有識者からのご意見3
便利なメルマガ
諏訪 康雄 中央労働委員会会長

※このページは、平成26年4月3日発行の「メールマガジン労働情報」1000号特別編集号を転載したものです。

教員だった時、キャンパスを歩いていたら、大学院生に呼び止められ、感謝されたことがある。

院生 先生、いつも助かっています。

はぁ、何がです?

訳がわからず、間の抜けた返事をしてしまった。

院生 「メールマガジン」をいつも転送してくださるではないですか。そのことですよ。

あぁ、それですか。私にきた各種のメール類で、みなさんの調査研究にも役立ちそうなものを、転送させていただいている件ですね。情報の押し売りで、ご迷惑でしょうか…。

院生 とんでもない。役に立つ情報がたくさんあって、重宝してます。

雇用労働関係の情報が載っているメルマガでも結構、たくさんありますよね。どれのことですか?

院生 JILPTのです!

なるほど「メールマガジン労働情報」ですか。えぇと、何が役立ったのでしょうか?

院生 修士論文を「契約社員」の問題で書こうとしているんで、その関係の記事が載ってて助かりました。

しまった、その記事はタイトルしか見ていなかった。話の接ぎ穂がなく、またも曖昧な返事をする。

それはよかったですね。

院生 メルマガでJILPTの存在を知り、ホームページに行ったら、たくさんの関連情報があって、すごくうれしかったです。

授業でも、JILPTや大原社会問題研究所のことは、紹介した覚えがありますが…。

院生 授業中に一般的にいわれても「あっ、そっか」という程度ですが、メルマガで定期的に情報が届けられると、発行元のJILPTにも行っとこか、となります。

なるほど…。

院生 関連して、記事にあった厚生労働省のホームページで発表資料も探しておこうかなんて、なるんです。

まさにメルマガによるPR、広報機能ですね。

ついでにメルマガへの要望なども聞いてみた。

メルマガの使い勝手はどうでしょうか?

院生 契約社員の記事が載ったら、それに関連して役立つ関連情報の存在場所を、JILPTのだけでも結構ですから、すぐ行けるようにサイト情報なんかもっと載ってたら、いいですね。

なるほど。

院生 さらに可能なら、総務省の統計情報、最高裁の判例情報、ILO、OECD、EUの情報なんていうように、関係した情報の所在サイトが一目瞭然となってたら、レポートや論文作成の時間と手間が省けて、超便利!

はぁ…。

院生 主要な先行論文や調査のサイト情報なんかも、ついてたら最高ですね。

なら、関連する政策の焦点、学説、調査の動向なども載っけてもらえば、もっとうれしいんじゃない?

院生 えっ、そこまで、やってもらえますかねぇ!?

それでは、お手軽レポート、お気楽論文作成の手助けになってしまう。大学院では、そうした一連の調査研究の手法をコツコツと身につけるのも、大事な勉強対象なのに、と思ったが、つい言いそびれる。

まぁ、編集者の時間と手間の問題もあるでしょうし、そんなに掲載してたら、メルマガが膨大になって、読むのが大変になりますねぇ。

院生 メルマガはいっぱい来ますから、大部過ぎると、忙しい毎日で、かえって見なくなりますね。

読者のみなさんは、各人いろんなことに関心があるでしょうし、入手したい情報の深度も人さまざまでしょうから、難しいところですね。

院生 そうですよね。ほんとは、私の関心あるテーマだけで結構なんですけど。(笑い)

そうも行きませんよね。

院生 ハイライトや見出しで、時の話題を提示し、それ以外はざっと並べていくしかないでしょうか。

多くのメルマガが新聞の一面見出しのようにしている手法ですね。

かねてから利用者の不満を耳にしていた「JILPTホームページの使い勝手」の感想も聞いてみた。

院生 率直にいって、見やすくありません。資料を探すのに、縦割りというか、部門ごと、雑誌ごとだったりして、特定テーマで報告書や資料を探す初心者は、正直、戸惑います。

それはカスタム検索が対応してるんだけど、似た意見は他の人からも聞いてます。

院生 もっとごく普通のクライエント志向になってほしいんですが。

今度、そう伝えておきますね。(この機会に書いておきます…)

国内外の電子図書、電子資料の充実は著しい。そのため今の院生は、図書館に出向かず、ネット上の検索だけで資料集めを済ませようとしがちだ。問題である。とはいえ、時代の流れからして、日本を代表する雇用・労働の研究機関のメルマガが、広報機能や調査研究へのインデックス機能などを充実させることは、ますます重要なものとなる。それだけに、ホームページの使いやすさの工夫やアーカイブ機能などと併せて、これからも不断の工夫がなされていくものと期待している。

平成26年4月3日掲載