パネルディスカッション:第22回労働政策フォーラム
業績回復期における人事戦略のあり方
— 企業と労働者の視点から —
(2007年1月29日)

開催日:平成 19 年 1 月 29 日

※無断転載を禁止します(文責:事務局)

守島 今回、このシンポジウムを実施するに当たって、パネリストには「人事の役割」をある意味では乗り越えているような企業と労働組合の代表の方が良いと思っていました。

私は常々、NEC 労組というのは、人事戦略、人事施策の設計に以前から積極的に関わっておられて、NEC の中で様々な新しい考え方が出てくるのは、労働組合の役割が非常に大きいのではと思いお願いしました。

スリーエムは、人を大切にする外資だと思っています。我々が言うNEW J型よりもう少し進んだ視点から、人事、人材マネジメントを総合的・戦略的に考えていらっしゃる企業であろうという気がしてお呼びしました。

阿部先生には、人事というものを考える際の、大きな枠組みというか、経済学的に全体システムとしての総合性からのお話をお願いしています。

今、お三方からお話を頂いて、私自身がそれぞれの方に聞いてみたいポイントがございますのでお答え頂ければと思います。

まず、阿部先生は、人材の境界というようなお話をされて、非常にユニークな視点で、あるポストに誰を配属するのかは、やはり、大きな人事上の意思決定になるというお話だったと思いますが、それが現状では、複雑化・高度化してきている。阿部先生からご覧になって、人事マンとして、もしくは労働組合として、人材の境界を考えていく際の、キーポイントは何でしょうか?ポストがある時に人材を当てはめる訳ですが、それが今までだったら、正社員ということでスッとできたのですが、今は非正規等、色々な選択が出てくるという時に、何をキーポイントとして考えていくのかという所をもう少しお話頂ければという気がいたします。

阿部 人材の境界に絞ってお話しますと、以下のファクターが人材の境界を決める上では重要だと思っています。

私は"関係特殊的人的資本"と呼んでいますが、人的資本、つまりスキル、知識といったものが、どの会社で、あるいはどういう仕事について使えるものと、そうではなくて、この仕事ならこういったもの、この会社ならこういったものという、関係した特殊的なスキル、能力、知識といったものがある訳です。この関係特殊的スキルが大きければ大きいほど、その関係性がないとそのスキルや知識を身につけることはできません。そうした場合に、その仕事を外に出すということは破滅的な結果をもたらすだろうと思います。

例えば昨今、偽装請負だとか、請負、派遣とか色々な問題が出ていますが、あれは外に投げていい仕事だったのか、それとも投げてはいけない仕事だったのかということを、もう一度評価する時期に来ているのではないかと思います。何でもかんでも簡単な仕事は外に投げてしまって失敗している会社というのは沢山あるわけです。そのようなことは恐らく、関係特殊性ということで整理をつけられると思っています。

例えば、請負で全て仕事をやってもらう時に、製品サイクルが極端に短い場合があると思いますが、そのような対応ができるかということです。請負が対応してしまうと、どういうふうに対応したかというのを、請負側がブラックボックス化する、あるいは派遣社員がブラックボックス化するということもありますが、その仕事内容をブラックボックス化してしまうと、今度は発注している側がブラックボックスの中身を知らずに、全部仕事を請負会社が持っていくとかの問題が起こってくると思います。

それ以外にもあります。アルバイト、パートに任せてしまった結果、それが全てブラックボックス化して、正規従業員にはそのノウハウがなくなってしまうという問題もあるでしょう。こういったことが、人材の境界を決める上では非常に重要なポイントだろうと思います。

ところが、それを見ないでただ単にコストが安いからといって外に投げている会社というのは結構あるわけです。我々がやった研究でも、このような会社というのは、数年の内に市場から退出していくという確率が高まっています。人材の境界を決める上では、そういう関係特殊的な人的資本、スキルといったものが重要ではないかと思います。

守島 関係特殊性という議論は、要するにそこにあるものがどれだけ暗黙知的なもので、形式知化できないかというところと、大きく関連してくると思います。

阿部先生からご覧になって、関係特殊的なスキルというのは、人事とか企業が管理できるものなのでしょうか?それとも何らかの環境要因や技術要因とか、その企業が競争している環境とかで決まってしまうものなのでしょうか?

例えばサービス業の場合、非常に関係特殊的なスキルを強調して、企業の戦略に合った形で勝っている企業もあるし、そこを標準化して標準化して、形式化して形式化して、そういう形で勝っている企業もあります。例えばヤマト運輸は前者で、マクドナルドは後者だと思います。そういう企業もある中で、これから企業はどう考えていくべきなのでしょうか?この点について、マネジャブルな一つのポイントだと考えるのか、それとも、外生的に決まるので、それを見きわめるのが人事の仕事だと考えるのでしょうか?

