監督指導したトラック、バス、タクシーなどの事業場の8割で法令違反
 ――厚生労働省が2021年自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況を公表

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厚生労働省はこのほど、2021年にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して全国の労働局や労働基準監督署が行った監督指導、送検等の状況を公表した。2021年に監督指導を実施した3,770の事業場のうち、8割の事業場で労働時間や割増賃金の支払に関する労働基準関係法令違反が認められた。また、半数を超える事業場で、拘束時間や休息期間等に関する改善基準告示違反が認められた。

違反内容は「労働時間」が4割強にのぼる

監督指導を実施した3,770事業場の81.0%にあたる3,054事業場で、労働基準関係法令違反が認められた。主な違反事項は、労働時間が45.1%、割増賃金が21.2%、時間把握が7.5%などとなっている。

業種ごとに監督指導の状況をみると、違反した事業場割合が最も高かったのはハイヤー・タクシーの86.5%(230事業場)で、トラックは81.2%(2,465事業場)、バスが64.1%(66事業場)、その他が80.5%(293事業場)だった。

1989年に、特に自動車運転者の労働条件向上のために、拘束時間や休息時間、運転時間等の基準を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が策定されたが、この改善基準告示違反があったのは2,010事業所(53.3%)で、半数を超えた。

違反事項は、「最大拘束時間」が39.1%、「総拘束時間」が29.7%、「休息期間」が27.5%、「連続運転時間」が26.2%などとなっている。違反した事業場割合を業種別にみると、トラックが57.8%(1,754事業場)と最も高く、その他が43.4%(158事業場)、バスが29.1%(30事業場)、ハイヤー・タクシーが25.6%(68事業場)だった。

42件を重大・悪質な違反として送検

重大・悪質な労働基準関係法令違反のため労働基準監督機関が送検した件数は42件だった(2020年61件、2019年46件)。これを業種別にみると、トラックが32件と突出しており、その他が7件、ハイヤー・タクシーが3件だった。

内訳は、「安全基準」が17件(40%)、「労働時間」が10件(23%)、「報告等」が5件(12%)、「賃金の支払」と「割増賃金の支払」がそれぞれ3件(各7%)などとなっている。

厚生労働省では8月1日から、荷主企業からの作業環境改善に関する相談や、運送事業者からの労務管理上の改善や作業環境の改善に関する相談に対応する「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を開設した。月曜日~金曜日の9時~17時(祝日・年末年始、12時~13時を除く)まで、電話またはウエブサイトを通しての問い合わせで相談を受け付けている。相談は無料。

電話番号は、東日本が0120-763-420、西日本が0120-625-109。ウエブサイトは、https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/consultation/新しいウィンドウ

利用者の希望に応じて、オンライン相談や現地での訪問支援も無料で実施するとしている。

(調査部)