課長相当以上の女性管理職がいる企業割合は約53%で、管理職に占める女性割合は約12%
 ――厚生労働省の「2021年度雇用均等基本調査(企業調査・事業所調査)」結果

国内トピックス

厚生労働省がこのほど発表した2021年度雇用均等基本調査結果によると、課長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は53.2%で、前回調査(2020年度)から0.4ポイント上昇した。管理職(課長相当職以上)に占める女性割合は12.3%で、前回(12.4%)からほぼ変わらなかった。男性の育児休業取得者の割合は、前回の12.65%を上回る13.97%で、9年連続の上昇となった。

総合職での女性割合は約20%

調査は全国の企業と事業所を対象に2021年10月1日現在の状況について尋ね、3,538企業(有効回答率59.0%)、3,683事業所(同58.5%)から回答を得た。企業調査では、常用労働者10人以上の企業を対象に、女性の管理職割合やハラスメント対応策などについて尋ね、事業所調査では、常用労働者5人以上の事業所を対象に、育児・介護休業制度や多様な正社員制度などについて尋ねた。

企業調査結果からみていくと、正社員・正職員に占める女性の割合は27.4%で、前回調査(2020年度)の27.2%から0.2ポイント上昇した。これを職種別にみると、総合職で20.7%(同20.2%)、限定総合職で34.0%(同32.6%)、一般職で33.9%(同35.4%)、その他で30.4%(同29.5%)となっている。

女性の正社員・正職員に占める各職種の割合(構成比)は、一般職が43.2%で最も高く、次いで総合職が36.1%、限定総合職が13.5%などとなっている。一方、男性は、総合職が52.1%と半数を超え、一般職が31.8%、限定総合職が9.9%などとなっている。

約4割の企業で、総合職は「男性のみ採用」

正社員・正職員の採用状況をみると、21.3%の企業で2021年新規学卒者を採用している(2020年度20.6%)。採用区分別にみると、総合職では「男女とも採用」が45.2%で、「男性のみ採用」も41.8%と4割台となっている。限定総合職では「男性のみ採用」が49.6%、「男女とも採用」が25.6%、「女性のみ採用」が24.8%だった。一般職は「男性のみ採用」が35.2%、「女性のみ採用」が32.7%、「男女とも採用」が32.1%となっている。

いくつかのコースを設定してコースごとに異なる雇用管理を行う「コース別雇用管理制度」がある企業割合は、企業規模10人以上で6.6%(2017年度調査6.5%)、30人以上では10.9%(同11.2%)となっている。規模別にみると、5,000人以上では57.4%と6割近くにのぼり、規模が大きいほど導入割合は高い。産業別にみると、「金融業、保険業」16.2%、「運輸業、郵便業」11.9%、「不動産業、物品賃貸業」10.1%などで比較的高くなっている。

役員に女性がいる企業の割合は約21%で前回より微増

女性管理職(課長相当職以上)がいる企業は53.2%で、前回調査(2020年度)の52.8%に比べ0.4ポイント増加した。

管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は12.3%と前年度(12.4%)とほぼ変わらず()。管理職の役職別に女性割合をみると、役員では21.4%(2020年度20.3%)、部長相当職で7.8%(同8.4%)、課長相当職で10.7%(同10.8%)となっている。

図:女性管理職割合(課長相当職以上)の推移
画像:図

(公表資料から編集部で作成)

女性管理職割合を産業別にみると、「医療、福祉」で48.2%と突出して高くなっており、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」(24.3%)、「宿泊業、飲食サービス業」(22.3%)、「教育、学習支援業」(19.8%)などの順で高くなっている。

新たに役職に昇進した人のうち15%が女性

2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間に、課長相当職以上に昇進した女性がいた企業割合は8.1%で、2019年の前回調査(6.8%)から1.3ポイント上昇した。役職別にみると、役員が2.4%、部長相当職が2.1%、課長相当職が4.7%だった。

同1年間に、新たに役職についた昇進者に占める女性割合は、課長相当職以上では14.5%と、前回調査(12.0%)から2.5ポイントの増加となった。役職別には、部長相当職で9.8%(同7.6%)、課長相当職で15.6%(同13.6%)だった。

3社に1社が不妊治療と仕事の両立支援制度あり

企業調査では、不妊治療と仕事の両立支援制度についても聞いている。同制度がある企業は34.2%で、3分の1を超える企業で同制度が導入されている。

制度の内容(複数回答)は、「時間単位で取得可能な年次有給休暇制度」が53.8%、「特別休暇制度(多目的で不妊治療にも利用可能)」が35.7%、「短時間勤務制度」が34.6%、「時差出勤制度」が30.8%、「所定外労働の制限の制度」が29.1%などとなっている。

