緊急コラム
6月も前月より休業者は大幅に減少し従業者は大幅に増加─活用労働量(労働ニーズ)は前月より増加しているがそのスピードは遅い─

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総務部長 中井 雅之

2020年7月31日(金曜)掲載

本日(7月31日)公表された6月の主な雇用関係指標によると、完全失業率は前月より0.1ポイント改善して2.8%となったが、就業者数は前年同月差77万人減と3か月連続の減少となっている。また、有効求人倍率[注1]は0.09ポイント悪化して1.11倍となっている。有効求人倍率の低下幅は前月の0.12ポイントに引き続き相対的に大きくなっており、労働需給の観点からも雇用情勢は厳しい状況が続いている。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて緊急事態宣言が発令された4月に大幅増加となった休業者[注2]については、6月は前月より187万人減の236万人と、2か月連続で前月より大幅に減少した(図表1)。

図表1 休業者の推移

図表1グラフ

資料出所:総務省「労働力調査」

注:休業者とは、就業者のうち、調査週間中に少しも仕事をしなかった者で、自営業主においては、自分の経営する事業を持ったままで、その仕事を休み始めてから30日にならない者。雇用者においては、給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者。

6月の従業者は前月より201万人増の6434万人と、2か月連続で大幅に増加しており[注3]、休業者から従業者に移る動き[注4]が続いている(図表2)。また、6月の週間就業時間も36.6時間と5月より0.5時間増加しており、経済活動の再開を受けた動きが見られる。

図表2 就業状態の比較(2020年4~6月と2019年4~6月)

図表1グラフ

資料出所:総務省「労働力調査」より作成。

注1:従業者は就業者のうち調査期間中に少しでも仕事をした者。

注2:休業者は就業者のうち調査期間中に少しも仕事をしなかった者。

注3:週間就業時間は、月末一週間の就業時間。就業時間の対象に休業者は含まれていない。

注4:活用労働量は、従業者数と月末一週間の就業時間を掛け合わせた値として計算。

注5:就業率は、就業者数を15歳以上人口で割った比率。稼働率は、従業者数を15歳以上人口で割った比率として計算。

ただし、6月の従業者数を前年同月と比較すると167万人減であり、就業時間も前年同月比では減少が続いていることから、活用労働量(労働ニーズ)[注5]で前年同月と比較すると、6月の月末一週間では前年同月比6.9%減と、5月より減少幅は縮小したものの、依然として元の水準には戻っておらず、時間がかかっていることが分かる(図表2)。

ところで、休業者は調査週間中に少しも仕事をしなかった者であるが、緊急事態宣言などの影響を受けて、従業者においても就業日数を短縮した者も一定程度いると考えられる。そこで、2020年と2019年の3~6月について、月末一週間の就業日数別に就業者数の推移を見てみた(図表3)。

図表3 月末一週間の就業日数別就業者数の推移(3~6月)

図表3グラフ(2020-2019年)

資料出所:総務省「労働力調査」

注:出勤日数には「不詳」も含まれているが、ここでは割愛している。

これによると、2020年の3月から4月にかけて、就業日数0日(休業者)が大幅に増加したのみならず、1~4日の従業者数も大幅に増加した一方、5、6日の従業者数は大幅に減少している。その後、5月には就業日数が1~4日の従業者数の減少と5、6日の従業者数の増加が見られ、6月もその状況が続いている。

こうした2020年3~6月の前月差の動きを整理すると図表4のとおりとなる。

図表4 月末一週間の就業日数別就業者数の前月差の推移

図表3グラフ(2020-2019年)

資料出所:総務省「労働力調査」

すなわち、3月から4月にかけて、就業日数0日(休業者)は348万人、1~4日の従業者数は1259万人増加し、5~7日の従業者数は1686万人減少したが、5月、6月における休業者及び1~4日の従業者の減少、5~7日の従業者の増加により、4月の増減分を相殺した形となっている。

ただし、図表3により2020年と2019年を比較すると、全体として就業日数が4日以下の少ない従業者数の水準が高くなっており、従業者の就業日数は増えつつあるが、元には戻っていないといえる[注6]

また、このところ感染者数の増加が続く中で[注7]、今後も感染拡大を防止しながら社会活動、経済活動を行うという大変厳しい局面が続くため、雇用への影響は引き続き注視していくことが必要である。

当機構では、新型コロナウイルスの雇用・就業への影響をみるため、関連する統計指標の動向をホームページに掲載しているので、そちらもご覧いただきたい(統計情報 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響)。

(注)本稿の主内容や意見は、執筆者個人の責任で発表するものであり、機構としての見解を示すものではありません。

脚注

注1 ハローワーク(公共職業安定所)で受け付けた、有効期間内(原則受け付けた月から翌々月の末日まで。有効求職者については失業給付の受給期間は有効期間に含まれるなどの例外もある)の企業からの求人と仕事を求める求職者の割合を示す指標。1倍を上回ると求人超過(人手不足)となり、下回ると求職超過となる。

注2 緊急コラム「新型コロナの労働市場インパクト─失業者は微増だが休業者は激増し、活用労働量は1割の減少─」(2020年5月29日)参照。

注3 総務省「労働力調査」追加参考表「就業者及び休業者の内訳」(PDF)新しいウィンドウ参照。

注4 緊急コラム「新型コロナの影響を受けて増加した休業者のその後─休業者から従業者に移る動きと、非労働力から失業(職探し)に移る動き─」(2020年6月30日)参照。

注5 従業者数と月末一週間の就業時間を掛け合わせた値として計算しており、必要な経済活動を行うための労働ニーズ(労働需要)が顕在化した労働量とみなすことができる。

注6 2019年の4月は月末一週間のうち休日が3日と例年より多くなっている影響により、就業日数3日の従業者数が多くなっているなどイレギュラーな動きが見られているので、比較するときには注意が必要である。

注7 国内の発生状況は次のページなどで情報発信されている。 国内の発生状況など|厚生労働省新しいウィンドウ

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