阿部 外生的なものだろうと思いますが、それは企業の経営戦略でも変わっていくように思います。恐らく、どういうマーケットに入っていくかで変わっていくような気がします。例えば、寡占状態と競争が激しいようなところとでは相当違いがあると思っています。ですから、例えばヤマト運輸が寡占しているかどうかはわかりませんが、ある一つのヤマトのシステムいうのがある場合と、そうでなく、誰でもできるような仕事の場合には外部化できるでしょう。そのようなマーケットの特性というのもあると思います。

守島 ここにいらっしゃる方々の企業で、製造業系で技術が大切という企業は沢山おられると思いますが、技術系の人材について、今の阿部先生のお話も含めて、これからどのようにマネジメントをしていくかという時に、技術系の人材を成果主義にするのか──ある意味では非常に厳しい短期的な評価にさらすのか、それとももう少し違ったタイプの関係特殊的なものを長期的に蓄積していくようなタイプの人材マネジメントにするのかというのは、恐らく、多くの企業の一つの悩みではないかと思いますが、その辺について、「研究開発のスリーエム」と呼ばれている住友スリーエムでは、どのようにお考えなのか、阿部先生のお話との関連も含めて教えて頂けますでしょうか。

アキレス まさにそこは日々悩んでいるところで、やはり、技術も上から降ってくるものと、短期で成果を上げなくてはいけないものが沢山あります。その中で、優先順位をつけて、芽の出そうもないものは後回しにしようというムードが、特にこの2年ぐらいでかなり増えてきました。そこでいつも面白いと思うのは、スリーエムの元々のカルチャーというのは、例えば 15 %ルールですとか、ブートレッキングとか、上司がやるなと言ってもどこかでやってしまい、それがOKというところがあり、降ってくるものをやりつつ 15%で 85 対 15というよりも、115分ぐらいの感じで、好きなことを、自分が本当にこれは将来、物になるというものを、最初は小さくグループを作って、始めている技術者が結構いるのです。

1カ月ぐらい前に技術の部長会に出ていた時も、あるグループが"クラブ 15"というものを作って、これはまだ芽が出ないかもしれないけれど、面白そうだからと、経営企画と技術と組んでやっているということが発表されまして、皆さんも是非やりましょう、参加して下さいと言ったわけです。その1カ月後、ジェネシスというスカラーシップのような制度がスリーエムにありまして、それが、米国の本社で合格したと聞いて、私も非常に嬉しかったです。

やらなくてはならないことが沢山ある中で、何かやりたいことを温めて、仲間を作ってチャンスがあればそれを報奨制度も含めて上に出す機会がありますので、それを出してみて、今度はそれが 15%ルールでなく、本当の仕事になっていく。そういった仕組みというのは、まだまだスリーエムでは機能しているように思えます。

守島 そうすると、そういう仕組みというのは、経営戦略や企業の方向性・ビジョンに統合されている、ビジョンによって正統化されているのが重要だということですね。

アキレス そうですね。

守島 例えば、先ほどの 15%の施策については、何か施策でどうこうできるというイメージでもないように、今のお話では伺ったのですが。

アキレス 私共のヒットしている商品というのは、もう 15%ルールから沢山出ていて、最初は、「え、そんなの物になるの?」というものが非常に多いのですが、諦めないで動いていると、面白そうだと思う人が増えて、スポンサーが増えて、それが正式なプログラムになっていくパターンがものすごく多いので、そのような言うなればカルチャーなり、それを支える仕組みを殺さないようにしていくのが、一つマネジメントであり、人事の仕事であると思っています。

守島 今、NEC全体としての業績は非常に良くなってきているように思います。人事、人材マネジメントというものが、多分、NECでも様々な形で変化してきたと思うのですが、変化してきてある程度落ち着いた中で、労働組合としての次の課題、戦略ポイントというのは何でしょうか?

梅本 私共としても処遇の仕組みを 2000年に大きく見直してきましたので、処遇制度の理念は概ね定着してきていると思っています。ただ、業績が思うように伸びなかったり、また労務構成の問題、人員構成のピラミッドの問題もあるのですが、今、社員の中で"つっかえ感"みたいなものがあるように思います。今の処遇システムからすると、どうしても短期的な成果というものに目が行きがちではないかと感じています。ただ、目に見える処遇で全員に均等に配分ができるというと、現実的には難しい部分もあります。また、単に賃金をこれまで以上に上げていくとうことは、それはそれで重要であるにしても、必ず

しもそれがそのまま働きがい向上の大きな要因となるということでもないと思っています。現実的には難しいのですが、実際に従業員が働きがいを何に対して感じているのか、その部分を幅広い意味での処遇の中に何らかの形で反映をさせていくことができないかと思います。

守島 日本の多くの企業の人事は、ずっとコスト削減とか効率化というキーワードでやってきて、やはり、働きがいとかモチベーションとは何かというところが、それこそ業績回復期における人事戦略のコア概念としてあると思うのですが。

