メールマガジン労働情報 No.1953

■□――【メールマガジン労働情報/No.1953】

力強い賃上げの流れで「物価上昇を上回る所得」の実現を/経済財政諮問会議 ほか

―2024年4月10日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】力強い賃上げの流れで「物価上昇を上回る所得」の実現を/経済財政諮問会議 ほか
【統計】2月の実質賃金、前年同月比1.3%減で23カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】人手不足時代の中堅・中小企業政策について提言/経済同友会 ほか
【企業】確定拠出年金を拡充/ダイワコーポレーション
【イベント】「私の提言」を募集/教育文化協会

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【JILPT研究成果情報】
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◇DP24-03『「仕事の質」からみる働き方の多様性』

OECDのJob Quality Frameworkを参照し、日本の労働市場における「仕事の質」を評価しました。一般に、
正規雇用と非正規雇用は働き方が異なるとされますが、(1)就業形態によって「仕事の質」は多様なのか、
(2)あるいは就業形態によらない「仕事の質」が異質なセグメントが存在するのか、また(3)「仕事の質」
は他のアウトカムとどのような関係にあるか、を調べました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2024/24-03.html

◇DP24-02『中間層を構成する世帯の変容』

「国民生活基礎調査」個票データを用いて、所得の観点から中間層以上(中間層+高所得層)に分類される者の
特徴を複数の手法を使い分析しました。1997年と2018年の等価可処分所得の分布を、世帯主年齢が65歳未満の
場合と65歳以上の場合に分けて比較しました。世帯主年齢65歳未満の世帯に属する者の所得分布では、
1997年の中間層の下限(223万円)を下回る低所得層と貧困層の割合の合計は5.9%ポイント上昇し、世帯主
年齢65歳以上の世帯に属する者の所得分布では、低所得者と貧困者の割合の合計は12.5%ポイント上昇していました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2024/24-02.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★2025年度 職員(事務職員)募集について

労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
応募資格:1990年4月2日以降に生まれた方で、四年制大学以上卒業者(2025年3月卒業見込者を含む)。
労働問題に広い関心があり、円滑なコミュニケーションを築ける人材を求めています。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html

★24年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)受講者募集中!

本講座は今回で73回目を数え、歴史と伝統を誇る講座です。
「人事管理・労働経済」「労働法」の2部門で、現代の労働問題を学習するのに最適なトピックス31課目を精選。
当該分野の第一人者の講師陣が、労働市場の現状や課題、労働問題などについて講義を行います。

<人事管理・労働経済>部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

☆『労働関係法規集2024年版』 好評発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
2024年版では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」を新たに収録するとともに、
「労働基準法施行規則」「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」「労働審判法」
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」の改正法令を収録しています。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

◇「最近の統計調査結果から」(2024年3月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202403.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202403.pdf

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【行政】
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●力強い賃上げの流れで「物価上昇を上回る所得」の実現を/経済財政諮問会議

政府は2日、経済財政諮問会議を開催し、マクロ経済運営及び経済・財政一体改革の点検・検証と中長期政策の
方向性について議論が行われた。首相は、連合の第2回春闘集計結果が昨年の3.76%に対して5.25%、中小企業も
3.39%に対して4.50%となっていることについて「力強い賃上げの流れが出来てきている」とし、今年中の
「物価上昇を上回る所得の実現」、来年以降の「物価上昇を上回る賃金」の定着に向けた動きを、中小企業を
含めて、更に拡大していくと述べた。
また、成長力強化に向けては、「DX(デジタルトランスフォーメーション)・AI(人工知能)・省力化投資等を
進めるとともに、中長期的に、非正規雇用の正規雇用への転換、リスキリング、研究開発投資等を通じて生産性の
向上を図っていくことが重要」とし、深刻化する人口減少に対応するため「年齢に関わらず能力・意欲に応じて
生涯活躍できる社会の構築、希望出生率の実現による出生率の向上等に取り組んでいく必要がある」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202404/02keizai.html

●不妊治療をする従業員の支援制度等がある企業は26.5%/厚労省調査

厚生労働省は3月29日、「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」結果を公表した。不妊治療を
している従業員の支援制度等がある企業は26.5%で、最も多いのは「不妊治療に利用可能な休暇制度」47.8%。
不妊治療をしたことがある人のうち、仕事と両立している(いた)人は半数以上(55.3%)だが、両立ができず
退職した人は10.9%。労働者が行政に望む支援は、「企業における不妊治療と仕事との両立支援のための勤務時間、
休暇等に関する制度の導入を促す」(30.4%)が最多。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39168.html
▽結果概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001013518.pdf

