないと言われています。そのような想いのある人が、例えば生活のために介護業界から転職してしまうのは残念なことです。行政としても、そういう人たちのために何とかしていかなければならなりません。

白井さんの発表からは、東京福祉専門学校が一体的にきめ細かな人材支援を実践しているということに感心させられました。一方、介護福祉士の養成機関への入学者が減ったり、定員割れしていることや、資格があるのに介護業務に従事していない人が多数存在するという報告もありました。

してあげる幸せがあふれる介護現場

介護分野が魅力ある就業機会として捉えられていないことによるものなのかどうか、よくわかりませんが、ここで、何かの本で見た小学校4年生に宛てた手紙の内容を紹介します。

幸せには、3つの幸せがあるのを皆さん知っていますか。手紙のなかにこう書かれています。1番目は「やってもらう幸せ」。皆さんは赤ちゃんのとき、おなかがすけば泣いたし、おむつがぬれれば泣きました。するとお母さんが飛んできて、おっぱいをふくませたり、おむつを換えたりしてくれました。これがやってもらう幸せです。

2番目は「自分でできるようになった幸せ」です。字が書けるようになった、1人で自転車に乗れるようになった。何でも自分でできるようになると偉くなったような気がして、非常にうれしい。

そして、3つ目が、「人にしてあげる幸せ」です。人がしてほしいことをしてあげれば喜ばれます。そんな人は頼りにされる。してあげる幸せは、3つの幸せの中で最高のものだということです。私が感じるには、介護現場にはこのすべての幸せが満ちあふれている。ですから、介護現場は幸せの現場であると感じます。

そういうことをいろんな立場の人に正しく理解してもらうのが重要だと考えています。震災後、被災地で少しでも皆さんの役に立ちたいという思いから、看護師になりたいという子供たちが増えていると聞きました。介護分野にも波及することを期待しています。介護現場は幸せの場だというアピールを効果的に発信していくことが大事ではないかと思いました。

現場見学でマッチング効果が増大

鈴木さんの報告ですが、人材センターが人材の確保や定着、支援で頑張っているのがとてもよくわかりました。一方、マッチング機関であるハローワークでも、福祉人材コーナーを中心に就職支援をしています。それぞれの優位性を生かして、それぞれの取り組みがそれぞれの点ではなく、線になっていけばもっと効果を発揮するのかなと思って聞いていました。

1つの事例を紹介します。ハローワークは求職者を介護事業者とマッチングさせているのですが、まず、職場となる現場を見学した上で、その事業所に応募できるというツアー面接会みたいなサービスをしています。通常のミニ面接会での就職率は10%ほどなのですが、ツアー面接会をやると約30%と効果が上がる。ですから、就職機関や学校など、いろんな機関が協力し連携していくのが重要です。

最後の門野さんの報告ですが、柔軟な発想で、漫画「ヘルプマン!」とタイアップして、戦略的なイメージ形成で介護業界の就職ビジネスを牽引している姿に感心させられました。

このイメージ戦略というのもとても重要であると思っています。今の学生さんにも、就職に際して有名企業がいい、中小企業には行かないというような状況があり、やっぱり現場を見てもらうのが一番大切だと報告を聞きながら考えていました。

今後は、業界間で、若い人の取り合いになります。若い人がいなければ業界として衰退しかねない。固定的な負のイメージを解消して、介護業界はこんないいところだよというアピールを、行政、業界などが手を取り合って進めていかなければならないと思いました。

現実と理想のギャップをどう埋めるか

佐藤

最後の人の取り合いという点は重要ですね。雇用情勢が回復し始めれば、少子化で若い人たちの供給が減っているので、今まで福祉業界に来てくれた人も、他業種に転職するということも起きかねない。他業界との人材の獲得競争ということも視野に入れながら、魅力ある業界にしていかなければならないわけです。

では、議論に入りたいと思います。まずは入り口(入職)のところを取り上げたいと思います。例えば、高校生や大学生、または養成校を出た学生の皆さんに福祉関係の仕事を就職先の1つの選択肢と考えてもらうようにするために、なかなか難しいのは、入ってみた後に、教科書と実態のギャップがあるということです。学校の場合は実習がありますから、学校にいる間から教科書と実態とのギャップを感じることが少なくない。実際には、ひどいところばかりではありませんから、門野さんが言われたように、とても大事な仕事であることもきちっと理解してもらえる機会にもできる。このバランスですね。

