手放せない情報ツールに

岩出 誠

弁護士/ロア・ユナイテッド法律事務所新しいウィンドウ代表パートナー
元 厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会 公益代表委員
千葉大学大学院 専門法務研究科 客員教授
青山学院大学客員教授・同大学院ビジネス法務専攻講師
首都大学東京法科大学院講師

はじめに

「メールマガジン労働情報」(以下、メルマガという)が、本年1月28日で発行500回号を迎えられるとお聞きし、心からお祝いを申し上げます。自分のPC内のフォルダーに保存してある記録によると、私は、メルマガの利用者としては、奥手の方で、2005年3月30日135号からこれを愛読し、利用させて頂いております。ちなみに、その時のトップ記事のタイトルは「2月の完全失業率、4.7%/前月比0.2ポイント悪化ほか」です。それ以来、毎回のメルマガに、実務・研究・教育等様々な面で、毎回お世話になっているところからも、むしろ、この場を借りて、メルマガ関係者に厚くお礼を申し上げます。

今回の記念に、研究者、企業人事部、労働組合やジャーナリストの方々と一緒に、私は弁護士の立場から、以下の項目につき寄稿の依頼を受けました。しかし、肩書にあるように、私は、多様な形で活動しているため、必ずしも、弁護士としての立場にとらわれないで、実際にメルマガとどうかかわっているかを述べさせて頂きますことをご容赦願います。

1 メルマガの利用状況について

(1)日頃どのようにメルマガを利用しているのか

前述の通り、私は、弁護士業務だけでなく、大学院の講座や様々なセミナーの講師を担当し、多くの論文・著作活動にも携わっており、その全ての活動において、メルマガはもう絶対に手放せない情報ツールになっています。

その証拠に、私の事務所に入所または研修を受ける弁護士や社労士、司法修習生、エクスターンシップ、私の講義を受ける院生達には、必ず、JILPTのメルマガと厚生労働省のメルマガの購読申し込みを薦めています。もちろん、人事労務関連の知識が手薄な依頼者の企業や労働組合の担当者に対しても同様です。

(2)メルマガを読む視点と良かった点など

私は、前述の活動内容から、メルマガの【行政】【統計】【労使】【動向】【企業】【判例】【海外】【イベント】などの全ての項目に目配りをしています。自らも、情報収集のため、判例集や専門誌のみならず、新聞だけでも5紙購読し、クリッピングなどもしているのですが、見落としたり、読み遅れたり、保存漏れがあったりすることが回避できず、メルマガには大いに救われています。

もちろん、前述の活動の中で、もっとも使うのは、【行政】【判例】です。しかし、生活感が希薄で、現実の労働環境に疎い、新人弁護士、院生達に、現実感を持たせるために、とくに法科大学院では、院生の司法試験の受験勉強一辺倒を是正する意味でも、意識的に様々な【労使】【統計】資料を利用しています。

弁護士としては、様々な人事制度の改善提案、就業規則改正の合理性の立証資料等の収集などに【労使】【動向】【企業】も欠かせません。また、情報の要旨を簡潔に指摘した厚生労働省等の新しいweb siteの紹介などは、同省のメルマガを補完する上で大いに助かっています。

2 希望点など

JILPTのスタッフにより選別・収集された迅速かつ精度の高い情報提供には不満などないのですが、強いて言うならば、労働法の実務家であり一研究者の立場で言うと、労働委員会命令が【行政】の中で紹介されるのは使い難いところがあります。

望むらくは、【判例・労働委員会命令】とするか、【労働委員会命令】を分けて紹介して頂くと有難いのが本音です。検討を宜しくお願いします。

(2009年1月)