パネルディスカッション:第23回労働政策フォーラム
企業における女性の戦力化
(2007年2月2日)

開催日:平成 19 年 2 月 2 日

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配付資料

コーディネーター

藤井 龍子   大阪大学大学院法学研究科招聘教授

▼女性の継続就業をどうサポートするか

高島屋の中川氏は、同社では古くから育児休業や短時間勤務の制度を取り入れていることもあり、これまでに育休を 1,700 人が使用し、現在も約 200人が取得中、短時間勤務は 1,700人が使用し、570人が取得中と紹介。そのため、現場の要員計画は欠かせなく、求職者は欠員一人とカウントするだけなく、短時間勤務者についても別枠ながら、有期雇用者も含めた計画をつくっているという。

クリロン化成の栗原社長は、育児休業中の要員の問題や休業明けのサポートなどは、「職場の自主管理の問題であると考えている」という。職場には様々なニーズがあるので、まず職場で対応を考えてもらって、提案が上がってきたらそれを採用するというやり方をとっている。職務分担表をつくることは仕事の整理整頓にもつながるからだ。そのうえで栗原社長は、仕事上の責任こそ重要だと強調する。「自由に責任が伴うのではなく、責任のみが人を自由にするといっている。女性にどれだけ責任を持ってもらえるのか、そのうえで自由になってもらう」。

▼再就職希望の女性の戦力化

コーディネーターの藤井氏は、育児を終え、再就職を希望している女性が多く、例えば最近開設されたマザーズハローワークには、180万人の就職希望者が登録しており、うち四割が正社員を希望していると紹介。しかし、正社員での就職を求めても非正規の求人が多い実態の改善策について意見を求めた。

クリロン化成では 35歳以上の中途採用を実施しているという。その理由について栗原社長は、「職場ではいろいろな価値観が交錯するなか、どう協力し合えるかが大切になる。そうした社内の対応をこなすことに関しては、“大人の女性”が望ましい」とみている。

2007年2月2日フォーラム「パネルディスカッション」

面接に当たっても、職場でのつながりを大切にし、協力し合うことができるかどうかを重視している。

高島屋では育児休職制度とセットで、再雇用制度を導入した。現在までに 31人が復帰し、13人が勤務中だという。ただし、制度の活用は当初の予想を下回っている。中川氏は、活用が進まないのは、長いブランクを経て復帰することに対する心理的なハードルだけでなく、家庭状況の変化なども背景にあるのではないかとみる。だからこそ「辞めない環境作りの方が大切だ」と強調する。

千葉興銀でもOGの活用をすすめている。とりあえずパート等の短時間勤務から入ってもらい、そこから同行で導入済みの正社員への転換制度を利用してもらいたいと考えている。昨年同制度を使って転換したケースがでたが、他の金融関係の経験者からの応募もあるので、このスキームをさらに活用していく考えだ。

(調査部)