企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査(2003年08月05日)

日本労働研究機構 発表
平成15年8月

非正社員比率の高い企業ほど非正社員を高度な業務や管理・監督的業務で活用し、能力開発の対象とする割合が高い
転職希望非正社員の3割は「安定した仕事に就きたい」
正社員の6割は成果主義的な賃金体系に「賛成だが不安」

~企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査~

Ⅰ.調査の概要

近年の経済のグローバル化や企業間競争の激化、就業意識の変化などを背景に、働き方や人事制度の様々な面で多様化が進展している。本調査は、企業の人事戦略の実態や雇用に対する考え方を明らかにするとともに、正社員やパートタイム労働者・派遣労働者など多様な形態で働く就業者の意識をさぐることを目的に実施した。

企業調査は、従業員数100人以上の企業約10,000社に企業調査票を郵送し、就業者調査は、従業員数100人以上の企業の10人以上の事業所5000所に、各10票ずつ就業者調査票を郵送する方法によった。うち企業調査は1602社、就業者調査は7566人の回答を得て結果をとりまとめた。調査の実施期間は平成15年1月7日~1月31日。回答企業・就業者の構成は、参考表を参照のこと。

Ⅱ.調査結果の概要

<骨子>

Ⅰ「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査」(企業調査)

1 非正社員の雇用動向 非正社員を雇用している企業は91.1%で、非正社員比率は平均23.1%だった。比率は、設立の新しい企業ほど高い。

2 非正社員の業務 今後は、現在に比べ「正社員が行っている、判断業務を含む非定型的な業務に活用」や「正社員が行っている、高度な専門技能を要する業務に活用」などの業務で非正社員を活用するという企業割合が高い。また、非正社員比率が高い企業の方が、非正社員を高度な業務、管理・監督的業務に従事させる割合が高い。

3 非正社員を雇用・活用する理由 非正社員を雇用・活用する理由は、「人件費節約のため」「即戦力・能力のある人材を確保するため」「景気変動に応じて雇用量を調整するため」などが高い。非正社員比率別には、非正社員の比率が高い企業では「長い営業(操業)時間に対応するため」「一日・週の中の仕事の繁閑に対応するため」などで高い。

4 非正社員の活用による影響 非正社員の活用によって生じる影響は「正社員が高度な仕事に専念できている」「労働生産性が向上している」などプラス面が大きい。一方、「ノウハウの蓄積・伝承が難しい」「職業訓練が行いにくくなっている」などマイナスの影響を指摘する割合も高い。

5 非正社員の活用上の課題 非正社員の活用上の課題は、「良質な人材の確保」「正社員との職務分担」「業務処理能力の向上」などで高い。これを非正社員比率でみると、非正社員の割合が高い企業の方が「定着性の向上」や「モラルの向上」を指摘する割合が高い。

6 能力開発

  1. 能力開発の対象者
    能力開発の対象者を「正社員全般(非正社員は対象外)」とする割合が30.1%と依然として高いものの、「正社員全般と非正社員全般」26.8%、「正社員全般と非正社員の一部」22.9%と半数近くは非正社員を対象としている。また、非正社員を対象とする割合は、非正社員比率の高い企業や、3年前から売上が10%以上増加した企業の方が高い。
  2. 今後の能力開発の方針
    今後の能力開発の方針は、「会社は積極的に社員の能力開発に関わる」が61.4%となっている。これを非正社員比率別にみると、非正社員がいない企業では、その割合は62.5%であるが、非正社員が60%以上の企業では71.0%と高くなっている。

7 正社員の人事制度について

  1. 正社員の異動周期と専門分野の範囲
    5年前に比べると、正社員の異動周期は、「変わらない」が64.6%と最も多いが、「短くなった」も17.0%だった。正社員の経験する専門分野の範囲は、「変わらない」が55.9%、次いで25.5%が「広くなった」としている。
  2. 昇進と賃金の格差
    正社員の昇進に差がつくのは、現状は「入社5年目位」が29.5%、今後の方針は「入社3年目位」が31.9%と最も高い。 「現状」と「望ましい」賃金格差を年齢層別に聞いたところ、全ての年齢層で現状よりも望ましい格差が大きくなっている。50歳代での望ましい格差は54.7ポイントだった。

