管理職に占める女性の割合が12.7%で前回調査からわずかに上昇
 ――厚生労働省の2022年度「雇用均等基本調査」結果

国内トピックス

厚生労働省がさきごろ発表した2022年度「雇用均等基本調査」結果によると、管理職に占める女性の割合は12.7%で、2021年度調査から0.4ポイント増とわずかに上昇した。女性の部長相当職以上がいる企業の割合は12.0%と約1割で、課長相当職以上がいる企業の割合は22.3%と2割程度にとどまっている。

同調査の調査時点は2022年10月1日。同年10月1日~31日に調査を実施した。企業調査と事業所調査に分かれており、企業調査では常用労働者10人の企業6,000社を対象とし、3,096社から有効回答を得た。事業所調査では常用労働者5人以上の6,300事業所を対象とし、3,339事業所から有効回答を得た。

<女性管理職の状況>

課長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は約5割

企業調査によると、課長相当職以上(役員を含む。以下同じ)の女性管理職がいる企業の割合は52.1%と約5割で、係長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は60.5%と約6割となっている。前回の2021年度調査と比べると、それぞれ1.1ポイント低下、0.6ポイント低下している。

女性管理職がいる企業の割合を役職別にみると、女性の部長相当職がいる企業の割合は12.0%(前回12.1%)と1割程度。女性の課長相当職がいる企業の割合は22.3%(同20.1%)で、約2割となっている。

課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.7%で、前回調査(12.3%)から0.4ポイント上昇した。係長相当職以上についてみると、14.7%で前回調査(14.5%)から0.2ポイント上昇した。

役職ごとに同割合をみていくと、役員は21.1%(前回21.4%)、部長相当職が8.0%(同7.8%)、課長相当職が11.6%(同10.7%)、係長相当職が18.7%(同18.8%)となっている。

いずれの役職も「10~29人」で女性管理職割合が高い

役職別女性管理職割合を規模別にみると、いずれの役職についても「10~29人」の企業で割合が最も高くなっており、同規模では部長相当職が14.7%、課長相当職が18.2%、係長相当職が26.6%となっている。これに対し、他の規模では、部長相当職ではすべての規模で10%未満(「300~999人」ではわずか3.0%)となっており、課長相当職では300人以上の各規模で10%未満(「5,000人以上」でも9.2%)となっている。

係長相当職での女性管理職割合については、「30~99人」では24.6%と2割台に達したものの、100人以上の各規模は10%台にとどまった。

さらに、産業別にみていくと、いずれの役職も「医療、福祉」で突出して女性割合が高くなっており、「医療、福祉」では部長相当職が45.4%、課長相当職以上が53.0%、係長相当職以上が55.4%となっている。次いで高いのは、いずれの役職についても「生活関連サービス業、娯楽業」で、部長相当職が17.7%、課長相当職以上が24.6%、係長相当職以上が28.3%となっている。

<コース別雇用管理の状況>

コース別管理制度がある企業の割合は規模30人以上になると約1割

労働者の職種、資格や転勤の有無によっていくつかのコースを設定して、コースごとに異なる雇用管理を行う、いわゆるコース別雇用管理制度が「あり」とする企業の割合は、企業規模10人以上でみると5.5%(前回6.6%)、30人以上でみると10.1%(同10.9%)となっており、10人以上では前回から1.1ポイント低下した。

規模別にみると、「5,000人以上」では63.4%と6割以上にのぼり、かつ、前回(57.4%)よりも割合が上昇した。また、「1,000~4,999人」(38.7%)と「300~999人」(31.4%)が3割台となっている。

産業別にみると、割合が最も高いのは「複合サービス事業」(100.0%=全企業)で、次いで「金融業、保険業」(16.8%)が高い。

過去3年間で約3割の企業がコース別管理制度を見直し

コース別管理制度がある企業のうち、「コース転換制度あり」とする企業の割合は81.2%(前回調査した2017年度で79.7%)となっている。

過去3年間で、コース別雇用管理制度の見直しを行った企業の割合は33.3%。見直しの内容をみると(複数回答)、「職務内容、職務レベルの見直し」(54.3%)の割合が最も高く、次いで「各コースの処遇の見直し」(31.0%)、「職務内容、職務レベルの高低に合わせたコース区分の見直し」(26.3%)、「コース振りわけの時期の変更」(23.6%)、「コース転換の柔軟化」(20.3%)などの順で高い。

<ハラスメント防止対策>

約8割の企業が妊娠・出産などに関するハラスメント防止対策に取り組む

セクシュアルハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業の割合は85.9%で、前回調査(2021年度)から7.4ポイント上昇した。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業の割合は81.5%で、前回調査(2021年度)から12.4ポイント上昇した。規模別にみると、最も割合の低い「10~29人」でも、76.3%と7割以上の実施割合となっている。

セクシュアルハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取り組み内容をみると(複数回答)、「就業規則・労働協約等の書面で内容及び、あってはならない旨の方針を明確化し、周知している」が73.7%と最も高く、次いで「相談・苦情対応窓口を設置している」が62.8%、「行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、周知している」が60.5%、「相談したことや、調査への協力をしたこと等を理由に不利益な取り扱いをしないことを定め、周知している」が59.3%などとなっている。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取り組み内容をみると(複数回答)、「就業規則・労働協約等の書面で方針を明確化し、周知している」(69.2%)が最も割合が高く、「相談・苦情対応窓口を設置している」(61.9%)も6割以上の割合となっている。また、「相談したことや、調査への協力をしたこと等を理由に不利益な取扱いをしないことを定め、周知している」(58.0%)が6割近くにのぼった。

<育児休業制度の利用状況>

男性の育児休業開始者の割合が3.16ポイント上昇

事業所調査から、2020年10月1日~2021年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、2022年10月1日までに育児休業を開始した人の割合をみると80.2%で、2021年度調査の85.1%から5ポイント程度低下した。

一方、2020年10月1日~2021年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2022年10月1日までに育児休業を開始した人の割合は17.13%で、2021年度調査の13.97%から3.16ポイント上昇した。

(調査部)