配布資料:第10回旧・JIL労働政策フォーラム
今後の外国人労働者の受け入れをどうするか
(2002年12月12日) 

外国人単純労働者受け入れについて

東京都立大学 中村二郎

  1. 外国人単純労働者受け入れに対するこれまでの考え方

    これまでの考え方
     「国内の労働市場にかかわる問題を初めとして日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすと共に、送出国や外国人労働者本人にとっての影響も極めて大きいと予想されることから、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分に対応することが不可欠である。

    その理由としては、

    1) 他の労働者の就業機会を減少させる恐れがある。
    2) 労働市場の二重構造化を生じさせる。
    3) 雇用管理の改善や労働生産性の向上の取組を阻害し、ひいては産業構造の転換等の遅れをもたらすおそれがあること。
    4) 景気変動に伴い、失業問題が発生しやすいこと。
    5) 新たな社会的費用の負担を生じさせること。
    6) 送出国や外国人労働者本人にとっての影響も極めて大きいと予想されること。

    論点1:以上の理由はどの程度現実妥当性があるのか?

  2. 受け入れに関する見直しの必要性

    基本的には「労働力不足への対応」であるが、実際的な要因としては以下のような事柄が考えられる。

    ア) 実際に就業している外国人労働者の多くは単純(もしくはそれに近い)労働に就いている。
    現在外国人労働者は約70万人、内、専門的・技術的労働者は14%。また、不法就労者は約30%。
    イ) 今後、中・長期的に労働人口が減少する。
    人口予想では、低位推計では、50年後には15-64才層で現在の43%(中位推計でも21%)減少する
    ウ) 非貿易財、かつ、3K的職場は今後も必要。
    高齢化に伴って3次産業(特に対人サービス)の需要拡大。
    エ) 国際化(物、金、情報、技術など)のさらなる加速。
    経済における国際競争の加速
    国際間の情報の共有化の促進
    他の先進国における国際間労働異動の加速
    オ) 急速な産業構造の変化に対する摩擦回避策の必要性。

    論点2:外国人導入以外の対応策で回避可能か?

    生産性の上昇を目指す。
    省力化投資などの拡大による労働力減少に対応する
    女子・高齢者を活用する

  3. 受け入れ方法を議論する前提

    どの程度受け入れるのか(量と質の問題)
    受け入れコストを誰が負担するのか(中央or地方政府、受け入れ企業、住民、外国人労働者、その他)
    どのような受け入れ環境の整備が可能か(政府、NGO、企業、住民)
    恒常的受け入れか短期的受け入れか(コントロール可能性の問題)

    論点3:受け入れ目的と受け入れ手段の整合性を確保することは可能か
    論点4:単純労働の定義に関する問題
    論点5:論点1において問題点を回避するような単純労働者受け入れの方法とは何か?

参考A 全ての受け入れ方法について当てはまる事柄
制度(ルール)の公平性と効率性
環境変化に対する柔軟性
送り出し国との整合性の保持
国内労働市場の市場機能の保持
日系人に関する問題
B 受け入れの方法
1) 労働市場テスト
2) 数量割り当て
3) 雇用税
4) 雇用率
5) 受入範囲による調整
6) ポイント制
7) 協定方式