大学卒業者の就職率は95.8%でほぼ前年並み
――厚生労働省・文部科学省の「2022年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」
国内トピックス
厚生労働省と文部科学省は5月20日、2022年3月に卒業した大学生等の就職状況(4月1日時点)を公表した。大学生の就職率は95.8%でほぼ前年並み。また、同日に厚生労働省が公表したハローワーク求人における3月末現在の高卒者の内定率は99.2%となっている。
就職率は短期大学・専修学校で上昇
大学生等の就職状況は厚生労働省と文部科学省が共同で、年4回(10月、12月、2月、4月)実施・集計しているもの。
それによると、2021年度(2022年3月)の大学等卒業者が就職を希望する割合(就職希望率)は、大学で76.1%(前年同期比0.1ポイント上昇)、短期大学は79.0%(同0.3ポイント上昇)、高等専門学校は54.0%(同6.3ポイント低下)で、これらの全体では74.9%(同0.2ポイント低下)。一方、専修学校(専門課程)は87.0%(同0.1ポイント低下)となっており、これを含めた総計での就職希望率は75.9%(同0.3ポイント低下)となっている。
就職希望者に対する就職者の割合(就職率)は、大学で前年同期比0.2ポイント低下の95.8%、短期大学が同1.5ポイント上昇の97.8%、高等専門学校で同0.9ポイント低下の99.1%となり、これらの全体では同0.2ポイント低下の96.1%だった。専修学校(専門課程)は同3.5ポイント上昇の94.7%で、これを合わせた総計での就職率は、同0.2ポイント上昇の96.0%となっている。
大学生の就職率は、2018年に過去最高の98.0%を記録し、高水準を維持していたが、コロナ禍の影響などで2021年は96.0%まで低下。2022年は微減におさまった形となった。なお、2021年に落ち込みが大きかった専修学校(専門課程)の就職率(2021年は前年同期比5.6ポイント低下の91.2%)は、2022年は94.7%と持ち直している。
大学生の就職率は男女差が拡大
大学生の就職率について詳しくみると、男女別では男子が94.6%(前年同期比0.4ポイント低下)、女子が97.1%(同0.1ポイント低下)と、ともに前年に比べ減少しているが、就職率の男女差(女子-男子)は2.5ポイントと拡大している(昨年は2.2ポイント差)。
国公立・私立別にみると、国公立大学は前年同期比0.2ポイント上昇の96.1%だったのに対し、私立大学は同0.5ポイント低下の95.6%となった。文系・理系(大学のみ)別にみると、文系は95.4%と前年同期に比べ0.6ポイント低下したのに対し、理系は97.4%で1.5ポイント上昇した。
高卒内定者数は7.9%の減少
一方、厚生労働省が取りまとめた「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」によれば、高校新卒者の就職内定率は99.2%と、前年同期比0.1ポイントの上昇となった。内定者数は同7.9%減の約13万4,000人、求人数は同0.9%増の約39万人、求職者数は同8.0%減の約13万5,000人となっている。
中学新卒者の就職内定率は87.5%と、前年同期比で2.8ポイント上昇した。内定者数は266人で同22.4%の減、求職者数は304人で同24.9%の減だった。
(調査部)
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