平成16年度 労働関係図書優秀賞・論文優秀賞

第27回(平成16年度)労働関係図書優秀賞

本賞は、労働政策研究・研修機構が讀賣新聞社の後援のもとに実施しているもので、労働に関する優秀図書を表彰することにより、労働問題に関する一般の関心を高めるとともに、労働に関する総合的な調査研究の発展に資することを目的としています。

今回の選考は、平成15年4月から平成16年3月までの1年間に新たに刊行された単行本で、日本人の編著になる図書、外国人の著作の場合には日本語で書かれた労働に関する図書を対象として行われました。

6月11日の第1次審査委員会を経て、8月23日の第2次審査委員会で、次の2作品に受賞が決定しました。

受賞作品

権丈善一
『年金改革と積極的社会保障政策―再分配政策の政治経済学Ⅱ』
(慶応大学出版会、A5判・282頁 2004年3月25日刊)

目次
  • Ⅰ 年金改革論
  • Ⅱ 積極的社会保障政策論
  • Ⅲ 財源調達論と日本の納税者意識

玄田有史
『ジョブ・クリエイション』
(日本経済新聞社、A5判・368頁 2004年3月15日刊)

目次
  • 第1章 ジョブ・クリエイションとは何か
  • 第2章 転換点としての「1997年」
  • 第3章 開廃と雇用の関係を求めて
  • 第4章 結局、若者の仕事がなくなった
  • 第5章 やはり高齢化が雇用を減らした
  • 第6章 パートは正社員の雇用を奪ったのか
  • 第7章 中小企業はジョブ・クリエイター?
  • 第8章 人を育てる中小企業が雇用を創る
  • 第9章 自営業が減少した理由
  • 第10章 見過ごされた所得格差
  • 第11章 組織を離れて働くこと
  • 第12章 リストラ離職した中高年のそれから
  • 第13章 構造的失業とは何か
  • 第14章 データの背後で
  • 第15章 ジョブ・クリエイションへの始動

著者略歴

権丈善一 氏(けんじょう・よしかず)…慶應義塾大学商学部教授
1985年3月 慶應義塾大学商学部卒業。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手などを経て2002年より現職。商学博士。専門は再分配政策の政治経済学・社会保障論。主な著作に『再分配政策の政治経済学―日本の社会保障と医療』(慶應義塾大学出版会, 2001年)、V.R.フュックス『保健医療政策の将来』(共訳、勁草書房、1995年)など。

玄田有史 氏(げんだ・ゆうじ)…東京大学社会科学研究所助教授
1988年東京大学経済学部卒業。学習院大学経済学部教授などを経て、2002年より現職。経済学博士。専門は労働経済学。主な著作に「仕事のなかの曖昧な不安」(中央公論新社、2001年)、「リストラと転職のメカニズム」(共編著、東洋経済新報社、2002年)、「成長と人材」(共編著、勁草書房、2003年)「ニート」(共著、幻冬舎、2004年)など。

最終選考対象作品

最終審査に残った作品は受賞作のほか、下記の7点でした。(編著者名五十音順)

  • 石田光男 『仕事の社会科学―労働研究のフロンティア』 (ミネルヴァ書房)
  • 伊原亮司 『トヨタの労働現場―ダイナミズムとコンテクスト』 (桜井書店)
  • 川井圭司 『プロスポーツ選手の法的地位』 (成文堂)
  • 佐藤香 『社会移動の歴史社会学:生業/職業/学校』 (東洋館出版)
  • 佐藤宏 『所得格差と貧困』 (シリーズ現代中国経済 7) (名古屋大学出版会)
  • 首藤若菜 『統合される男女の職場』 (勁草書房)
  • 中野妙子 『疾病時所得保障制度の理念と構造』 (有斐閣)

第5回(平成16年度)労働関係論文優秀賞


本賞は労働に関する新進研究者の調査研究を奨励し、もって当該分野の研究水準の向上を図るとともに、労働問題に関する知識と理解を深めることを目的としており、今回で5回目を迎えます。

今回の選考は平成15年4月から平成16年3月までの1年間に新たに刊行されたもので、編著書に収録された雑誌未発表の論文を含む、日本人の論文または外国人による日本語の論文を対象として行われました。

6月11日の第1次審査委員会を経て、8月23日の第2次審査委員会で、下記の2点の受賞が決定しました。

受賞作品

宮本大

「NPOの労働需要―国際及び環境団体の雇用に関する実証分析」

(『日本労働研究雑誌』2003年6月号(No.515))


梶川敦子

「アメリカ公正労働基準法におけるホワイトカラー・イグゼンプション―規則改正の動向を中心に」

(『日本労働研究雑誌』2003年10月号(No.519))

著者略歴

梶川敦子 氏(かじかわ・あつこ)…神戸学院大学法学部専任講師

同志社大学大学院博士後期課程中退 専門は労働法・社会保障法。主な著作に「アメリカ連邦法における労働時間制度の動向:代償休暇制度をめぐる議論を中心に」同志社法学292号144頁(2003年),「アメリカにおけるホワイトカラー労働時間法制」季刊労働法199号180頁(2002年)

最終選考対象作品

最終審査に残った作品は受賞作のほか、下記の3点でした。(編著者名五十音順)

  • 上原克仁 「大手銀行におけるホワイトカラーの昇進構造―キャリアツリーによる長期昇進競争の実証分析」 『日本労働研究雑誌』2003年10月号(No.519)
  • 原ひろみ 「正規労働と非正規労働の代替補完関係の計測―パートとアルバイトをとりあげて」 『日本労働研究雑誌』2003年9月号(No.518)
  • 宮本大 「非営利団体(NPO)の賃金は低いのか―営利企業(PO)との比較を通して」 『日本労働研究雑誌』2003年8月号(No.517)

労働関係図書優秀賞・論文優秀賞 審査委員

下記の方々にご審査をいただきました。

審査委員一覧(敬称略:五十音順)
猪木 武徳 国際日本文化研究センター教授
今野 浩一郎 学習院大学経済学部教授
大橋 勇雄 一橋大学大学院経済学研究科教授
小池 和男(座長) 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
神代 和欣 横浜国立大学名誉教授
徳永 文一 読売新聞社論説委員
西村 健一郎 京都大学大学院法学研究科教授
仁田 道夫 東京大学社会科学研究所教授
山口 浩一郎 放送大学教授