白井さんの学校では、実習でもギャップに関する課題をフォローするというお話がありましたが、その前に実習先の選び方などが大事になってくると思います。理想と現実を在学中から見てもらいながら、理想を持って就職してもらう試みについて、もう少し説明していただけますか。

白井

介護福祉の養成校では、450時間の実習を行っていますが、本校では、まず5カ所に実習に行きます。在宅系3カ所、施設系2カ所ですが、とにかくいろんなところを見て、いろんな人とかかわる。そうすると学生たちは、ある施設へ行って介護はよかったなと思ったら、次の施設では「こんなことができてないよ、先生、おかしいよ」というような訴えをしてきます。そのときに、その声を小まめに拾い上げて、どうしてそうだったのか、では、どうすればいいのか、ということについてフォローをしてあげないと、仕事が嫌になってしまう。

白井教務主任

佐藤

そうなんですよね。

白井

現場を見て、「あれ、ちょっと違う」と1人静かに、他人に訴えることもなくやめてしまう人もいます。ですので、実習に行った前後とか、実習中に、施設の職員みんなで実はフォローしています。

学生に合う実習先をあてる

佐藤

就職しても初めからすべて希望するとおりにはやれませんから、在学中から、学校側が課題を指摘しておくことも大事ですね。実習先の選び方も重要かと思いますが、学校によっては実習先の確保が難しいところもある。実習先の選び方ではどのような工夫をしていますか。

白井

いろんな選び方がありますが、学生と合う、合わないという視点もあります。それから、本校では、通えるということを最重要視しています。いくらいい施設でも遠いところに行くと、やっぱり体力的な問題があり、心が折れてしまうこともある。

ですから、通えるところ、そして、学生の個性を見ています。言葉を話すのが少し苦手な学生の場合、みんながしゃきしゃきとしている実習先に行くと、自分だけ「できなかった」と感じてしまう。学校の教員は実習巡回に行ったときに、施設の個性や想いなどを見て、次にどんな学生を行かせようかということを考えています。

佐藤

単に施設だけをみるのではなく、施設の特徴と学生とのマッチングを考えて実習先を決めているのですね。

白井

はい。やっぱり実習のマッチングがうまくいかないと、学生のほうで「福祉は嫌だ」ということになりかねない。実習は、「ただそこに出せばいい」ではなくて、「誰をどこに出すか」というところをよく考えてやっています。

学生からの意見にきちんと回答する

佐藤

門野さん、「HELP MAN!JAPAN」のプロジェクトでは、福祉のことを考えていない学生でも、いろいろ情報を与えると考えが変わったということですが、どんなふうに情報を出しているのか、もう少し詳しく説明してもらえますか。

門野

例えばリクナビチャンネルでは、学生200人以上と3時間にわたってコミュニケーションをとったんですが、学生はインターネットで匿名かつチャットですから、「介護業界は虐待があるよね」「給料安くって離職率も高いよね」と介護の悪いイメージを遠慮なくがんがん打ち込んで盛り上がるわけです。それに回答せずに放っておいたら炎上しますから、丁寧に拾って、「皆さんのところでは実際どうですか?」とパネラーの方に答えていただきました。

門野氏

佐藤

なるほど。

門野

実際の現場の話をちゃんとリアルに説明すると彼らはわかってくれます。ですから、事業者側からのメッセージとしては、魅力は魅力としてちゃんと出して、悪いイメージを持たれている部分に関しては、「実際はこうだよ」「こう改善されつつあるよ」と伝えてあげることが大事だと思います。

佐藤

学生が思っているようなことに具体的に答えながら、学生が知らない、業界のこれから伸びていくような側面もちゃんと情報提供するようにしているわけですね。

門野

はい。大事なのは、サイトなどでは魅力に集中して情報を発信し、まずは関心を持ってもらうこと、実際に接点を持って話を聞きたいと思ってもらうことです。学生が思っている悪いイメージは、現場を見せながら対面で丁寧にコミュニケーションをとることで必ず解消されるはずです。

魅力発信が苦手な事業所側

佐藤

次に事業所の側ですが、人が採れない事業所は、情報の出し方の面で何がいけなかったのでしょうか。

門野

魅力の出し方が下手というか、今まで魅力を発信しなくても養成校から人が来るので、来た人を採用すればよかった。つまり、自分から採りにいくことをしてこなかったんですね。ですから、自分のところの魅力を発信する仕方を知らないし、学生にとって何が魅力に映るのかがわからないというのが現実だと思います。