立道 守島先生の報告の中で、東大の高橋伸夫先生の話が出たのですが、高橋伸夫先生の持論である「日本の企業の仕組みとして、労働者に賃金だけで報いるのではなくて、次の仕事で報いること」があると思います。仕事は、ずっと続く仕事もあれば、区切りのある仕事もあります。すると終わってしまった時に、さらにその人が挑戦心をかき立てられ、モチベーションを高められるような良い仕事を会社で用意しておくということが必要ではないかと思います。

しかし、ビジネスの変化のスピードが非常に速くなってきている中で、特に優秀な人にとって面白い仕事というのが常に社内にあるとは限りません。そのような面からも雇用関係が必然的に短期化してしまうという動きもあると考えます。

守島 仕事で報いることは人事や労働組合がどのぐらいできるのでしょうか。これは、雇用が短期化するからという話につながるのですが、人事から言うと、それを言われては無力感があるという感じもします。やはり、高度成長期というのは人材育成という視点からすると、すごく良い状況で、人がやったことのないチャレンジングな仕事がどんどん出てきたというのが一つの特徴です。そういう状況がない今、社内でどうやってチャレンジングな仕事を提供できるでしょうか。

アキレス 勿論、やりがいのある仕事を提供できるかどうか。また、本人がそういった仕事を自分で作る環境があるかというところは非常に大事だと思いますが、もう少し単純に、何で会社で働くかという根本的なところで、仕事観の違いはあると思います。人によって、バランスをとってやっていきたいと思います。別に部長やその上にならなくたって、自分の毎日の仕事をあるレベルまでやって、良い仲間がいて、それでハッピーという人もいれば、やはりグローバルに出ていきたい。そのために、自分はこれをやるという人もいて、非常に個人差がある。そうすると、企業はやはりパーセプション(認識)のマネジメントとか、イクスペクテーション(期待)のマネジメントをいかにやっていくかというのが、一つのキーになると考えています。

先ほどの報告にもございましたが、私は外資の金融にもいたことがあるので、A型の企業におりました。短期の成果主義というところで満足度が低いというお答えが出ていましたが、必ずしもそうではないという実感を持っています。というのは、最初から期待が違うわけです。ずっとそこで働こうという気持ちよりも、何年かそこで腕を磨いて年収を上げてまた次に行こうという気持ちで入れば、別に長期雇用じゃなくても OKなわけです。

一方、J型とか、NEW J型はそういう考えではなくて、長い間そこに勤めて、キャリアをアップして、きちっと成果は成果で認めてもらいたいというものですね。どういうイクスペクテーションでその企業に勤めるかによって違ってくるので、弊社の方もそこをうまく理解して頂いた上で、色々な方に来てもらって、ダイバーシティを推進していますが、十把一からげにこのやり方でやれば、全てのモチベーションが上がるということはないだろうと考えています。

阿部 私もそうだと思います。従来の従業員のタイプというのは、一つでくくれたと思います。今、それはできなくなっていて、世代によっても考え方は全然違うと思います。それこそ人種、国籍とか色々出てくると、もうばらばらですよね。そうした中で、個々の人がどのような目標を持って生きようとしているかというのを大切にしてあげないと、モチベーションも上がらないだろうと思います。

梅本 今、従業員の中でも私より7歳ぐらい年下の方は本当に意識が違うといいます。就社というよりも就業しているという意識が高い方がすごく多くて、2~3年経った時に、結構な数の社員が退職します。せっかくNECという会社に入ったわけですから、なるべく長く働いてもらいたいと思うのですが、その辺りのギャップは非常に大きいです。

色々な理由がある中で、これは少し残念だなというケースがあるとすれば、この会社にいるのに自分の成長観につながらないという形で辞めるケースです。仮に退職されるにしても、色々と自分にやりたい事があって、身につけるスキルもNECの中にあって、これを元に外に行きたいんだと言われるぐらい、やはり成長観につながっているという実感を与えてあげられるかというところも一つの軸だと思います。

守島 人事として見た場合に、ダイバーシティという問題は非常に重要な問題で、これにどう対応していくかということですが、日本企業というか、我々が見ているようなNEW J型のようなタイプの人事の中でダイバーシティを進めて行く時のキーになる考え方は何でしょうか。アキレスさんのように、色々な企業で、特に外資系で多様な人材を管理される中で、日本の企業に一番欠けている、もしくは大きな企業で、やはりこの部分がないのではないか。モチベーションマネジメントのキー概念がダイバーシティだとすると、この部分は強調すべきだという点はございますか?

