事例報告 買物支援から雇用支援への拡大──行政と連動したシニア雇用促進

講演者
眞野 義昭
株式会社セブン-イレブン・ジャパン人事本部人事部総括マネジャー
フォーラム名
第101回労働政策フォーラム「高齢者の多様な就労のあり方─OECD高齢者就労レビューの報告を踏まえ─」(2019年1月23日)

当社は、セブン&アイ・ホールディングスというグループに属しています。グループは、イトーヨーカ堂、セブン-イレブンをはじめ、ロフトや赤ちゃん本舗、そごう・西武等、170社で構成されています。2018年2月期におけるグループ全体の売上は約11兆円となっています。

現在、当社の国内店舗数は2万600店です。お客様の来店頻度を見ると、週2回以上来店される方が顧客全体の約6割を占めています。1店舗当たり1日約1,000名のお客様が来店するので、国内の全店舗では1日に約2,000万人が来店することになります。

セブン-イレブンはアメリカ発祥です。当初はアメリカの法人からライセンスを取得して、日本で事業を行っていたのですが、1991年には日本法人がライセンス元を買収、子会社化しております。2018年9月末現在、全世界で約6万7,000店舗を展開しており、世界最大のチェーンとなっております。

当社のフランチャイズ・システムの仕組みについてご説明します。2万600店舗のうち、直営店は約350で、大半はフランチャイズチェーン(加盟店)が占めています。フランチャイズ・システムにおいては、加盟店は本部と契約を締結し、共同事業者として粗利を分配するという関係にあります。今回の報告で前提となるのは、各店舗における従業員の採用・教育の権限はオーナー様にあるということです。

加盟店、本部の役割分担を見ると、加盟店側は、①発注売場管理など商品のマネジメント、②従業員の採用・教育・人事管理など人のマネジメント、③売上・経営管理など経営数値のマネジメント──といった店舗経営と販売に専念していただく一方、本部側は、商品の開発や税務申告上の会計簿記サービス等、店舗経営のバックアップを行っています。

本部側の業務のうち、最も大きなウエイトを占めるのが、「経営相談サービス」です。現在、当社には約9,000人の社員が働いていますが、このうち、3,000人は1人当たり8店舗ほどの担当店を持っており、経営上のアドバイスを行っています。

ところで、当社では、創業以来、「変化への対応と基本の徹底」をスローガンに掲げております。この「変化への対応」の一環として、当社では2009年頃から「近くて便利」をキーワードとして打ち出しています。その背景には、個人経営の小売店舗が減少するなか、遠くまで買い物に行くのが困難なシニアや、フルタイムで働いているため調理に時間をかけられない女性等の増加があります。

この「変化への対応」に取り組んだ結果、シニア層の利用は年々増加しており、来店客のうち2007年には9%だった60歳以上の方の割合は、2017年には23%まで増加しています(図表)。

図表 セブン-イレブンの変化

変化に対応する事でシニア層の利用が増加
人の採用についても、変化への対応を実施
本部として、加盟店様のシニア雇用をサポート

参照:配布資料7ページ(PDF:1.19MB)

本部で各加盟店のシニア雇用をサポート

こうした状況に対応して、加盟店側でもシニアの採用を増やしていく必要があることから、本部ではシニア雇用のサポートを行っております。

具体的な取り組み内容は大きく分けて3点あります。1点目は、加盟店オーナー様に対するシニア雇用説明会の実施と採用後の定着支援です。オーナー様のなかには、シニアを雇うことに対して不安や先入観を持っている方も少なくありません。そこで、地域ごとにオーナー様を集めた勉強会を開催し、シニアの就労意欲を高めるための方策や、他店舗における活用事例を共有しています。勉強会では、ハローワーク担当者にシニア雇用の必要性や面接の際のポイント、求人申込書の記入の仕方等ついて、説明していただいております。また本部では、2カ月に1回発行しているオーナー様向けの機関誌を発行しているのですが、そのなかでシニア雇用に関する成功事例も掲載しています。

2点目は、本部、地方自治体間における「高齢者等の支援に関する協定」の締結です。本部では2018年11月現在、481の地方自治体との間で協定を締結し、高齢者雇用の促進や、店舗営業時、配達サービス時における高齢者の見守り活動を実施することとしています。

応募者と加盟店のマッチング

3点目は、シニアに対する仕事紹介・体験イベントの実施です。本部では、地方自治体やハローワークと連携し、シニア求職者に対する仕事説明会を定期的に開催しています。同説明会では、レジ操作の体験や現役シニア従業員による質疑応答などのプログラムを設けています。高齢者は社会経験が豊富なことから、様々な局面において、適切に判断したり、配慮を行うことで、お客様に対して、「かゆいところに手が届く」接客をしていただくことが期待できます。一方で、シニア求職者のなかには、「自分にコンビニの仕事が務まるのだろうか」と思っている方も多く、そうした不安を払拭し、安心して働いてもらうためにこのような機会を設けているところです。

また、ハローワークとの連携時には、本部の店舗経営相談員が応募者と加盟店とのマッチングをサポートしています。加盟店によって、採用したい従業員のニーズは様々です。例えばある店舗では、「年輩のお客様が多いので、従業員もシニアを採用したい」と考えています。本部では、店舗経営相談員がオーナー様のニーズを聴取し、各応募者のニーズを踏まえて、個人ごとに店舗の選定をサポートすることで、採用に結びつけています。

以前は従業員の募集広告を出す際、応募要件として、「週3回1日5時間以上」を掲げるのが一般的でしたが、現在は「週1日1時間から」が当たり前になっています。そこで、まずは応募者と面接して、その方の余裕のある時間や働き方のニーズをマッチングして、仕事を紹介する形を採っています。

最後に各取り組みの実績についてご報告します。「高齢者等の支援に関する協定」については、2018年11月現在、481の自治体と締結しているところです。また、各自治体と連携したお仕事説明会はこれまで累計で650回開催しました。延べ9,000人の方にご参加いただき、このうち1,200人を採用しています。各店舗における高齢者の雇用率は年々上昇しており、各店舗に必ずといっていいほどシニアが働いている状況です。シニア店員は安定感があるので、今後も積極的に採用を支援していきたいと考えております。

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