佐藤

ただ、最近は人が採れなくなってきているわけでしょう。

門野

はい。

佐藤

だけど、考えなかったということですか。

門野

そうです。人が集まらないのは、社協のせいだとか、ハローワークのせいだとか、世の中のせいだというふうに、全部、自分のところじゃなくてほかに責任を転嫁してきたんだと思います。

佐藤

なるほど。自分であまり考えてこなかった。

門野

これ、東大阪にあるセーフセクションという有料老人ホームを経営している会社の採用パンフレットです(好例として、手に持ちながら聴衆に見せる)。60ページあるんですが、この会社の魅力がいっぱい書いてある。これを他の事業者さんに見てもらったら、「うちでもこれぐらいのことはやっている」と口を揃えて言うんです。やっているけど、表現の仕方を知らない。ですから、やり方がわかれば採用力は上がっていくと思います。

佐藤

中身はあるけど、情報の出し方がわかってないという事業者はそうですね。中身がないところをどうするかは、後半で考えることにして。

門野

中身がないところはつくっていただくところからですね。

佐藤

そうそう。それをどうつくるかはまた後で議論します。飯塚さん、発表では採用後の話が多かったのですが、飯塚さんも事業者として採用しているわけですね。事業者としてどう工夫しているか。入り口のところでの工夫はいかがですか。

専門職としての仕事という中身が先

飯塚

基本的には質のよい現場を正直に伝えるということが当たり前で、やっていることをそのまま伝えないと嘘になっちゃう。

佐藤

あまりきれいごとではなくて、実態をちゃんと伝えるということですね。

飯塚

そうですね。なので、実態をちゃんと伝える責任として、実態をきちんとしていくことがすごく大事だと思います。楽しい仕事をしていきたいわけですが、介護職として楽しい仕事というのは、やっぱり専門職としてどう楽しいかという話になります。

僕らの仕事の本質は、日常生活の支援や復権であって、そこをきちんとやっていくのが一番楽しい仕事になります。同期が一緒にいるとか、ちょっとつらくなったら先生のところに行けるといった良さはただのエンジンにすぎません。

僕ら事業所がめざさなければいけないのは、専門職としての仕事をきちんと提供するとともに、専門職の仕事としてめざすべきレベルを言語化して、提案できることだと思います。これがきちんとなされていれば、いくらでも外に宣伝する材料はつくれる。卵が先か鶏が先かということで言えば、やっぱり鶏、中身が先。

佐藤

中身ですね。

飯塚

中身に向き合って、自分らがどこに一番強みを持ってやっているのか、その材料をつくっていくことが大事ですね。

佐藤

だから、まさにどういう経営をしているか、どういう経営方針か、これも大事ですよね。

飯塚

そうですね。

佐藤

実態に即したマネジメントが行われているのか。そういうことがないと、いくら賃金がほかより高いですよといっても、おそらくアピールしないわけですね。

飯塚

みんな専門職をめざしている。給料だけで働いているわけじゃなく、仕事の内容で選んでいる人が多いと思うんです。

希望していない求職者にもアプローチ

佐藤

鈴木さんのところでは、事業所に対してキャリア支援専門員による個別支援をされているということですが、事業者から、採用についてはどのような相談が多いですか。また、どんなアドバイスをしているのでしょうか。

鈴木

地域によっては、去年までは、ハローワークと人材センターに求人を出すだけで十分人材が集まってきたという状況がありました。しかし、先月、事業者の方にお会いしたところ、他機関の地域求人情報に出し、新聞の折り込みも出したが全然応募が来ないという話がありました。

鈴木副センター長

その話を聞いた専門員が提案しようとしたのは、介護職を希望していない人に対しても、こういう法人の事業者で今、何人求人を出しているというような情報を近隣在住の求職者に伝えたらどうかということでした。実際に求人票を見てもらわないと反応はわからない。直接会って話すだけでもどうですか、ということを提案しようとしています。

また、事業所側は30歳代半ば手前ぐらいの人が欲しいという場合でも、年齢に関わらず、やる気のある人を何とか育成してもらえないかという提案をすることもあります。

魅力ある職場づくりが確保・定着の鍵

佐藤

採用してみれば、実際には、福祉のことが理解できていれば育成することで年齢にかかわりなく、福祉の仕事ができるようになるというように、事業者側の思い込みを変えていくことも大事でしょうね。

鈴木

そうですね。

佐藤

堀田さんの報告でも、人が採用できている事業所には一定の特徴があり、人材育成が充実しているとか、職員間のコミュニケーションがとれているなどの話もありました。特にコミュニケーションの面でいうと現場のマネジメントに関係してくると思いますが、堀田さん、もう少しその点の説明をお願いします。