●育児休業給付金の期間延長手続きを厳格化/厚生労働省

厚生労働省は、育児休業給付金の延長支給の申請について、保育所入所の意思がないのに受給期間延長のために
入所申込みをする行為を防ぐため、本人記載の申告書と保育所等の利用申込書の写しの提出を求めることとした。
これらにより、合理的理由なく自宅又は勤務先から離れた保育所への申込みをしていないか、申込みに当たり
入所保留を希望していないかを確認し、延長の適否をハローワークが判断する。子が1歳又は1歳6カ月に
達する日(「パパ・ママ育休プラス」により、育児休業終了予定日が子の1歳に達する日後である場合は
育児休業終了日、育児休業終了予定日が1歳2カ月に達する日である場合は1歳2カ月に達する日)が2025年
4月1日以降である延長申請が対象となる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001231530.pdf

●自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度、特定技能制度の活用の条件にも/国交省

国土交通省は5日、自動車運送事業者による職場環境改善の取り組みを国が認証する「働きやすい職場認証制度」
の2023年度申請事業者について、認証事業者として878社を公表した。今回、「三つ星」認証も初めて実施され、
44社が認証された。5日現在の認証事業者数は、事業別にトラック2,502社、バス339社、タクシー894社で
計3,735社。また、3月29日の閣議決定により、特定技能の在留資格制度に「自動車運送業分野」が追加され、
同分野における特定技能所属機関の条件として、本制度の認証取得が設定された。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha01_hh_000089.html

●民営職業紹介事業所の新規求職申込件数、対前年度比46.5%増/厚労省集計

厚生労働省は3月29日、「職業紹介事業報告書」(2022年度報告)集計結果(速報)を公表した。
民営職業紹介事業所(有料・無料)における新規求職申込件数は約2,891万件(対前年度比46.5%増)、
内訳は、有料では「運搬の職業」(558万2,581件)が最多、無料では「看護師」(10万6,359件)が最多。
求人数(常用求人)は約1,179万人(同14.5%増)、就職件数(常用就職)は約81万件(同8.7%増)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001233791.pdf

●労働者供給事業の実施組合等数は102組合/厚労省集計

厚生労働省は3月29日、2022年度「労働者供給事業報告書」集計結果(速報)を公表した。労働者供給事業を
実施している組合等数は102組合で、対前年度比2組合の減。供給実人員は2万3,230人で、同54.0%の増。
労働者供給事業とは、職業安定法第45条に基づき、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて行う、無料の労働者供給事業のこと。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000200930_00009.html
▽資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/001078022.pdf

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【統計】
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●2月の実質賃金、前年同月比1.3%減で23カ月連続のマイナス/毎勤統計速報

厚生労働省は8日、2月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.8%増の28万2,265円、うち一般労働者が同2.0%増の36万616円、
パートタイム労働者が同3.1%増の10万5,268円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った
実質賃金は、前年同月比1.3%減で、23カ月連続の減少。
併せて公表された、2023年11月~24年1月に年末賞与を支給した事業所の1人当たり平均額は、前年比0.7%増の39万5,647円。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2402p/dl/pdf2402p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2402p/2402p.html

●街角景況感、前月差1.5ポイント低下/3月景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2024年3月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差1.5ポイント低下の49.8で、
2カ月ぶりの低下。雇用関連のDIは同0.3ポイントの上昇。家計動向関連、企業動向関連のDIは低下。先行き
判断DI(同)は、前月差1.8ポイント低下の51.2。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が続いて
いるものの、一服感がみられる。また、令和6年能登半島地震の影響もみられる。先行きについては、価格上昇の
影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0408watcher/menu.html

●消費者マインドの基調判断、「改善している」で据え置き/3月消費動向調査

内閣府は9日、2024年3月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」は
39.5(前月比0.5ポイント上昇)。同指数を構成する意識指標で上昇したのは、「耐久消費財の買い時判断」
34.0(同0.8ポイント上昇)、「収入の増え方」41.5、「雇用環境」45.0(ともに同0.7ポイント上昇)。
「暮らし向き」は37.5で前月と同値。消費者マインドの基調判断は、「改善している」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●1月の実質賃金、前年同月比1.1%減少/毎勤統計確報

厚生労働省は8日、1月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で28万7,563円(前年同月比1.5%増)、うち一般労働者が36万9,382円(同2.1%増)、
パートタイム労働者が10万4,504円(同2.6%増)。実質賃金は同1.1%減(速報では0.6%減)で22カ月連続の減少。
なお、今回公表した1月分調査確報では、毎年行う調査対象事業所の入替えや季節調整値の改訂を行い、
これに加え、ベンチマーク更新を実施した。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2401r/dl/pdf2401r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2401r/2401r.html
▽毎月勤労統計調査におけるベンチマーク更新等(2024年1月分調査)の対応及び影響について
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/maikin-kaisetsu-20240408.pdf

