労働争議の「総争議」件数は前年比17件増の295件
 ――厚生労働省の2025年「労働争議統計調査」

国内トピックス

厚生労働省は8月3日、2025年「労働争議統計調査」の結果を発表した。2025年の「総争議」件数は前年比17件増の295件で、このうちストライキなどの「争議行為を伴う争議」は同1件増の77件となった。「争議行為を伴う争議」の件数を産業別にみると「医療、福祉」が44件で、他産業よりも突出して高くなっている。主要要求事項別では「賃金」に関する事項が178件でトップとなった。

総参加人員は5,000人超増加

調査は、労働争議の実態を明らかにすることを目的に、労働争議の発生状況、争議行為の形態や参加人員、要求事項などを調べている。調査では、対象となる労働争議(労働組合や労働者の団体とその相手方との間で生じた紛争)を「総争議」といい、争議行為が現実に発生した「争議行為を伴う争議」と、解決のために労働委員会などの第三者が関与した「争議行為を伴わない争議」に大別している。

また、争議行為への参加有無にかかわらず争議発生から解決までの期間における最大人員を「総参加人員」、実際に争議行為を行った実人員を「行為参加人員」、労働者が半日以上の同盟罷業に参加したり作業所閉鎖の対象となったりしたことで労働に従事しなかった延べ日数を「労働損失日数」と定義している。

それによると、2025年の労働争議の状況は、「総争議」の件数が295件(前年調査278件)、総参加人員が10万532人(同9万5,325人)となっており、前年に比べ、件数は17件(6.1%)増、総参加人員は5,207人(5.5%)増となった。「総争議」件数は、長期的には減少傾向で推移してきたが、2019年以降は横ばい圏内で推移している。

「半日以上の同盟罷業」(ストライキ)への参加人員が大きく増加

「争議行為を伴う争議」の件数は77件(前年調査76件)、総参加人員は7万2,097人(同5万9,373人)、行為参加人員は1万7,354人(同8,982人)で、前年に比べ、件数は1件(1.3%)増、総参加人員は1万2,724人(21.4%)増、行為参加人員は8,372人(93.2%)増となった。「争議行為を伴わない争議」の件数は218件(同202件)で、前年比で16件(7.9%)の増加となっている。

「争議行為を伴う争議」について、行為形態別の状況をみると、内数の同盟罷業(ストライキ)は「半日以上」が30件(同27件)、「半日未満」が66件(同58件)となっている。行為参加人員は、「半日以上」が7,977人(同935人)、「半日未満」が9,956人(同8,042人)で、半日以上のストライキへの参加人員が増加しており、それに伴う労働損失日数も、3万1,380日(同2,501日)で前年から大きく増えている。

「争議行為を伴う争議」の労働損失日数は「運輸業、郵便業」が突出の高さ

「争議行為を伴う争議」を産業別にみると、件数は「医療、福祉」(44件)が突出して高くなっており、以下、「製造業」(8件)、「教育、学習支援業」(8件)、「運輸業、郵便業」(6件)、「情報通信業」(5件)などと続く。行為参加人員も「医療、福祉」(8,418人)がトップで、「運輸業、郵便業」(6,989人)、「製造業」(1,283人)、「情報通信業」(447人)、「教育、学習支援業」(126人)などの順だった。労働損失日数は「運輸業、郵便業」(3万120日)が突出して高く、次いで「製造業」(618日)、「医療、福祉」(419日)、「教育、学習支援業」(201日)などとなっている。

主要団体別では件数、行為参加人員、労働損失日数すべてで全労連が最多

民営企業における「争議行為を伴う争議」の状況をみると、争議行為を伴う争議のあった企業数(延べ数)は187企業、行為参加人員は1万7,354人、労働損失日数は3万1,380日となっている。企業規模別では、企業数は「1,000人以上」の57企業、行為参加人員と労働損失日数は、複数企業を相手に交渉する「その他」(それぞれ8,571人、2万5,809日)が最も高い。

また、主要団体別に件数、行為参加人員、労働損失日数をみると、「連合」は8件、1,320人、5,731日、「全労連」は59件、1万139人、2,231日、「全労協」は1件、140人、0日となっている。件数、行為参加人員、労働損失日数すべてで「全労連」が突出している。

総争議件数の要求事項の6割は「賃金」

「総争議」の件数を要求事項別(2つまでの複数回答)にみると、「賃金」に関する事項が178件(総争議件数の60.3%)で最も高く、次いで「組合保障及び労働協約」に関する事項が110件(同37.3%)、「経営・雇用・人事」に関する事項が82件(同27.8%)、「賃金以外の労働条件」に関する事項が53件(同18.0%)などとなった。前年に比べると、「賃金」は24件(15.6%)増、「組合保障及び労働協約」は16件(17.0%)増、「賃金以外の労働条件」は11件(26.2%)増となっており、「経営・雇用・人事」は8件(8.9%)減となった。

総争議の約26%が年内に解決せず「翌年への繰越」に

労働争議の解決状況をみると、295件の「総争議」のうち、218件(総争議件数の73.9%)が2025年中に「解決又は解決扱い」となり、「翌年への繰越」は77件(同26.1%)だった。解決方法は、「労使直接交渉による解決」が45件(解決又は解決扱い件数の20.6%)、「第三者関与による解決」が68件(同31.2%)、「その他(解決扱い)」が105件(同48.2%)となっている。なお、「第三者関与による解決」では、労働委員会関与の「あっせん」が63件(同28.9%)で最も高かった。

争議発生から解決に至るまでの労働争議継続期間は、「91日以上」が81件(解決件数の37.2%)で最も高く、次いで「61日~90日」が62件(同28.4%)、「31日~60日」が39件(同17.9%)、「30日以内」が36件(同16.5%)だった。

(調査部)