有期契約社員に関する調査(労働に関するWEB企業調査・従業員調査)(2002年12月09日)

日本労働研究機構 発表
平成14年12月

特例の有期労働契約を利用した理由は「労働者が希望するから」が52.2%
企業、有期契約労働者の過半数が特例の有期契約制度の「対象業務の拡大を希望」

~「有期契約社員に関する調査」(労働に関するWEB企業調査・従業員調査)~

Ⅰ.調査の概要

本調査は、パート・アルバイト、非常勤、嘱託、契約社員等の有期契約社員の増加を背景として、有期労働契約についての考え方や実態について明らかにすることを目的に実施したものである。

調査は、上場企業と店頭登録企業合わせて3,574社に企業調査への協力をお願いするとともに、その企業の有期契約社員5人に従業員調査票の配布をお願いした。企業調査は199社、従業員調査は366人から協力をいただいた。調査の実施期間は、平成14年10月21日~11月7日である。

なお、企業調査は対象企業に調査依頼状を郵送し、WEB上に構築した調査システムを通してオンラインで回答を提出していただいた。従業員調査は企業から従業員へ調査票を配布し、個別に郵送で回答を提出していただいた。

Ⅱ.調査結果の概要

<骨子>

企業調査結果

1.約9割の企業が、有期契約社員がいる(いた)と回答、うち特例の有期契約社員がいる(いた)のは12.9%

現在又は過去に有期契約社員がいる(いた)企業は、89.4%、産業別でもすべての産業で約9割の企業で有期契約社員がいる(いた)としている(図1)。

有期契約社員がいる(いた)場合のその種類は、「契約期間が1年以内の有期契約社員(契約を更新している場合も含む)」がいる(いた)企業が99.4%、「契約期間が1年を超える有期契約社員(特例の有期契約社員)」がいる(いた)企業が12.9%(図2)。

2.特例の有期契約社員の状況

  1. 特例の有期労働契約を利用した理由は、「労働者が1年より長い期間を希望するから」など
    特例の有期労働契約を利用した理由は、「労働者が1年より長い期間を希望するから」が52.2%と最も多く、「企業で行った能力開発・教育が仕事に反映されるためには、1年では足りないから」が34.8%、「1年契約で労働者が更新に応じなかった場合に、業務に支障があるから」が30.4%などとなっている(図3)。
  2. 約8割の企業は、特例の有期労働契約に問題はないと回答
    特例の有期労働契約について、一般の有期労働契約にはない問題点が「ない」とする企業は78.3%、「ある」とする企業は21.7%で、「ある」場合の具体的な問題点は、「契約後に(社員が)不適格であった場合の処遇」、「更新が不可能である」などがあげられている。
  3. 特例の有期契約社員の賃金形態は「年俸制」が39.1%、昇給は「ない」が65.2%
    特例の有期契約社員の賃金形態は、「年俸制」が39.1%、「月給制」が30.4%、「時間給制」が17.4%、「日給制」が13.0%で、一般の有期契約社員と比較して「年俸制」の割合が高い(図4)。また、昇給については、「ない」が65.2%と、「ある」(34.8%)を上回っている。特例の有期契約社員の労働時間管理は、「通常の時間管理(固定的な出退勤時間)」が73.9%、「裁量労働制」が17.4%、「フレックスタイム制」が8.7%となっている(図5)。正社員の平均と比較した特例の有期契約社員の労働時間は、「かわらない」が65.2%、「短い」が30.4%となっている(図6)。
  4. 特例の有期契約社員の業務は、「経営管理、総務、人事・労務、関係会社管理、法務・特許」(56.5%)、「営業、販売促進、マーケティング・販売企画」(30.4%)など
    特例の有期契約社員が従事している業務は、「経営管理、総務、人事・労務、関係会社管理、法務・特許」が56.5%と最も高く、次いで「営業、販売促進、マーケティング・販売企画」が30.4%、「製品・サービス・技術開発、研究開発」が21.7%などとなっている(図7)。
  5. 契約期間終了後の雇用関係は、「更新する」と回答企業は特例で69.6%、一般で89.8%
    特例の有期契約社員の契約期間終了後の雇用関係で最も多いケースを聞くと、「有期労働契約を更新する」が69.6%となっており、「契約を更新しない(雇用関係を終了する)」(30.4%)を上回った。また、一般の有期契約社員についても、「契約を更新する」が89.8%と大部分を占めている(図8)。
  6. 52.2%の企業が、特例の有期契約社員の契約期間満了前の退職の規定は、設けていないと回答
    特例の有期契約社員が、契約期間の満了より前に退職する場合の規定については、「特段の規定は設けていない」が52.2%、「退職予定日より一定期間以上前に、退職する意向を伝えることを義務付けている」が39.1%、「契約期間中、一定期間経過後には、社員から契約を解除できることとしている」が17.4%となっている(図9)。