●2月の景気動向指数、基調判断は「下方への局面変化を示している」に修正/内閣府

内閣府は5日、2024年2月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は110.9で、
前月と比較して1.2ポイント低下し、2カ月連続の低下。マイナスに寄与したのは「輸出数量指数」「耐久消費財
出荷指数」「投資財出荷指数 (輸送機械を除く)」「有効求人倍率(学卒を除く)」など。プラス寄与は「商業販売額
(小売業)」「商業販売額(卸売業)」。一致指数の基調判断は「下方への局面変化を示している」に下方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202402psummary.pdf

●景気判断、8地域で「持ち直し」「緩やかに回復」「着実に回復」/日銀地域経済報告

日本銀行は4日、4月の「地域経済報告―さくらレポート―」を公表した。北陸を除く8地域では、
景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」とし、
北陸では、地震の影響による下押しが一部にあるものの、「持ち直しの動きがみられている」としている。
総括判断は前回(1月)と比較し、変化なしは北海道と四国の2地域、他の7地域は引き下げ。
雇用・所得情勢は、北陸を除く8地域では「改善している」「緩やかに改善している」、北陸は「雇用は
一時的な調整が生じ、所得は足もと持ち直しつつある」と判断。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer240404.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer240404.pdf

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【労使】
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●人手不足時代の中堅・中小企業政策について提言/経済同友会

経済同友会は5日、政府に対する提言「人手不足時代の中堅・中小企業政策~生産性向上に向けた合従連衡と
労働移動の促進~」を発表した。わが国経済が持続的な成長を遂げるためには中堅・中小企業の生産性の向上が
不可欠であり、企業の新陳代謝を促進する政策へ転換し、競争力のある企業に資本や労働力を効率的に移していく
ことが必要と指摘。「成長にコミットする企業への経済的支援への転換」、「官民共同出資の『中堅・中小企業
事業承継機構(仮称)』の設立」、「リスキリング支援強化」、「労働紛争解決システムの強化」など6つの提言を行った。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2024/240405.html

●所定内賃金引き上げを実施した企業は72.5%/日商LOBO調査

日本商工会議所は3月29日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」3月調査結果を発表した。
トピックスの「2023年度の賃金(正社員)の動向」によると、23年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業は
72.5%で、前年同月(61.5%)に比べ11.0ポイント増。うち、「業績改善したため賃上げ実施(前向きな賃上げ)」
企業は36.5%で同3.8ポイント増。「業績改善がみられないが賃上げ実施(防衛的賃上げ)」は63.5%で、
3.8ポイント減ながら依然として6割超。賃金引き上げの主な理由(複数回答)は、「人材確保・定着や
モチベーション向上」85.5%、「物価上昇」45.4%、「最低賃金の引き上げ」35.0%で、「一定の価格転嫁が
行えた」は12.9%。
業況DI(全産業合計)はマイナス12.9で、前月と同値。景気回復の兆しが見える一方、物価の高止まりや、
円安等によるコスト増が継続し、人手不足や、コスト増を価格転嫁できていないことで、中小企業の業況は
足踏みとなった、としている。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/LOBO202403.pdf

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【企業】
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●確定拠出年金を拡充/ダイワコーポレーション

物流サービス業のダイワコーポレーションは1日、4月から確定拠出年金(DC)を拡充し、会社が上乗せ掛金を
負担して全社員が加入する仕組みに変更すると発表した。これまでは、希望する社員は基本給に含まれる生涯設計
手当から確定拠出掛金にできたが、新制度は全社員対象に会社が基本掛金5,000円を負担するため、自己負担額を
減らすことができる(掛金上限額27,500円は変更なし)。全社員が、退職後のライフプランは自ら考えるという
自律意識を持ち、老後の生活設計の一助としてほしい、としている。
https://daiwacorporation.co.jp/wp-content/uploads/2024/03/20240401【確定拠出年金制度拡充】-プレスリリース.pdf

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【イベント】
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●「私の提言」を募集/教育文化協会

教育文化協会では、連合と共催で、労働運動の前進に向けた提言を募集している。今年は第21回で
「『働くことを軸とする安心社会―まもる・つなぐ・創り出す―』の実現に向けて連合・労働組合が
今取り組むべきこと」をテーマに募集。応募締切は7月22日(月)必着。
https://www.rengo-ilec.or.jp/event/ronbun/bosyu/