アキレス 住友スリーエムに入社したのは3年少し前ですが、その時に、今度こういうコミッティーをやるからリーダーになれと言われました。それは、エネジーアイズコミッティーというのですが、もっと元気に活き活きと仕事をするためには、会社としてどんなバックアップができるかというコミッティーで、その時にビジョンコンセプトを作りました。一つ言ったのが、Have a fun at work. 日本語で言うと、仕事自体を楽しんじゃいましょう。なぜかというと、一日の内の大半を過ごす仕事が楽しくなければ、人生ってあまり楽しくなくなってしまうのではないかと。アフターファイブだけ楽しむのではなくて、仕事自体を楽しめるように持っていきたいというキャッチフレーズでやったのです。

そういうキャッチフレーズをもとに、色々な社員と話をしていると、特にトラディショナルな考えを持っている方は、仕事って楽しむものと考えたことがないので、仕事って楽しむものなのですかという反応が返ってきて驚きました。やりがいのある仕事をやって、達成感があって、また次に何か可能性があると思えば仕事ってすごく楽しいと思います。

しかし、同じことを繰り返して、何か達成意欲も段々萎えてきて、もうお給料もらえればという感じだったら、全然楽しくなくなります。楽しいというのが一つのキーワードです。

去年のデータですが、新卒で入ってきた60名ほどの人達に「何故、住友スリーエムに入ったのですか」というアンケートをとったら、1位が面白そう、2位が、雰囲気が良い、3位が会った人が良かったということでした。組織風土とか優れた技術力とかが 5位にも入っていなかったので、これは喜んでいいのか、疑問に思った方がいいのかと思ったのですが。やはり今の若い人達というのは、自分が楽しめる、面白いと思える、何か夢中になれるものを与えてくれる舞台として企業を見ている。楽しそうに語っている社員と面接したら、自分も入りたくなったということです。

モチベーションが高いということは、辛いことであっても、何か楽しめる部分を持っているということで重要だと思います。日本の企業の皆さんは、真面目に一生懸命頑張っているイメージがあります。

阿部 2年ほど前に、ある県内の信用金庫等の金融機関を集めて研究会をやりました。その時に、各企業の役員、中間管理職、それから一般従業員の 3層にアンケートを行い、一般従業員をどれだけ大切に思っているか、またダイバーシティというか、女性の活用がどれぐらい進んでいると思っているかなどの質問項目を並べていきました。実際に、女性活用がうまくいっている企業は、役員から下の層まで皆同じ意識を持っています。ところが女性活用が全然進んでいない企業というのは、役員は実は女性活用は進んでいると思っているけれど、一般職は全然進んでいないと思っている。しかも、一般職は仕事のやる気が全くないわけです。役員は、かなり積極的にトライしようとするのですが、一般従業員はそんなのやりたくない。そういう面で、意識の差も非常に大きいような気がします。多分、それはミドルマネジメント層がうまく使いこなしているかとか、情報を伝えているかというところが、実は人事制度そのものよりも重要なような気がしました。それが、例えばダイバーシティ導入のためだけではなく、他の全てのことにつながっているような気がします。

守島 アキレスさんが言われたことで、思い出した事例というのは、最近、Googleの人事の方に 2時間ほど話を聞きましたが、Googleの人事というか、人材マネジメントのあり方は本当に面白いです。極端に言えば何でもありという世界です。会社に来る時間も自由だし、会社の中で何をやっていてもいい。その結果、仕事は皆楽しんでやっていますね。でも成果の評価の仕方が甘いかというと全然そんなことはなくて、非常に厳しい評価です。そうすると、一つのイメージとして出てくるのは、我々は成果主義と納得性みたいな話をしてきて、それが真面目な日本人の人事管理をやっているイメージだったのですが、そうではなくて、成果主義と一緒に出すメニューというのは、仕事自体を、ワークライフをエンジョイするというところなのかなという気がしました。

それは、恐らくダイバーシティであるとか女性の活用であるとかの問題とも関連してくるのかなという気がしたのですが。NEC で社員はワークとライフを両方楽しんでいますか?

梅本 ワークライフバランスということで言いますと、私どもも、パク先生が提唱されて以降、組合としても非常に共感できる概念だと考え、組合の活動の一つの方針にしてきました。

ただ、現実的には、非常に競争の激しい業界でもありますので、理想のワークとライフのバランスの割合からみれば、どうしてもワークの方に重きを置いているという方が非常に多いと思います。

個人によってワークライフバランスの印象はまだまだ全然違います。それから個々人のライフステージによっても、今はワークの方で大変だけれど、これで納得している方々もいます。人により考え方は様々であり、組合としては自分の意に沿わないワークライフバランスはやめましょうと言っています。バランスは人それぞれあってもいいはずです。ただ、自分の理想を超えてまで、ワークの比重が多くなっていると感じられるときには、組合としても手助けできませんかというような形で活動しています。

