度数率は2.10で前年から0.04ポイント低下
 ――厚生労働省「2024年労働災害動向調査〈事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査〉」の結果

国内トピックス

厚生労働省は6月23日、「2024年労働災害動向調査〈事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査〉」の結果を発表した。災害発生の頻度を表す「度数率」は2.10で前年から0.04ポイント低下。一方、災害の重さの程度を表す「強度率」は0.09で前年から横ばいだった。死傷者1人平均労働損失日数は43.5日となっている。

度数率が2%を超えるのは4年連続

調査は、規模100人以上の事業所を対象とする事業所調査と、総合工事業調査からなる。事業所調査、総合工事業調査ともに、2024年の状況について2025年1月1日~20日に調査を行った。今回の公表内容は、約1万5,000事業所・約5,500工事現場のうち、有効回答を得た1万60事業所・4,661工事現場について集計したもの。

事業所調査の結果をみると、100万延べ実労働時間あたりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す「度数率」は前年から0.04ポイント低下し、2.10となった。度数率が2を超えるのは4年連続。

強度率は2017年から0.09が続く

1,000延べ実労働時間あたりの延べ労働損失日数で、災害の重さの程度を表す「強度率」は0.09で、2017年以来、0.09が続いている。

労働災害による死傷者の延べ労働損失日数を死傷者数で除して算出する「死傷者1人平均労働損失日数」は前年から3.5日増加し、43.5日となっており、5年連続で40日台となっている。

無災害事業所の割合は、前年から0.7ポイント上昇して53.1%となったが、2010年以降でみると前年(52.4%)の次に低い水準となっている。

「生活関連サービス業、娯楽業」の度数率が前年から大きく上昇

産業別にみると、度数率は「農業、林業」と「漁業」を除けば、「生活関連サービス業、娯楽業(一部の業種に限る)」が6.59で最も高く、次いで、「サービス業〈他に分類されないもの(一部の業種に限る)〉」(3.89)、「宿泊業、飲食サービス業(旅館、ホテルに限る)」(3.77)、「運輸業、郵便業」(3.55)、「卸売業、小売業」(2.60)、「医療、福祉(一部の業種に限る)」(2.18)、「製造業」(1.30)などの順となっている。

前年と比べると、「生活関連サービス業、娯楽業(一部の業種に限る)」は1.98ポイント増と上昇幅が大きかった。それに対し、「運輸業、郵便業」は0.40ポイントの低下となった。

強度率が最も高いのは「サービス業(他に分類されないもの)」

強度率は、「農業・林業」と「漁業」を除けば、「サービス業〈他に分類されないもの(一部の業種に限る)〉」が0.40で最も高く、次いで、「生活関連サービス業、娯楽業(一部の業種に限る)」(0.34)、「運輸業、郵便業」(0.23)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(0.18)、「製造業」および「宿泊業、飲食サービス業(旅館、ホテルに限る)」(ともに0.06)などの順となっている。

前年と比べると、「サービス業〈他に分類されないもの(一部の業種に限る)〉」が0.21ポイント増、「電気・ガス・熱供給・水道業」が0.17ポイント増と上昇幅が大きかった。

死傷者1人平均労働損失日数は、「電気・ガス・熱供給・水道業」が316.3日、「サービス業〈他に分類されないもの(一部の業種に限る)〉」が101.9日で、ともに前年から大幅に上昇しているのが目立った。

度数率、強度率ともに規模が小さくなるほど高くなる

度数率と強度率を事業所規模別にみると、度数率は「1,000人以上」が0.59、「500~999人」が1.31、「300~499人」が2.08、「100~299人」が2.89と、規模が小さくなるほど高くなっている。

強度率は「1,000人以上」が0.03、「500~999人」が0.05、「300~499人」が0.09、「100~299人」が0.13で、こちらも規模が小さくなるほど高くなっている。

総合工事業の度数率は前年から0.22ポイント上昇

総合工事業調査によると、総合工事業の度数率は1.91で、前年から0.22ポイント上昇した。強度率は0.57で、前年から0.28ポイント上昇した。死傷者1人平均労働損失日数は296.6日で、前年から122.4日増加した。

(調査部)

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