企業組織再編に伴う労働問題の実態調査(2002年07月19日)

日本労働研究機構 発表
平成14年7月

営業譲渡、合併に際して多くの労働者の雇用・労働条件は維持されている
-企業組織再編に伴う労働問題の実態調査より-調査結果の要約

1.企業組織再編の状況

(アンケート調査)

  • 過去3年間に約15%の企業、約21%の労働組合が営業譲渡、合併、会社分割等の企業再編を経験している。

注)ここでいう会社分割は、平成12年5月の商法等改正により創設され、平成13年4月より施行されている会社分割制度に基づくものを指す。

2.営業譲渡の状況

(1)営業譲渡の目的(アンケート調査)

  • 営業譲渡の目的は、「グループ内の組織再編」が最も多く、「不採算部門を切り離し、経営効率を高めるため」「本業に経営資源を集中し、経営効率を高めるため」がこれに続いている。
  • 営業譲渡の相手方(譲受企業)については、グループ内企業が6割を占めている。

(2)営業譲渡に伴う労使協議等(アンケート調査)

  • 企業調査、労働組合調査とも、企業から労働組合に対して、営業譲渡計画に関する情報の事前通知がなされていたとする回答の割合が高くなっている。
  • 営業譲渡における事前通知や労使協議等のプロセス全般については、「やむを得ない」とするものも含めて、8割近くは評価している。

(3)営業譲渡に伴う労働者の雇用(アンケート調査)

  • 企業調査、労働組合調査とも、営業譲渡に伴う転籍に当たって、当該労働者の同意をとっていると回答する割合が9割前後と高くなっている。

(ヒアリング調査)

  • 譲渡部門に在籍する労働者のうち、転籍を希望する者全員を譲受会社が承継するケースが多く、一部に在籍出向扱いとするケースもみられた。
  • 譲渡に伴う転籍を希望しない労働者については、譲渡企業内での配置転換で措置するケースがほとんどであった。
  • 営業譲渡に伴い雇用が守られなかったケースは少なく、このようなケースが生じるのは、譲渡会社が倒産法制の活用を含めて経営破綻している場合がほとんどであった。

(4)転籍した労働者の労働条件(アンケート調査)

  • 「同一賃金を維持した」若しくは「賃金額は低下したが、一定期間は差額の全部又は一部が補填された」とする回答が、企業調査では約8割、労働組合調査でも約6割と多く見られた。
  • 転籍した労働者の退職金について、企業調査、労働組合調査とも「転籍時に清算し、譲渡先でゼロから起算」とする回答が4割以上と最も多く、次いで「転籍時に清算し譲渡先で通算して計算」が多くなっている)。退職金額水準については、ほぼ同水準とする回答が多い。

(ヒアリング調査)

  • 転籍した労働者の退職金については、譲渡企業における制度をそのまま適用するもの、譲渡企業でいったん清算後、譲受企業の制度を適用するが、その際に譲渡会社での退職金支給額、勤続年数等に対して一定の考慮を行うもの、譲渡会社で清算後、譲受会社の制度で勤続年数ゼロから適用するもの等様々な取扱いがなされており、場合によっては、労働者が不利益を被るケースも見られた。
  • 譲渡に伴い、退職金について労働者が不利益を被る場合でも、譲受企業での清算時に一定額の上乗せを行うなど、何らかの配慮がなされているケースが見られた。

3.合併の状況

(1)合併の目的(アンケート調査)

  • 合併の目的は、「企業規模の拡大により経営効率を高める」、「市場占有率を高め、競争優位を発揮」が多くなっている。

(2)合併に伴う労働者の退職の有無(アンケート調査)

  • 合併に伴う退職者が「いた」とする企業が3割あったが、そのほとんどが「希望退職」によるものであった。

(3)労働条件の変化(アンケート調査)

  • 合併に伴う労働条件の変化については、賃金、退職金とも合併前後で同一水準が維持されるようになっている場合が多かった。

4.求められる対応

営業譲渡の手続きは、その背景、譲渡企業と譲受企業の関係、経営状況、労働組合の有無等により様々である。会社更生法等倒産法制が適用された場合の営業譲渡では、その対応に経験や法律知識が必要であり、労働組合、特に上部団体等の果たす役割は大きい。しかし、サービス業や中小企業では労働組合のない企業も多く、労働者に対する周知活動、相談活動を充実していくことが望まれる。


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