守島 それをやっていると、皆がワークワークバランスになりませんか。

梅本 現実的には、もう少しライフが増えてもいいかなという気はします。毎月、組合の機関紙で、仕事も一生懸命やりながら、ライフの方もすごく充実させている方を紹介しています。やはりライフを充実させようと思うと、ワークの方が充実していないと駄目です。仕事をほっぽらかしてライフばっかり充実させるという人というのは、周りから見ていても評価されません。やはり、両方ともきちんとできている人というのは、周りから見ても輝いて見えますね。

守島 ワークライフバランスというコンセプトは外資にはあるのですか。

アキレス コンセプトはあります。ただ、スリーエムでは何時間はライフで何時間は仕事という分け方ではなく、ある時はワークワークかもしれないけど、それでは長く続かないから、休暇を取る時はしっかり取る。私も色々な会社にいましたが、一つだけいつもお願いしているのは、8月の 2週目、3週目は休暇を取ることを前もってチームに宣言しています。そうすると、最初の内は1週間しか休みをとらなかった幹部が少し長目の休みを取るようになりました。

また、休暇申請は全て認めます。もう大人ですし、周りのことを考えた上での申請だと思いますから。そして、自分自身もバランスを取り、めり張りをつけて、チームにもそのようにして欲しいと思っています。時間というよりも、そういう考え方を共有したいと思っています。

守島 人事戦略というのは、ダイバーシティとワークライフバランスとか、ある意味で働く人たちが、人生をエンジョイするような具体的な方策も含めて、どういうふうに支援をしていけるのか、もしくは価値観を共有していけるのかというところだと今の議論で大体見えてきたように思います。

しかし、そうなるとミドルマネジメントは大変だと思います。勝手に色々なところで休みを取っているし、休暇申請が出てきたらノーと言ってはいけないし、育休を取っている女性はいるし、男性も育休を取るようになってきているので、ミドルマネジメントへの負荷というのが高まっていき、結果として見ると現場が荒れるような現象に陥るように思われます。現場におけるミドルマネジメントの重要性は高いことは皆、認識するのですが、全体的な流れはミドルの弱体化方向に行っているように思うのですが。

阿部 私は、ミドルマネージャーに対する人事戦略はないと思っています。確かに、集合研修とか、色々な研修がされますが、ミドルマネージャーって一体何なのかというのをもう一回改めて考える必要があると思います。

よく課長のレベルだと、プレイングマネージャーという会社があると思いますが、ミドルマネジメントのマネージャーの仕事というのは、プレーヤーをやっていたらもたないと思います。成果主義が入ってきただけでも、評価が非常に大変だと思います。それ以外に育休を取った人の代替要員はどうするとか、代替要員でなくて自前でやってしまおうかとか、あるいは、部下の健康マネジメントも最近では重要になっていますし、果たして今までのようなミドルマネージャーの仕事というのでやっていけるのかを考える時だと思います。

ですから、実はマネージャーは非常に重要でして、今、ある会社のマネージャーの EQ、感情の知能指数と言われているものですけれども、このEQのあり方が、部下たちの仕事ぶりとか、そういったものにどう影響しているかというのを見ますと、管理職の EQの状況によって部下たちの仕事ぶりが全然違うというのが見えてきています。マネージャーの人間力が部下の働きぶり、そしてひいては組織全体の生産性だとか効率性にも大きく影響しているということがわかりつつあります。

そういうことを考えると、やはり管理職の仕事というのをもう一回見直さないと、多分NEW J企業は成長しないのではないかと思います。

守島 それは僕も賛成です。確かに、人間力という言葉は今、大はやりですよね。色々な人事の人が使いたがる。ただ、僕はできるだけ自分が書いたり話したりする中で人間力という言葉を使わないようにして、もう少しブレイクダウンした言葉で議論したいのですが、特にミドルマネジメントの人間力はどのようにイメージされていますか。

阿部 EQジャパンが提供している EQIというソリューションツールに、EQには24の素養があるのですが、簡単に言えば、コミュニケーション能力とリーダーシップ能力ではないかと思います。

コミュニケーション能力の高いリーダー、それからリーダーシップの発揮できるリーダーによって、組織のあり方が非常に変わってくるのが見えてきます。つまり、人間力という一つの言葉ではないということです。

アキレス 人間力のある人は、何故か、説明しなくてもその人の影響力を発揮することができます。パワーには何種類かありますが、1つはポジションパワーというのがあります。社長とか部長が言っていることだからやろうというポジションパワー。それから専門能力のパワーもあります。ITとかでは専門能力の高い、一目置かれた人というのは、やはり皆を動かす力があります。逆にそれがなくて上に行ってしまうと技術の世界では動かせないところも出てきます。

その他にパーソナルパワーがあります。その人だから耳を傾けようとか、あの人が言っているのだったら細かいことを言わないで少しやってみようか。そういったパーソナルパワーを持っている人が、どのぐらいミドルマネジメントにいるか重要です。たまたま年功序列的に課長とか部長になって、今まで大きな失敗もなく課題達成型でやってきた人達は与えられた事をやるということが多いですから、自分から作っていくというところは結構苦手だったりするのではないかと思います。