約8割の事業所に育児休業制度の規定あり

事業所調査結果によると、育児休業制度の規定がある事業所は79.6%で、前回調査(2019年度調査)から0.5ポイント上昇した。規模別にみると、500人以上で99.9%、100~499人で99.4%、30~99人で93.7%と、30人以上の各規模では9割を超えるが、5~29人規模では75.1%にとどまっている。

制度の内容をみると、育児休業を取得できる年齢は「2歳まで(法定どおり)」が60.5%(前回調査56.7%)で最も多く、次いで「2歳未満」が28.4%(同33.0%)、「2歳を超え3歳未満」が7.8%(同7.5%)となっている。

育児休業を取得した際にどのように雇用管理しているか(複数回答)については、「代替要員の補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」が79.9%と最も割合が高く、前回調査の52.3%から大きく増加した。一方、「派遣労働者やアルバイトなどを代替要員として雇用した」(15.0%、前回37.2%)、「事業所内の他の部門又は他の事業所から人員を異動させた」(14.6%、前回25.2%)は2年前の前回調査から割合が大きく低下した。

配偶者が出産した男性がいた事業所で、男性育休者がいた事業所の割合は2割弱

一方、事業所調査から育児休業制度の利用状況をみると、2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間に、「在職中に出産した女性がいた事業所」に占める「女性の育児休業者がいた事業所」の割合は、89.5%とほぼ9割に達し、前回調査(2020年度)の87.5%より2.0ポイント上昇した。また、これを女性の有期契約労働者についてみると、81.1%で8割を超え、前回調査の77.4%から3.7ポイント上昇している。

同様に、男性についても聞いたところ、同1年間に「配偶者が出産した男性がいた事業所」に占める「男性の育児休業者がいた事業所」の割合は18.9%で、前回調査の15.8%から3.1ポイント上昇した。男性の有期契約労働者についてみると、15.3%(前回調査12.6%)とこちらも2.7ポイント上昇している。

男性の育児休業取得者の割合は約14%で、9年連続で上昇

育児休業取得者の割合についても調べている。同1年間に出産した女性のうち、育児休業を開始・申請した女性の割合は85.1%と、前回調査(2020年度・81.6%)を3.5ポイント上回った。有期契約労働者(女性)については68.6%で、前回調査(同62.5%)を6.1ポイント上回った。

同様に、男性の育児休業取得割合をみると13.97%で、前回調査(同12.65%)から1.32ポイント増加。男性の育児休業取得者の割合は2012年から9年連続で上昇して過去最高の水準を更新したが、女性の取得率を大きく下回っている。男性の有期労働者については14.21%(前年11.81%から2.40ポイント増加)で、男性では有期労働者のほうが、取得割合が高い。

育児休業後、女性は93.1%、男性は97.5%が復職

育児休業後の復職の状況についても聞いた。2020年4月1日から2021年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、実際に復職した割合は女性で93.1%(前回2018年度調査89.5%)、男性は97.5%(同95.0%)だった。

同期間に育児休業を終え実際に復職した女性の育児休業期間は、「12~18カ月未満」が34.0%(同29.8%)で最も多く、「10~12カ月未満」が30.0%(同31.3%)、「18~24カ月未満」が11.1%(同4.8%)などが続く。一方、男性の場合は、「5日~2週間未満」が最も多く26.5%(同35.1%)を占め、次いで「5日未満」25.0%(同36.3%)、「1~3カ月未満」24.5%(同11.9%)などとなっており、男性の育児休業期間は2週間未満が半数以上を占めた。

2020年4月1日~2021年3月31日までの1年間に育児休業を終え復職した女性がいた事業所のうち、「パパ・ママ育休プラス」を利用して原則1歳までの育休を1歳2カ月まで延長して取得した労働者がいた事業所の割合は2.7%(前回2015年度2.9%)だった。女性の復職者のうち同制度の利用者割合は2.4%(2015年度1.9%)となっている。

育児のための時短等制度がある事業所は7割強

育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所は73.2%(前回2020年度調査73.4%)だった。制度の内容は(複数回答)、「短時間勤務制度」が68.9%、「所定外労働の制限」が62.7%、「始業・終業時間の繰上げ・繰下げ」が39.5%などとなっている。

子どもの看護休暇制度がある事業所は65.7%(前回2020年度調査62.4%)で、うち事業所規模30人以上では83.9%(同80.6%)と高くなっている。子どもの看護休暇制度の利用可能期間は「小学校就学の始期に達するまで(法定どおり)」が84.3%、「小学校4年生~小学校卒業まで」と「小学校卒業以降も対象」がそれぞれ6.1%で続く。

(調査部)