堀田

やはり、介護職は事業所の地元で採用しているところが多いこともあり、いま働いている職員が魅力ある職場と感じている事業所では、事業所や仕事の魅力が口コミで伝わって採用にもつながっているように見えます。

佐藤

働いている人が、自分の施設・事業所を紹介したくないようなところはだめということですね。

堀田

そうですね。では、職員から見て、働きがいがある職場というのはどういうところかというと、利用者の生活改善につながっている手応えがコアですが、それにはチームの一員として質の高いケアができていると感じられることが大きな要因になります。

堀田研究員

賃金への不満が注目されますが、実は適切なケアができているかどうかの不安がとても大きく、それがストレスにもなっています。ですから、不安が払拭され、成長が実感でき、それが評価されること、そしてアセスメントに基づいたケアが提供され、情報を共有してチームとしてモニタリングが行われていることが重要です。これには、主任・リーダー層やサービス提供責任者といった現場管理者の方々の職場づくりがとても大事。「最近どう」といったちょっとした一声が、職員の不安をやりがいに変えていくこともあります。

もう1つ、おもしろいと思ったのは、職員間に加えて地域とのコミュニケーションも重要そうだということです。個別利用者のケアだけでなく、住民や地域のさまざまな機関と一緒に、その地域の課題を見つめて克服することに取り組んでいる事業所は、人材を確保できているようです。

どうマネジメント層を育てるか

佐藤

そういうことがやれる事業所では、管理職や施設長、訪問介護だとサービス提供責任者が現場でヘルパーさんたちの管理をしている。

初めて勤めたときの最初の上司がすごく大事で、この人がコミュニケーションを円滑化できるのか、入ったばかりの人が「この仕事が自分に向くかな」と思えるように育成できるのか。今の若い人たちにとって、実際に働いてみて、自分に向いた仕事なのか、専門職としての実感が持てるかどうかというのが重要だと思うのですが。

堀田

やめる人の中で、勤続1年未満の人が4割にのぼるので、やはり入ってすぐが特に大事だと思います。

佐藤

そうすると、そういう管理職や施設長、訪問介護であればサービス提供責任者をどう育てるかが鍵になる。

例えば、サービス提供責任者だと、ヘルパーが離職したり定着が悪いと、自分がヘルパー業務に入らなければならない。そうすると、新人の指導も、フォローもできない。ヘルパーからすると、ちょっと聞きたいことが聞けないなど悪循環に陥る。

飯塚さん、業務改善などによって、自分たちの介護の時間を割けたりすることができれば、マネジャーもマネジメントの仕事ができると思うのですが、どのようにやられているのでしょうか。

飯塚

被介護者ひとりに、時間は1日1,440分、1カ月で720時間ぐらいある。公的な介護サービスでは、サービス提供できる時間数は形態によって違い、老人保健施設では1日119分、小規模多機能型居宅介護だと4時間。訪問介護だともっと少なく、だいたい70分といったレベルだと思うんですが、ただ70分の仕事をやるのか、それとも、本人の丸1日を支えることをやっていくのかという考え方によっても違ってくると思います。

丸1日の1,440分を、高齢者自身や家族、地域、公的介護保険、自費サービスなど、いろんな力で穴がないようにすることを考えたほうがいいと思うんです。そこに、どの能力を持ったどの人材を組み込んでいくかというのが、マネジメントの観点だと思います。それをするためには、もう少し、課長や現場職員、現場職員から課長になる管理職の教育が必要ではないかと思います。

外部からの人材でも経営できるか

佐藤

スタッフの皆さんは、介護サービスを必要としている皆さんが幸せを感じられるような支援をしたいと思っているわけです。おそらくマネジャーの皆さんは、そうした仕事の仕方をスタッフの皆さんができるようにマネジメントすることが仕事だと思うのですが。

飯塚

時間数は決まっているので、例えば老健であれば、やりたいことが2時間以上かかるとしたら、スタッフが残業するか、誰かが無茶するしかない。だから、マネジャーがその119分の中でもっとも効果的な手は何なのかを考え、なるべくスタッフがやりたいことを提供していく。

やりたいこと、やるべきことと、やっていったほうがいいことの一致が増えれば増えるほど、やりたい仕事が質の高い仕事になっていく。仕事をマネジメントする側がその仕掛けをどうつくっていくかが大事なのではないでしょうか。

