ハローワークを通じた障がい者の就職件数が過去最高を更新
 ――厚生労働省が2024年度のハローワークを通じた障がい者の職業紹介状況などをとりまとめ

国内トピックス

厚生労働省が6月25日に発表した2024年度のハローワークを通じた障がい者の職業紹介状況などの資料によると、2024年度のハローワークを通じた障がい者の就職件数は、前年度比4,853件(4.4%)増加の11万5,609件となり、過去最高を更新した。精神障がい者の就職件数の増加が押し上げ要因となった。一方、障がい者の解雇者も大幅に増加した。

精神障がい者の就職件数は8.1%増加

ハローワークを通じた障がい者の職業紹介状況のうち、就職件数は、2年連続で過去最高を更新し、11万5,609件となった。障がいの種別にみると、身体障がい者の就職件数が2万2,704件(前年度比0.9%減少)、知的障がい者が2万2,449件(同1.1%増加)、精神障がい者が6万5,518件(同8.1%増加)、その他の障がい者が4,938件(同2.1%減少)となっており、精神障がい者の就職件数の増加が全体の押し上げ要因となった。

新規求職申込件数も過去最高を更新

新規求職申込件数は、前年度比7.5%増加の26万8,107件となり、こちらも過去最高を更新した。障がいの種別にみると、身体障がい者が6万252件(前年度比1.8%増加)、知的障がい者が4万385件(同7.7%増加)、精神障がい者が15万3,223件(同11.1%増加)、その他の障がい者が1万4,247件(同4.0%減少)となり、知的障がい者と精神障がい者の新規求職申込件数の伸び率が目立つ結果となった。

就職率はやや低下

就職率(就職件数/新規求職申込件数)は43.1%で前年度(44.4%)からやや低下した。障がいの種別にみると、身体障がい者が37.7%(前年度比1.0ポイント低下)、知的障がい者が55.6%(同3.6ポイント低下)、精神障がい者が42.8%(同1.1ポイント低下)、その他の障がい者が34.7%(同0.7ポイント上昇)となっている。

産業別の就職件数は「医療、福祉」が最多の4割

就職件数を産業別にみると、「医療、福祉」(4万5,668件、構成比39.5%)が最も多く、次いで「製造業」(1万3,417件、同11.6%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(1万2,134件、同10.5%)、「卸売業、小売業」(1万1,587件、同10.0%)などとなっている。

障がいの種別にみても、いずれも「医療、福祉」が最も多くなっている。

職業別では「運搬・清掃・包装等従事者」が最多の3割

就職件数を職業別にみると、「運搬・清掃・包装等従事者」(3万5,297件、構成比30.5%)が最も多く、次いで「事務従事者」(2万9,390件、同25.4%)、「サービス職業従事者」(1万6,470件、同14.2%)、「生産工程従事者」(1万2,918件、同11.2%)などとなっている。

障がいの種別にみると、最も件数が多いのは、身体障がい者では「事務従事者」(6,675件、構成比29.4%)、知的障がい者では「運搬・清掃・包装等従事者」(9,926件、同44.2%)、精神障がい者では「事務従事者」(1万8,909件、同28.9%)となっている。

解雇者数は過去最高を大きく上回る

ハローワークに届出のあった障がい者の解雇者数は9,312人で、前年度(2,407人)から大きく増加し、過去最高だった2001年度の4,017人を5,000人以上上回っている。

解雇理由は「事業廃止」が5,863人(前年度1,240人)、「事業縮小」が3,195人(同1,086人)、「その他」が254人(同81人)となっている。

解雇された9,312人のうち8割弱(78.3%)にあたる7,292人は、最低賃金以上の給料を受け取る「就労継続支援A型事業所」の利用者だった。「就労継続支援A型事業所」を解雇された人のうち、再就職が決定したのは2025年4月末時点で2,171人(29.8%)となっているほか、雇用契約ではない「就労継続支援B型事業所」へ移行(予定)が3,834人(52.6%)、求職中が856人(11.7%)などとなっている。

(調査部)

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