労働争議件数は297件で過去2番目の低さ
 ――厚生労働省が2021年「労働争議統計調査」結果を公表

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2021年の労働争議件数は297件と、調査を始めた1957年以降で2番目に低く、減少傾向が続いていることが、厚生労働省が8月2日に発表した2021年労働争議統計調査結果で分かった。ストライキやロックアウトなど争議行為を伴う争議件数は55件で、総参加人員は3万8,540人、行為参加人員は7,858人となっており、前年に比べ件数は減少したものの、総参加人員と行為参加人員は増加となった。

総争議の件数は2003年以降、1,000件以下で推移

2021年の労働争議の状況をみると、ストライキやロックアウト、サボタージュなどの「争議行為を伴う争議」と、争議行為は伴わないが解決のため労働委員会等の第三者が関与する「争議行為を伴わない争議」をあわせた「総争議」の件数は297件、総参加人員は6万389人だった。前年に比べると件数は6件減少、総参加人員は2,963人(5.2%)の増加となった。総争議の件数は、2019年に次いで過去2番目に少なく、2003年以降は1,000件以下でかつ、減少傾向が続いている。

「争議行為を伴う争議」の件数は55件(前年比2件減)、総参加人員は3万8,540人(同6,104人増)、行為参加人員は7,858人(同1,845人増)となった。

これを行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業(ストライキ)」は32件(同3件減)、行為参加人員は722人(同84人減)、労働損失日数は1,388日(同429日減)と、それぞれ前年に比べ減少した。一方、「半日未満の同盟罷業(ストライキ)」は36件(同2件増)、行為参加人員は7,267人(同1,943人増)で、こちらは前年から増加した。作業所閉鎖(ロックアウト)や怠業(サボタージュ)は0件(2020年も0件)だった。

争議行為を伴う争議が最も多かった産業は「医療、福祉」

「争議行為を伴う争議」を産業別にみると、件数では「医療、福祉」が18件で最も多く、「製造業」と「教育、学習支援業」がそれぞれ8件、「情報通信業」が7件などで続く。行為参加人員でも「医療、福祉」が5,708人と最も多くなっており、次いで「製造業」1,052人、「卸売、小売業」511人などの順となっている。労働損失日数は「運輸業、郵便業」が635日と最も多く、次いで「製造業」303日、「教育、学習支援業」242日などの順となっている。

民営企業の状況をみると、争議行為を伴う争議のあった企業数(延べ数)は143企業、行為参加人員は7,858人、労働損失日数は1,388日となっている。企業規模別にみると、企業数(延べ数)は「100~299人」が40企業で最も多く、次いで「300~999人」(33企業)、「1,000人以上」(30企業)などの順で多い。行為参加人員は、「その他」(複数の企業を相手に交渉をしている合同労組を分類)が3,001人で最も多く、労働損失日数は「1,000人以上」が893日で最も多くなっている。

加盟している主要団体別に件数、行為参加人員、労働損失日数をそれぞれみると、「連合」が10件(2020年5件)、122人(同173人)、246日(同561日)で、「全労連」が31件(同35件)、7,415人(同5,370人)、492日(同554日)。「全労協」は2件(同5件)、19人(同14人)、11日(同111日)となっている。

主要要求事項の半数以上は「賃金」が占める

「総争議」297件を、要求事項別(複数回答、2つまで)にみると、「賃金」に関する事項が150件(総争議件数の50.5%)で最も多い。その内訳は、「賃金額(基本給・諸手当)の改定」と「その他の賃金に関する事項」が各55件など。次に多いのが「組合保障及び労働協約」137件(同46.1%)で、内訳は「組合保障及び組合活動」が126件などとなっている。

続く「経営・雇用・人事」が96件(同32.3%)で、その内訳は「解雇反対・被解雇者の復職」が57件、「配置転換・出向」15件など。最後の「賃金以外の労働条件」は31件(同10.4%)で、内訳は「職場の環境・健康管理」が19件などとなっている。

総争議のうち4件に3件が1年以内に「解決又は解決扱い」

2021年の「総争議」297件のうち、2021年中に「解決又は解決扱い」に至ったのは223件(75.1%)で、「翌年への繰越」は74件(24.9%)となっている。

解決方法の内訳をみると、「労使直接交渉による解決」が63件(28.3%)、「第三者関与による解決」が77件(34.5%)、「その他(解決扱い)」が83件(37.2%)だった。なお、「第三者関与による解決」は、77件のうち76件が労働委員会関与の「あっせん」によるものだった。

労働争議の解決状況を労働争議発生から解決に至るまでの日数別にみると、「91日以上」が73件(32.7%)で最も多く、「31日~60日」と「61日~90日」がともに53件(23.8%)、「30日以内」が44件(19.7%)となっている。

(調査部)