監督指導を行った事業場の4割超で違法な時間外労働
 ――長時間労働が疑われる事業場に対する2022年度の監督指導結果

国内トピックス

厚生労働省がさきごろ発表した2022年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果によると、監督指導を実施した事業場の42.6%で、違法な時間外労働があった。そのうち、時間外労働・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超える割合は、37.1%と4割弱にのぼった。

違反が認められた事業場の全体割合は81.2%

監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1カ月あたり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に関係する労災請求が行われた事業場を対象に実施される。監督指導結果によると、2022年4月~2023年3月の1年間で労働基準監督署は3万3,218事業場に対して監督指導を実施し、その81.2%にあたる2万6,968事業場で労働基準関係法令違反が認められた。

81.2%の内訳をみると、違法な時間外労働があったのが1万4,147事業場(42.6%)で、過重労働による健康障害防止措置が未実施なものが8,852事業場(26.6%)、賃金不払残業があったのが3,006事業場(9.0%)となっている。

違法な時間外労働があった事業場の4割弱で、最も長い時間数が80時間超え

監督指導で把握した実態をみると、違法な時間外労働があった事業場のうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が80時間を超えていた割合は37.1%で、月100時間を超えていた割合は23.5%、月150時間を超えていた割合は5.3%、月200時間を超えていた割合は1.2%だった。

主な健康障害防止に関する指導の状況をみると、監督指導を実施した事業場のうち、1万3,296事業場(40.0%)に対して、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。また、6,069事業場(18.3%)に対して、労働時間の把握が不適正なため指導した。

(調査部)