人間力を持っている人は、うまく周りの人を使いながら、周りは使われるという感覚なしに、自分の能力の足りないところは能力のある人を持ってきたりして、動かしていける人ではないかと思います。

守島 それは、リーダーシップという概念とどこが違うのでしょうか。

アキレス リーダーシップの中に人間力は含まれていると思います。

立道 個人の持っている「カリスマ的な素養」というものがどの程度「人間力」に与えるのでしょうか。

アキレス カリスマ性よりも、重要な要素というのはその人の持っている想像力、つまり相手の立場に立って物を見られるかどうかが一番のキーだと思います。

経営陣と話す時は経営陣の立場に立って物が見えているかどうか。一社員と話す時は社員の立場に立って物が見えているだろうか。エンパシーとシンパシーの差は、シンパシーは自分だったらこう思うのにというところで相手を理解する。エンパシーは、自分はそう思わないけど、新入社員の立場だったらこういうふうに感じるだろうなということです。相手の立場で物を見る能力のある人は人間力が高いと思っています。

守島 私も確かにミドルマネージャーというのは重要だと思っています。確かに、人間力の問題であるとか、リーダーとして持っている特質を育成、選抜するという議論も大切ですが、人事として忘れていけない議論は、ミドルマネージャーをもう少しポジションとして魅力的にしてあげてもいいのではないかということなのです。

今、昇進したくない若者達が増えていると聞きます。何故かというと、一つはやはり魅力がないからです。上がってみても給与は殆ど上がらないし、かえって残業代が減って、トータルな年収ベースでは少なくなってしまうので、彼らから見ると、何か忙しそうで部下の様々な調和に追われているようなイメージがあります。人事として、ミドルマネジメントのポジションをどこまで魅力的にできるかというところが一つのキーだと思います。

つまり素質のある人、潜在的な能力のある人をどういうふうにエンカレッジ、促進してリーダーになりたいと思わせるかという部分を人事戦略としてもっと真剣に考えていくべきだと思います。

特に、NEW Jのような企業では、ミドルマネジメントの人材マネジメント戦略というのをどう考えるかというのが重要ですね。

梅本 確かにいわゆるミドル層が大変な状況にあるというのはNECにおいても同様です。組織として余り大きくならずに、従業員も増えない中で管理職が増えていると、どうしても組織の単位が小さくなってきます。市場の変化の中で個々の物件がどんどん小額化していますから、毎日毎日自分自身としても営業活動を行っていただいており、そういう意味では本当にプレーヤーという形の方が多くなっています。

そのような状況で、部下の日々の仕事の内容まではなかなかきちんと把握しにくいのが実態ではないでしょうか。部下からしても、上司がきちんと見てくれてないのではという感じで、段々ギャップが出てくるというのが実態かと思います。ミドルの人事戦略というのは、非常に重要だというのはわかったのですが、どうやればうまくいくのかというのはなかなか難しいです。しかし、実際社内にはきちんとマネージして、すごく魅力のある上司もいらっしゃるわけで、色々と組織の調査をしてみると、活性化している組織には必ずそういったマネージャーがいます。

そのポジションで、その組織であるから活性化しているのかどうかはわかりませんが、そうした魅力的なマネージャーは、自分なりのやり方、人間力というものを持っていて、そういう人が社内にも沢山いるという事を他の組織の人は余り知らないと思います。

ですから、そこでダイバーシティの話になるかもしれませんが、組織を活性化するために、そうした優れたマネージャーを異動してもらえば、出身もとの組織にとっては打撃かもしれませんが、一つの方策ではないかという気がしました。

守島 日本の企業は、ヒーローとかヒロインを作るのが結構下手です。誰かがすごく優れているという認定を与えることに対して拒否感があります。

逆に、どこかに優れたリーダーがいたら、別にその人がオールラウンドで素晴らしいということでなくてもいいので、そういう人たちがどういうことをやって、何を具体的にリーダーとしてやっているのかというのを、もう少し共有可能な知識に落とし込んでいくという作業について、人事がやるべきなのか、経営がやるべきなのかは議論があるところだと思いますが、必要だと思います。ヒーロー、ヒロインを作るというのは、ミドルマネジメント向けの施策だけではなくて、例えばキャノンさんがやっていらっしゃるマイスター制度であるとか、大きな企業がやっているフェロー制度みたいなものも、人事の戦略としてはこれから重要で、特にリーダーシップという意味で言うと、育成も重要ですが、同時に誰がなぜ優れたたリーダーなのかということを明確化していくというのも重要だと思います。