佐藤

介護業界では、専門職なのでいろんな資格がありますが、マネジメントの資格はない。しかし、実はマネジメントの役割が大事なのですね。ヘルパーなどの経験を積めば、サービス提供責任者の仕事ができるのか、施設でも、専門職の資格があれば施設長の仕事ができるのか。門野さん、この点はいかがですか。福祉の理解さえあれば、極端な言い方をすると、施設であればサービス提供の実務経験がなくても管理職の仕事ができるのでしょうか。

門野

やれると思います。報告のなかで施設長の調査をすると言いましたが、内部からの任用と外部採用のふたつのタイプについて、活躍できる人と活躍できない人の要件を明らかにすることで、特に外部からのマネジメント層の流入を促進したいと思っています。

マネジメント力って経営感覚を持っていればつくんです。経営をやろうという感覚があれば、人、物、金、情報をちゃんとやりくりして、無駄をそぎ落として、サービスをレベルアップさせることができる。

佐藤

ただ、現場では、福祉関係を知らない人がマネジャーをやることに抵抗感を持つ人が少なくない気もします。堀田さん、いかがですか。

堀田

法人・事業所の理念への不満は離職理由の上位にあげられます。経営感覚だけでなく、理念や方針を明確に内外に伝えられることも重要です。

トップマネジメントに加え、現場マネジャーの人事管理能力、その発揮も職員の定着・育成のために重要です。でも、多くの事業者が、サービス提供責任者や主任・リーダー層の育成が難しいといっています。

よい法人のトップマネジメント、事業所の現場マネジャーのあり方、キャリア等を探って、その育成ノウハウを共有していくことも大事ではないかと思っています。

介護の質がマネジメントでも基礎

飯塚

おそらく、いまは反骨時代なんです。現場から上がって、いい管理者になっている方が当然何人もいて、こういう人が現場の教科書を書いていたりする。でも、この現場だめだよね、ほんとうはこういうサービスをしたいよねといって、反骨して起業された方たちをたくさん知っています。

もっと学問と現実がリンクして、初めて介護の質が教科書を超えたときに外部のマネジメントが十分に機能するような状況になると思います。介護についてまったく知らない人がマネジメントに就いたときに、機能的にいいサービスができるかどうかは疑問です。

堀田

一般的には確かにそうですが、よいケアをしているといわれる施設のなかには、他の分野でのナレッジもある方が一旦現場に入って、一介護職として最初数年経験したあと、施設長を務められているところもあります。外の知恵と介護の中での反骨がうまく融合していけるといいなと思います。

佐藤

マネジメントを担ってもらうつもりで、少し下から入って、現場を見てもらってからマネジメントのポストに就いてもらうことが大事かもしれませんね。

話題を少し変えます。福祉のことが全然わからないような人がうまくこの業界に入ってきて、使っていけるかということについても少し議論したいと思います。白井さんの学校でもそうした人のための離職者訓練(介護福祉士養成のための離職者訓練)をやっているという話がありましたよね。

資格があっても未経験者は尻込み

白井

介護福祉士の養成課程では、離職者訓練で受講している学生もいます。離職者訓練で入ってくる学生は他職種から来て、福祉現場を勧められ、最初は抵抗がある人もいますが、実習など踏んで自分の経験が生きると思えば入っていく。もちろん、自分は合わないといって就職しない学生もいます。

就職経験が一回でもある人などには「介護ブラッシュアップ研修」を実施しています。福祉分野への就職経験があったり、何かしらの資格がある人が受講します。資格はあるけど働いた経験がない人たちと、資格を持っていて少しでも働いたことがあるという人では、やっぱり就職に対してのイメージが違います。資格があるが経験のない人たちは、実は1日、2日研修に来ると、3日目ぐらいに来なくなる。「ああ、こういうことか」と、実際に働くということを認識するからです。若い人は自分で仕事を探して、就職してしまいますが、反対に年齢層が高くて資格は持っていても就職したことがない人が難しい。

佐藤

ちょっと資格をとりましたというような人ですね。

白井

そういう人は、やはり年齢層も高いことと、就職先とのマッチングがなかなかできない。実際の仕事のイメージの工夫はするのですが。

求人のハードルを下げる努力を

佐藤

鈴木さん、介護職員養成確保事業についての報告がありましたが、ここは離職者で経験のない人が対象ですよね。

鈴木

はい。今、センターが扱う求職者のかなりの割合を中高年層が占めるのではないかと、センター内では議論になっています。来年の新規事業を今ちょうど検討している時期ですが、何とかこの層にメスを入れたいなと思っています。介護の仕事は未経験で不安を持っている人もいるので、ガイダンス的なものや体験的なもの、キャリアカウンセリングを全部ミックスして求職者を支援していきたいと思っています。施設側には、求人のハードルを下げてもらえないかなというのが本音です。