3.今後の有期労働契約のあり方

  1. 特例・一般の契約期間の上限については、現状のままでよいとする企業が6割弱、延長すべき又は延長しても問題ないとする企業が4割程度
    すべての企業に特例の有期労働契約の期間の上限(3年)について聞いたところ、「現状のままでよい」が59.8%、「3年契約で支障はないが、3年より長い期間に延長しても問題はない」が34.7%、「3年契約では支障があるので、3年よりも長い期間に延長する方がよい」が3.0%となっている(図10)。一般の上限(1年)については、「現状のままでよい」が58.3%、「1年契約で支障はないが、1年より長い期間に延長しても問題はない」が35.7%、「1年契約では支障があるので、1年よりも長い期間に延長する方がよい」が5.5%となっている(図11)。また、「1年契約で支障がある」場合の具体的な支障には、「有能な人材を継続雇用できない」、「弾力的な配置ができない」などがあげられている。
  2. 特例の有期労働契約の要件については、約5割の企業は、対象業務を限定しない方がよいと回答
    特例の有期労働契約に定められている対象となる業務等の要件については、「対象となる業務を限定しない方がよい」が48.7%、「今の要件を変えないほうがよい」が22.6%、「『新たに』就く場合に限る要件をなくし、特例契約を更新できるようにする方がよい」が21.6%などとなっている(図12)。
  3. 29.6%の企業は、契約期間や対象業務が拡大されれば、「一般の有期契約社員を増やす可能性がある」と回答
    仮に契約の上限期間の延長や対象業務が拡大された場合に、有期労働契約を利用する可能性があるかどうかについては、「一般の有期契約社員を増やす可能性がある」が29.6%、「特例の有期契約社員を増やす可能性がある」が8.0%となっている(図13)。

従業員調査結果

1.特例の契約期間の上限について、延長しても問題ない、延長する方がよいと回答した従業員は約8割、業務範囲等の要件については、約6割が、業務を限定しない方がよいと回答

労働期間が1年を超える一定期間である従業員に、特例の有期労働契約の上限3年について聞くと、「3年よりも長い期間に延長するメリットはわからないが、3年よりも長い期間に延長しても問題はない」が68.8%、「現状のままでよい」が21.9%、「3年よりも長い期間に延長する方がよい」が9.4%となっており、企業調査結果と比較すると「3年よりも長い期間に延長する方がよい」、「3年よりも長い期間に延長しても問題はない」とする割合が高い(図2)。なお、「上限を短くすべき」とする回答はなかった。

また、特例の有期労働契約に定められている業務等の要件については、「対象となる業務を限定しない方がよい」が56.3%、「『新たに』就く場合に限る要件をなくし、特例契約を更新できるようにする方がよい」が37.5%、「今の要件を変えない方がよい」が6.3%となっている(図3)。

一般の契約期間の上限を延長した場合のメリットは「雇用保障期間が長くなる」、「勤務先、仕事に愛着がもてる」など

労働契約が1年以内である従業員に、一般の労働契約の上限1年について聞いたところ、「1年よりも長い期間に延長するメリットはわからないが、1年よりも長い期間に延長しても問題はない」とするものが26.7%、「現状のままでよい」とするものが24.0%、「1年よりも長い期間に延長する方がよい」が11.9%、「無回答」が37.4%となっている。なお、「上限を短くすべき」とする回答はなかった(図4)。

また、「1年よりも長い期間に延長する方がよい」と回答した場合の具体的なメリットとしては、「雇用保障期間が長くなる」、「勤務先、仕事に愛着がもてる」、「安定した収入確保と慣れた仕事に従事することができる」などがあげられている。

解説 「有期労働契約について」


全文(PDF:81KB)

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