資料:No.4 労働者派遣法改正法案修正事項:第8回旧JIL講演会
人材派遣の自由化と労働者保護
(1999年7月30日)
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
衆議院労働委員会
平成十一年五月十九日
政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
- 一
適用除外業務を政令で定めるに当たっては、その業務の実施の適正を確保するためには、労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置すること。
- 二
請負等を偽装した労働者派遣事業の解消に向けて、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準について一層の具体化、明確化を図るとともに、厳正な指導・監督に努めること。
- 三
派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の中途解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは契約解除の少なくとも三十日前に派遣元事業主にその旨の予告を行わなければならないこととするとともに、この予告をしない派遣先は派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償(解除の三十日前の日と予告をした日との間の日数が三十日未満の場合はその日数分以上の賃金に相当する損害賠償)を行わなければならない旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
- 四
派遣元事業主は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行うべき旨及び派遣先は社会・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
また、派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る社会・労働保険の在り方について検討すること。
- 五
派遣労働者の職業能力の開発・向上を図るため、派遣元事業主による一層の教育訓練の機会の確保が図られるよう、適切な指導等に努めること。
参議院労働・社会政策委員会
平成十一年六月二十九日
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
- 一、
適用除外業務を政令で定めるに当たっては、その業務の実施の適正を確保するためには労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適切でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置すること。
- 二、
今回の改正により新たに対象となる業務における登録型の派遣労働者については、この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定についての検討に際し、その就業の実情、労働条件の確保等の状況を把握、分析し、必要な検討を加えること。
- 三、
請負等を偽装した労働者派遣事業の解消に向けて、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準について一層の具体化、明確化を図るとともに、周知徹底、厳正な指導・監督を行うこと。
- 四、
派遣期間一年の制限に係る「同一の業務」及び「継続」の判断基準について、中央職業安定審議会の意見を聴き指針に可能な限り明確に定めること。
また、派遣期間一年の制限に違反して労働者派遣の受入れを行っている場合における労働大臣による派遣先に対する雇入れ勧告について、実効性を確保するためその適切な運用を図ること。
- 五、
派遣元における派遣労働者の個人情報保護の実効性を確保するため、派遣元事業主が収集、保管、使用する個人情報の範囲並びに許可基準中の個人情報の適正管理等に係る要件及び派遣元責任者の業務の内容について、中央職業安定審議会の意見を聴き可能な限り明確に定めること。
- 六、
派遣先におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、派遣先に対し必要な指導等適切な措置を講ずること。
- 七、
派遣先は派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の中途解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは契約解除の少なくとも三十日前に派遣元事業主にその旨の予告を行わなければならないこととするとともに、この予告をしない派遣先は派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償(解除の三十日前の日と予告をした日との間の日数が三十日未満の場合はその日数分以上の賃金に相当する損害賠償)を行わなければならない旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
- 八、
派遣先は当該派遣先における労働者派遣契約の定めに反する事案を知ったときは、これを早急に是正すること、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び当該派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずべき旨を指針に明記し、派遣先による労働者派遣契約違反の防止等のための指導の徹底を図ること。
- 九、
派遣元事業主は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行うべき旨及び派遣先は社会・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
また、派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る社会・労働保険の在り方について、早急に検討すること。
- 十、
派遣労働者の職業能力の開発・向上を図るため、派遣元事業主による一層の教育訓練の機会の確保が図られるよう、適切な指導等に努めること。
- 十一、
派遣労働者の保護の実効性の確保について、都道府県労働局において職業安定行政と労働基準行政とが統合されることを念頭に置き、使用者責任の遵守の観点から、労働基準監督官との連携の在り方も含め、検討を行うものとすること。
- 十二、
この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定の検討に際し、派遣労働者の保護や職業能力の開発等労働者派遣事業の制度の在り方について総合的に検討を加えること。
右決議する。