佐藤

白井さんに伺います。昼間の2年の介護福祉士実践科には、離職者訓練制度等利用の人が結構いるのかなと思っていたのですが。

白井

60人中で9人ほどです。学生が多く、離職者は多くありません。ただ、ほかの養成校では、多いところでは半分くらいのところもあります。

フロアからの質問

佐藤

それでは、フロアの皆さんから質問を受けます。

質問者A

改正高年齢者雇用安定法が成立し、定年制がある企業は65歳まで希望者全員を再雇用する方向となりましたが、介護業界でもそれに合わせて60歳~65歳までの再雇用のキャリア形成が経営上重要になってくると思うのですが(質問の一部割愛)。

質問者B

キャリアディベロップメントの支援があれば、介護職も随分安定するのではないでしょうか。もう1つは、施設長について、下から上げる、外から連れてくるという話がありましたが、資格要件をきちんとしておけばかなり議論が進むのではないかと思うのですが。

質問者C

今日のテーマは「介護職の安定的な採用・確保に向けて」ですが、訪問介護では人材を確保していかないとやっていけない。しかし、今日は、介護職の安定的な採用・確保に向けてストレートに語られませんでした。調査結果を見ると、訪問介護は圧倒的に女性労働で、圧倒的に非正規です。なぜ、参加者はその点に触れないのですか。

質問者D

門野さんから、集まってくる人材の性格型などが示されましたが、若干違うんじゃないかなという気がしました。求めている人材像と集まる人材像の違いみたいなものがあれば教えてください。

質問者E

施設の総務の担当をしていて、毎週タウンワークを読んだりしていますが、医療・介護では、直接採用よりも派遣・紹介会社を介しての採用の流れがあるような気がします。紹介会社を介すると面接やマッチングなどはやってくれるのですが、そのかわり年俸の20%ぐらいを持っていかれてしまい、収入が決まっている施設にとっては非常に痛手です。もう少し規制できないものでしょうか。

佐藤

では、該当者は答えられる範囲内で回答してください。それから、言い残したことを1人2分ずつぐらいでお願いします。

飯塚

施設長の資格要件が必要では、という質問がありましたが、この業界の質は、これからも専門性として伸びしろがあり、その意味では、少なくとも社会福祉士程度というような一定の教育がなされている必要はあるかなと現状では思っています。

飯塚代表

求めている人材という質問もあったので、それについても発言させてください。私は、専門家としてやっていくのに必要な時間は、専門教育を経てから3~5年と思っています。そうすると計8年です。ひょっとしたら、この日本で、皆さんが高齢になってから望むような生活支援が受けられない状態が出てくるのではないかという危機感を持っています。5~8年は働ける人を教育する責任は事業所にあると思っています。

施設が求める人材への育成が基本

白井

学校には、必ずしも施設側が求めているような学生だけが集まっているわけではありません。ただ、それで切ってしまったら、福祉でやりたいという人たちがいなくなってしまうわけで、やはり、やりたいと思う人たちを施設が求めるような人材に育てていく基本をつくるのが学校だと思っています。

学校を出てからの支援体制ですが、今の学生はやりがい、働きがいを求めています。本校の場合、一回生、もう20年ほども前の学生たちになりますが、彼らが今、管理職になって、また新たなやりがいで働いています。全員が最初から福祉に燃えているわけではなく、入って、育てられてそうなった人も多い。人を支援することがとても大事なんだなと思っています。

鈴木

求職者登録数が減ってきている中で、①若年層への働きかけ、②潜在的な有資格者の皆さんをどうやって掘り起こすか。求職登録もしていない、本来の意味の潜在的有資格者の方をどうにかして、こちら側の世界に戻ってきてもらうためにどういう取り組みができるかというところを考えていきたいと思っています。

③他分野からの再就職希望者や④業界内の転職などの取り組みも含め、この4つの区分に取り組む必要性はいつの時代も変わらないと思っていますが、先ほど報告した「福祉の仕事」学校教育連携事業福祉の仕事懇談会については、直近のマッチングとしてではなく、将来的な種まきとして、懇談会のなかから次の事業展開につなげていきたいと思っています。