大分議論が進んできて、仕事を楽しむであるとか、ミドルマネジメントを様々な戦略を使って、どう活性化していくか等、色々出てきたと思いますが、この辺でフロアーの方々から質問とかコメントがあれば、お伺いしたいと思います。

会場 梅本さんにお伺いしたいのですが、日本電気の人事制度について中身を見てみると、私はどちらかというと能力主義の一種で成果主義に入らないのではと思うのですけれども。私の考えとしては、やはり成果主義を考えるよりは、その周辺の教育の問題、配置の問題とかの方がはるかに人事制度のこれからの戦略の中では重要ではないかと思います。

梅本 我々としても、一口で成果主義というふうに一くくりにはしたくないという気持ちはあります。ただ、やはり意識の中でどういった業績を上げていくのかというところが、ポーションとしては非常に大きいですし、賃金よりもどちらかというと個人業績によって金額の変動しやすいボーナスの方を意識されている人が多い中で、やはり成果を重視した処遇だと考えている人が多いと思います。

ご指摘頂いた通り、NECの処遇制度の根本であるコンピテンシーは、育成、キャリア形成に重きを置いて作られたものでもあります。とはいえ、なかなか日頃の行動、プロセス、貢献といったものが評価されているという実感につながっていない部分が、労使の認識のギャップになっているというように思っています。

守島 我々の調査の中で成果主義というものを定義した時は、主に賃金制度の話でして、賃金と評価を、短期的な成果に結びつけていって、その結果として格差、それから賃金の変動を拡大していくという制度を成果主義と呼んだわけです。

ただ、そうした定義であるところで講演をしましたら、それは非常に限定的な定義じゃないかと、楠田丘先生からお叱りの言葉を受けまして、「日本には成果主義はない」という言葉を頂いたのですが、実際問題として、梅本さんのお話にもありましたように、企業の人事は、単純に賃金格差を増大してきたとか、変動を大きくしてきたというだけじゃないと思います。色々な施策を導入してきた結果、今、様々な形の人事制度としてあるので、我々が見てきたような4つのタイプにアカデミックな研究では分かれてしまいますが、バリエーションが出てくるわけです。ですから、実態を見てみると、人材育成を頑張ってやっている企業もあるし、納得性確保施策を一生懸命やっている企業もあるだろうし、様々なタイプの企業があると思います。その中でそれこそ楠田先生がお作りになったような能力主義から、成果主義的な、成果的な評価要素のウエートが段々高まってきたという現実はあります。今回の研究は、そういう変化を前提として人材マネジメントの仕組みを、これからもっと総合的に変えていかないといけないだろうというふうな意図から、次は人事的に何ができるか、政策的にどういうことができるかということも含めてですが、やってきたわけです。

ですから、確かに我々のやった成果主義の定義は非常に限定的であったかもしれませんが、その中で私たちが見ていきたいと思ったのは、日本の人事はこれからどういうことを一生懸命考えないといけないかということがポイントだったと思います。

ですから、長期雇用と人材育成と納得性とか、様々なキーワードを出してきましたが、そういうことにつけ加えるようなキーワードが今後さらに出てくると思っています。

会場 ミドルマネージャーの話の中で、人間力とかEQとかいう表現が出てきたと思いますが、そういったものは会社の人事システムの中で育てていくことができるのかどうか。もしくは、子供の頃にできて変えられないのか。会社で人事システムの中で変えるとすれば、教育のシステムなのか、それまでの仕事でやっていくのか、そういうことができるかどうかということをお伺いしたいのですが。

阿部 EQは変えられると言っていますし、私も学生にEQ教育をしますが、教育すると変わっていきます。実際に私のゼミの学生にはEQ検査も受けさせて、それによって色々教育しますが、1年、2年経っていくと全然違う人間に変わっていきます。

会場 行動レベルも変わっていくということですか。

阿部 EQというのは行動ベースから入った形なので、行動が変わっていきます。

会場 検査結果も変わってくるのですか。

阿部 検査結果も変わります。ですから、多分教育によって変わっていくと思います。先天的能力だったら全然変わりませんけれども、リーダーシップの発揮だとか、ミドルマネジメントはそういうところが重要だといった時に、今までほったらかしにされていた部分を、多分教育で補えるのではないかと思っています。

アキレス 人間力については、先天的にその人が持って生まれた魅力とかあると思います。それは誰でも持っているものだと思います。ただ、環境によってその魅力が十分発揮できない場合がある。その時は、環境を変えたり、役割を変えることによって本人がもっと魅力が出るようになるかもしれません。

もう一つは、エンパシーですが、これはEQにもかなり関係しているんですが、改善可能と考えています。簡単な例で申し上げると、私の主人はアメリカ人で暑がりですが、私は寒がりです。私がいつも冬、「寒い」と言うと、「寒くない」と言います。私は「何であなたにはそれがわかるの」と聞きます。あなたは暑がりだから寒くないと言うけれども、私の立場に立って、美知子は寒がりで冷え性で、これぐらいの温度だと寒いだろうなと、そういうふうに想像すれば、私が寒いと言うことを否定することはないですよね。つまり、そういうことをコミュニケートすることによって、主人は気づくわけです。だから、やはり自分の思い込みだけで相手も同じように考えていると言っちゃ駄目だと。

