はじめに:第47回労働政策フォーラム
若者問題への接近:自立への経路の今日的あり方をさぐる
(2010年7月3日)

小杉礼子 JILPT統括研究員

JILPT統括研究員 小杉礼子:2010/7/3フォーラム開催報告(JILPT)

労働政策研究・研修機構と日本学術会議の共催で、フォーラムを開催します。当機構は厚生労働省所管の独立行政法人として、労働政策にかかわる調査・研究を実施しておりますが、日本学術会議は人文社会科学から自然科学まで全国の84万人の研究者を代表する内閣総理大臣直属の特別の機関としてつくられたものです。政策提言などを主な役割としています。

今回のフォーラムは、1年程前に「若者問題への接近」というテーマで同じ共催フォーラムを行っており、ある意味でその続編です。メインのテーマは一緒なのですが、今回はサブテーマとして「自立への経路の今日的あり方をさぐる」としました。これまでは若者問題の課題発見的な部分が多く、どこに最も困難な層がいるのかといった議論をしてきました。そこで今回は、これから若者が自立に向かう経路として、どういうあり方を考えなければならないかに迫りたいと思います。

少し前まで私たちがイメージした若者の自立への経路は、学校から企業へ正社員として移行する、あるいは家庭がそうした移行をきちんと支えるといったように、学校、会社、家庭が若者の大人への移行を支える大きな三つの役割を担ってきました。

しかし、そこに大きな変化が起きて、スムーズな移行から落ちてしまう層が表れてきたというのが前回の発見です。そこで今回はまず高校に焦点を絞り、高校の中で何が起こっていて、新しい経路としてどういうことを考えるべきなのか。そのうえで、これまで若者を一人前にするために大きな役割を果たした会社の現状と今後の方向性について考えます。とくに非正規として働くことが自立を妨げているのかという課題を取り上げます。

さらに、今まで日本では小さいと言われてきた学校や会社の外にある社会的なセーフティネットとして、今後どのようなことが考えられるのか。政権交代の後、いろいろな形で変化が起きています。これらを踏まえて、移行支援についての全体像を考えてみたいと思います。