在宅介護の支え手たち

JILPT主任研究員 堀田 千秋

ホームヘルパーの仕事・役割に対する理解を

『新はぁと♡ヘルパー』をご存知でしょうか。講談社のコミックス誌「BE・LOVE」に連載中のホームヘルパーが主人公のコミックで、単行本も出ています。『ブラックジャック(によろしく)』や『おたんこナース』など医者や看護師ものは結構ありますが、ホームヘルパーが主人公というのは初めてではないでしょうか。悩みながらも快活に仕事に取り組む若きヘルパーたち。知られていないホームヘルパーの実態、仕事内容や役割について、若い世代にも浸透して、理解を深めてもらうためにも、連載が長く続くことを願っています。

悩みといえば、当機構が 2002年に行った調査結果をみますと、「ヘルパーに対する社会的評価が低い」62.5%を筆頭に、「利用者・家族からお手伝いさん扱いされる」44.8%、「ヘルパーの仕事や役割についての行政の啓発が不十分である」43.5%が、賃金の低さや仕事のきつさなどを上回る、最も多くのヘルパーたちが訴える悩み・不満となっています。いずれも、ホームヘルパーの仕事・役割に対する無理解・誤解・偏見に関わる事項といえます。

また、先般、フィリピンのアロヨ大統領が自国民の看護・介護職の日本での就業を認めるようにと要望したことが報道されていました。ホームヘルパーの仕事や役割についての論議を深め、国民的レベルでのコンセンサス作りを進めることの必要性を痛感します。

家族と社会的支援の連携が不可欠

ところで、上記の当機構調査の結果をみますと、調査対象となった6千人あまりのヘルパーの8割が、ケアプラン外の仕事を頼まれた経験を持ち、その半数が要求に応じている現状にあります。日々生活している中で思いがけない必要事が生じることは当然のこと、そう目くじらを立てることではないかも知れません。

しかし、その背後にケアプランの作成やプランの見直しが不十分・不適切という事情があれば話は別です。ケアマネジャーやヘルパー側の問題とともに、話し合う十分な時間を取ら (れ)ず、結果として、プランを任せきりにする、あるいは、その逆に一方的に押し付けるといった家族の側の問題もありはしないでしょうか。上記調査からは、こうした問題点も透けてみえてきます。

在宅での介護には、家族とケアマネジャーやヘルパーなど社会的支援の担い手という2本の柱が、そして、両者の連携が不可欠です。ケアプランの作成にとどまらず、介護の実践や介護目標の進捗度チェックなど、密な情報交換・意見交換が大切です。それは、介護の問題が発生した急性期もさることながら、その後の終わりの見通しなき慢性期においていっそう必要になるでしょう。

仕事と介護の両立支援策の充実を

共働きが当然となる一方で、家族の介護負担も大きくなってくる時代を迎え、家族の介護力を支えるためにあるのが介護休業制度です。大いに利用していきたいものです。もっとも、制度のなかで、働きながら介護を行う家族に対する支援は、介護休業の支援に比べて十分とはいえません。休業期間とは別に両立支援期間を設けるなど、働きながら介護を行う家族に対する支援策のいっそうの充実を願うものです。