8 非正社員の活用が正社員の雇用に及ぼす影響 約半数の企業で、いわゆる非正社員の活用により正社員の雇用が「減少した」としている。今後についても「減少する」とする企業の割合は増えている。

Ⅱ 「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査」(就業者調査)

1 終身雇用・年功賃金制度について 終身雇用制度については、「よい制度である」とするもの(正社員39.4%、非正社員31.8%)が、「よくない制度」とするもの(正社員5.8%、非正社員6.4%)を大幅に上回っているが、年功賃金制度については、「よい制度である」とするもの(正社員14.8%、非正社員13.5%)が「よくない制度である」とするもの(正社員25.9%、非正社員24.6%)を下回っている。

2 仕事に関連する考え方 仕事に関連する考え方を正社員・非正社員の別でみると、正社員の32.1%は「賃金格差は拡大した方がよい」とするが、非正社員では19.6%にとどまり、10ポイント以上の差があった。

3 現在の就業形態を選んだ理由 現在の就業形態を選んだ理由は、正社員・非正社員とも「生活を維持するため」が最も多いが、非正社員では正社員に比べ「家庭生活や他の活動と両立しやすい」「家計補助、学費等を得るため」などが高い。

4 仕事・職場への満足度 正社員・非正社員とも、「賃金」「評価・処遇のあり方」「教育訓練・能力開発のあり方」への不満が高い。また、非正社員では正社員に比べ「雇用の安定性」への不満が高く、「労働時間・休日数」への不満が低い。

5 転職希望 転職希望者は、正社員で14.9%、非正社員で32.5%だった。転職希望理由をみると、正社員では、「賃金が低い」(38.9%)、「仕事の内容が自分の能力・適性に合わない」(30.0%)、また非正社員では、「賃金が低い」(38.0%)、「安定した仕事に就きたい」(30.3%)の順に高い。また、何らかの不満を持っている者に限って転職希望をみると、正社員では「仕事の内容・やりがい」に、非正社員では「雇用の安定性」に不満を持っている者の転職希望割合が高くなっている。

6 正社員の処遇

  1. 昇進格差
    昇進格差がつくことについて、6割以上は望ましいとしている。また、成果主義的な賃金体系には、反対の者は1割未満にすぎないが、「上司や管理者が正しく評価するか分からない」などの理由で、6割が「賛成だが、不安」としている。
  2. 賃金格差
    正社員の賃金格差については、6割以上が気になるとしている。賃金格差の許容範囲(平均年収を100として<最高-最低>)を聞いたところ、各年代とも60ポイント強としている。

※用語解説

いわゆる正社員
特に雇用期間を定められていない者。なお、パートタイマー及び他企業への出向者は除く。
いわゆる非正社員
出向社員
他企業より出向契約に基づき出向してきている者。出向元に籍を置いているかどうかは問わない。
契約社員
専門的職種に従事することを目的に契約に基づき雇用され、雇用期間の定めのある者。
臨時的雇用者
臨時的にまたは日々雇用されている者で、1カ月以内の雇用期間の定めのある者。
パートタイマー(短時間)
いわゆる正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない者。雇用期間は1カ月を超えるか、または定めのない者。
パートタイマー(その他)
いわゆる正社員と1日の所定労働時間と1週の所定労働日数がほぼ同じ者。雇用期間は1カ月を超えるか、または定めのない者で、パートタイマーその他これに類する名称で呼ばれている者。
派遣労働者
「労働者派遣法」に基づく派遣元事業所から派遣された者。「常用雇用型」とは派遣会社に常用労働者として雇用されている形態。「登録型」とは派遣会社に派遣スタッフとして登録しておく形態。
職場内の請負社員
業務請負契約により、事業所内で働いている者。

全文(PDF:370KB)

エクセルファイルで付属統計資料をご覧になれます

企業調査1(Excel:447KB)

企業調査2(Excel:482KB)

就業者調査(Excel:594KB)

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