実はこのエンパシーというのは、何回も出ているダイバーシティのキーワードでして、全く違ったバックグラウンドで生まれ育った人、違った考えの人をどういうふうに理解していくか。それはやはり相手の立場に立って、完璧じゃないかもしれないけれども、とにかく想像してみて、相手の視線で物を見る。これは意識することと、そういう経験を何回か重ねることで多分育っていく部分じゃないかと思いますし、ミドルマネージャーに限らず、組織の上に行けば行くほど、EQもそうだと思いますが、かなり差が出てきます。これがあるとないでは、トップリーダーとしての資質がかなり違ってくると理解しています。

会場 アキレス先生は外資系を主にやっていらっしゃるのかどうか知りませんが、タレントとしての人材のマネジメントとの関わりの中で、人事権は要らないということをおっしゃいましたが、もう少し詳しく教えて頂きたいのです。

アキレス 私が結構長くいたのは外資系の金融です。外資系の金融、特にアメリカ系の組織では、人事というのは元々、人事権を持っていません。決定は全て部門がするし、トップがします。人事というのは、その決定をするための材料をそろえたり、情報を集めたりして最終的に決めてもらう役割です。

一方、伝統的な日本の企業では、人事が採用して配属も決めて、プロモーションも決めていくやり方ですね。どちらが良い悪いというよりも、そのトラディショナルなやり方は、もう限界が来ているというのが私の考えです。

人事権を持たずとも人事が頼りにされるとか、相談されるとか、経営のテーブルに一緒につける。人事権があるから気を遣って人事に来るのではなく、人事の持っている専門性とか、人間力も関係しているかもしれませんが、そういったものがあるからこそ尊敬されるような人事にしていかなければいけないといった意味です。

ですから、人事権自体を否定しているのではなく、今後、人事権がなくても社員と経営とが一緒にパートナーとしてやっていけるような部を目指したいと思っています。

阿部 日本の企業でも、例えば大学に人事部人事課がありますが人事権はありません。全て学部とかにおりています。恐らく、専門性が尖ってくると、人事部で人事を起こすということができないのかもしれません。そういうところに、今、日本の企業がなりつつあるのではないかと思いました。

守島 その問題については、日本の人事部ってそんなに強かったのというのが正直な感想です。人を引きはがして無理やり動かすということは、銀行とかは別かもしれませんが、昔の人事でもできなかったという気がします。

しかし、人事というのは沢山情報を持っていました。極端に言えば、企業の中の全てのことを知っていた。今、企業というのがばらばらになり始めて、分業体制になり事業部が強くなり、カンパニー制になり、プロジェクトマネジメントになるという中で、人事に情報が入ってこなくなったと思います。その状況が、人事に多少焦りを生んでいる感じはします。

ですから、昔のやり方がいいとは思いませんし、人事に企業内スパイになれとは思いませんが、人事というものが、自然な影響力を持てる、もしくは経営にとってベストな意思決定を提案できるようなタイプの人事になっていくためのキーワードは情報かなと思っています。そういう意味で言うと、昔は人事は情報を握っていた。それを人事権と呼ぶのかどうかは別ですけれども、そのような人事と、それから今の人事、これからあるべき人事というのは、それほど形としては変わらないと思うのです。

だから人事というものの役割というのは、形式的・表面的な部分は多少変わると思うのですが、そんなに大きくは変更しないのかなと思っていますが、どうでしょう。皆さん方、答えは求めませんけれども、それほど人事が強かったのでしょうか、よくわからないですね。正直に言えば。

逆に会場におられる皆さんも、ご自分でお考えいただいて、昔よりも何か情報が少なくなったと思ったら、それは危険信号だろうなと思っていただければありがたいなという気がします。

それでは終わりにしたいと思います。今日は最初に私と立道さんのアカデミックな研究の結果をお話させていただいて、その後に、何が次の人材マネジメントのキーワードになってくるのかということを、ディスカッションさせていただきました。その中で、例えばミドルマネジメントをどうやって育成しようかは、過去15年ぐらい余りメインに考えてこなかった。それから、人々にワークとライフを楽しませるためには、一体何がキーワードなのだろうかとか、能力の新しい形態としてのEQであるとか、これらをどのように考えていけばいいのかとか、いろいろと新しいヒントになるキーワードやキーコンセプトが出てきたように思います。

答えはもちろん出ませんが、そのようなことを手がかりとして、新しい人材マネジメントの方向性を考えていっていただければ、大変ありがたいと思います。