非正規で対象者を増やすことも大事

門野

最後から2番目にご質問された方のタイプによって訴え方が違うんじゃないかというお話ですが、確かにそうです。研究はもうしていまして、こういうタイプはこういう単語に反応しやすいとか、逆にこういう単語は好まないというのは、もうデータがあります。ですから、そういったものも含めながらメッセージのあり方を伝えていければ、いろんなタイプの方に業界に関心を持っていただくことはできるんじゃないかと思っています。

派遣の規制について、私の見解ですが、派遣という形でまず関心を持っていただくのもすごく大事だと思っています。対象者を増やすといったときに正規雇用、非正規、派遣、いろんな形があって、まず業界のことを知ってもらって、そこから正規になっていくとか、非正規で働くとか、いろんな選択肢があると思います。僕は、ぜひ派遣の事業者の皆さんも頑張っていただきたいと思っています。ただし、派遣し続けるのはなしにしたほうがいいかなと個人的には思っています。

最後に、ぜひ動画をご覧ください(笑)。フェイスブックの「いいね!」もよろしくお願いします。

福士

65歳までの高齢者の継続雇用ですが、その法律が成立しましたので、介護業界でも今後、法律の中でどのような形で60歳から65歳までの方を継続雇用していくかが課題になってくると思います。

訪問介護の中で非正規の方が多いという話がありましたが、調査結果をみると、非正規の方の中で正規職員になりたいかと尋ねていますが、たしか30%程度しかなかったと記憶しています。どちらかというと訪問介護で働いている人は主婦層が多く、年収制限などの関係で、そうした働き方をしている人も一定数いると認識しています。

派遣会社、有料職業紹介所についてですが、法律で派遣法も職業安定法もあります。悪いことをしていない以上、しっかり認められた制度であるので規制は難しいところです。

納得して入れば定着する

堀田

訪問介護に関しては、今、福士さんがおっしゃったとおりで、実際には非正規を「選んで」いらっしゃる方もいて、必ずしも女性・非正規が多い仕事になっていることが、それだけをもって悪いとは言えないと思います。

あとは全体の感想として、1つは情報をどう出すか、そもそもどう中身をつくるかということが出されましたが、情報の出し方について、リアリスティック・ジョブ・プレビューという概念があります。いいことだけでなく、悪いことも伝えて、それに納得して入職してもらうとギャップが生じにくく、定着しやすいといわれています。

単にリアルな情報をといっても、新卒か中途か、もともと介護と縁がない学校卒業なのか、介護・福祉系の学校なのか、中途でも他職種から来るのか潜在有資格者なのか、これに掛ける年齢層ということで、出すべき情報の段階、中身というのも全然違ってくる。その辺を、教育訓練機関や事業所、マッチング機関もうまく考えていく余地があるのかもしれないと思いました。

2つ目は、飯塚さんが、専門職が輝いていく、やりたいことがやれるようにするとおっしゃいました。その専門職がやりたいと思うことが、根拠がある形で、いかに効果的かつ効率的に展開されていくかということも、サービスの質の評価とあわせて、もっと議論して、高めていく必要があると感じました。

専門職の自律型チームの可能性

3つ目は、飯塚さんの話のなかで、さまざまな資源を組み合わせるということがありました。地域包括ケアというのは日本だけでなく、世界的な流れです。地域を基盤とする切れ目ないケア提供には、与える専門職ではなく利用者と生産的相互関係を結べる専門職、地域を一住民として耕していける専門職ということが諸外国でも言われています。介護職の地域づくりの側面もこれからますます重要です。

最後に、マネジメントに関してオランダで急成長する在宅ケア組織の例を紹介させてください。看護師・介護士が全プロセスに責任を持ってトータルケアを提供するセルフマネジメントチームで、リーダーはおらず、完全にフラットです。確かに現段階では、現場管理者やトップがとても大事だと思いますが、専門職自身がその専門性を輝かせる組織のあり方として自律型チームを作っていくことにも期待したい。

佐藤

いくつかフロアからの質問にお答えすると、派遣や有料職業紹介、これはうまく使えばいいのです。例えば定員が決まっていて、資格をもっている人を置かなきゃいけないときに、採れないときは派遣を活用するなどです。ですから、使い分けです。

あと、訪問介護に関してですが、全体で言うと、施設のほうが平均的に見ると離職率が高いのです。訪問では非正規の人のほうが離職率が低い。今日のテーマの例えば現場の管理職が大事だとか、入り口だけでなく入った後の能力開発や育成が大事だというのは、訪問介護も同じです。

行政がボトム、民間でトップアップを

今日の大事な点は、基本的には正しくこの業界の状況を知ってもらって、いろんな問題もありますが、介護業界は将来のある産業でかつ大事な産業であるということです。それをちゃんと押えたうえで、事業側も変えていかなければいけない問題もたくさんあります。

現状で言うと、二極化しており、これは、ある時期はしょうがないかなと思っています。役所にボトムアップをしてもらって、民間はトップアップをして、全体を引き上げるという両輪での取り組みが大事だと思います。

ぜひ今日の議論を踏まえて、学校なり、それぞれの事業所でやれるところからやっていただければというふうに思います。どうもありがとうございました。

プロフィール

パネリスト※報告順

堀田聰子(ほった・さとこ)

労働政策研究・研修機構研究員

東京大学社会科学研究所人材ビジネス研究寄付研究部門特任准教授、ユトレヒト大学客員教授等を経て現職。博士(国際公共政策)。社会保障審議会介護給付費分科会専門委員、地域包括ケア研究会人材部会等において委員を務める。専門分野は人的資源管理、介護人材政策。主な共著に『ヘルパーの能力開発と雇用管理』(勁草書房、2006年)、論文に「介護保険事業所(施設系)における介護職のストレス軽減と雇用管理」(『季刊社会保障研究』第46巻第2号所収)等がある。

飯塚裕久(いいづか・ひろひさ)

NPO法人もんじゅ代表/小規模多機能型居宅介護ユアハウス弥生所長

1975年東京生まれ。37歳。東京医科歯科大学で臨床検査技術を学んだ後、母の経営する有限会社ケアワーク弥生入社。2006年小規模多機能型居宅介護ユアハウス弥生にて、認知症介護に携わる。2010年6月にNPO法人「もんじゅ」を立ち上げる。介護の現場で働く人たちが、課題を話し合い、解決をめざす「もんじゅミーティング」を居酒屋などを会場に全国各地で実施、その活動が広がりを見せている。イブニング連載中の『ヘルプマン!介護起業編』の主役、飛石亘のモデルである。

白井孝子(しらい・たかこ)

東京福祉専門学校ケアワーク学部介護福祉士科教務主任

看護師・介護支援専門員。聖路加国際病院、労働省(現厚生労働省)診療所勤務。江戸川区健康部にて訪問看護業務に携わる。現場と関わりながら平成2年から東京福祉専門学校において介護福祉士養成にも関わるようになる。近年、介護福祉士養成課程における教育内容等の見直しに関する作業チーム特別委員、介護福祉士養成施設協会シラバス班委員等も務める。介護と看護の連携の重要性、専門職として働き続けることの意義について伝え続けている。

鈴木隆夫(すずき・たかお)

埼玉県社会福祉協議会福祉人材センター副センター長

1989年法政大学法学部法律学科卒業。一般企業に就職した後、1992年4月社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会に入職。民生資金課長、施設業務課長を経て、2012年4月より現職。

門野友彦 (かどの・ともひこ)

株式会社リクルートHR・斡旋カンパニー
雇用創出支援グループHELPMANJAPAN担当

1985年株式会社リクルート入社。マンション・通信ネットワーク・企業内研修の営業、組織人事コンサルタントを経て、1999年以降、転職サイト「リクナビNEXT」の立ち上げ等WEBを使った人材マッチング手法の新規開発・運営に携わる。2011年4月から、介護業界の人材確保・定着戦力化を推進するHELPMAN!JAPANプロジェクトを担当。著書に『Dr.門野の転活相談 書類で決める!転職術』(すばる舎、2012年)がある。

福士 亘(ふくし・わたる)

厚生労働省職業安定局雇用政策課介護労働対策室長

1978年労働省入省。香川労働局職業安定部長、厚生労働省職業安定局地域雇用対策室地域企画官、同地域雇用対策室長等を経て2011年7月より現職。

コーディネーター

佐藤博樹(さとう・ひろき)

東京大学大学院情報学環教授

1953年東京生まれ。1981年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1981年雇用職業総合研究所(現、労働政策研究・研修機構)研究員。1991年法政大学経営学部教授。1996年東京大学社会科学研究所教授。2011年4月より現職。著書として、『人材活用進化論』(日本経済新聞出版社)、『人事管理入門(第2版)』(共著、日本経済新聞出版社)、『パート・契約・派遣・請負の人材活用(第2版)』(編著、日本経済新聞出版社)、『職場のワーク・ライフ・バランス』(共著、日本経済新聞出版社)などがある。兼職として、厚生労働省・労働政策審議会分科会委員、内閣府・ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議委員、東京労働局・東京地方労働審議会会長などを務めている。