プロジェクト研究:令和6年度

研究テーマ名 趣旨・内容

労働市場とセーフティネットに関する研究

働く人がウェルビーイングを高めつつ安心・安全に活躍できる労働市場をどのように構築するかについて、雇用・労働の質の向上や健康確保、労働環境の整備、格差是正、効果検証に基づくセーフティネットのあり方の検討に資する政策的インプリケーションを提示する。

令和6年度は、労働力需給推計の結果のとりまとめ等を行うほか、企業及び個人パネル調査を継続的に実施し、企業の人材戦略や、ミドルエイジ層の就業・生活・健康・ウェルビーイング等について経時変化を把握する。また公的統計の二次分析により経済格差と貧困問題等に焦点を当てた研究を行う。

職業構造・キャリア形成支援に関する研究

 

生産活動期間の長期化や産業・職業構造の変化の中で、生涯にわたる主体的なキャリア形成支援のあり方、転職希望者の労働移動や就職活動に困難を抱える人の労働参加を進めるための効果的なマッチングやカウンセリング、デジタル化時代に対応した職業情報の整備や支援ツールの開発など、職業相談現場や求職・求人両者のニーズ・課題に即した効果的なキャリア形成支援・職業相談手法を提示する。

令和6年度は、日本版O-NET(厚生労働省職業情報提供サイト【job tag】)に掲載する新規職業の職業解説・数値情報作成、キャリア支援ツールの開発等を進めるほか、企業で働く労働者のキャリアコンサルティングに対するニーズ把握・分析を進めるとともに、求職活動の量・質と再就職との関係に関するアンケート調査等を実施する。

技術革新と人材開発に関する研究

職業能力の高度化に向けた多様なニーズを把握・分析し、職業能力開発インフラのあり方や新しい産業領域における人材育成、若者の雇用・キャリア形成等について政策的インプリケーションを提示する。

令和6年度は、日本の労働市場におけるタスク分布の変化や、賃金と労働生産性の乖離についての分析、技術革新と就業者の仕事やキャリア形成に関する調査のほか、コア人材のキャリア形成に関する海外ヒアリング調査を行う。また、若年者雇用については地方版ワークスタイル調査、及び若者の離職状況・キャリア形成に関する調査の分析を行う。デジタル人材の採用や育成については、IT関連企業等を対象にヒアリング調査を実施する。

多様な人材と活躍に関する研究

高齢者就業や社会貢献活動、ジェンダー間や就業形態間の格差、非正規労働者の処遇改善などの課題を抽出・分析し、政策的インプリケーションを提示する。

令和6年度は、高年齢者の就業・雇用状況について、企業ヒアリング調査により、高年法改正への対応、シニア層従業員の健康に関する取り組み等を明らかにする。また、労働者協同組合の実態把握のためのヒアリング調査を継続するとともに、非営利活動法人に対してアンケート調査を行う。また、「子育て世帯全国調査(第6回)」の二次分析を進めるとともに、非正規労働者・多様な正規労働者の活用・就業実態に関する企業・労働者アンケート調査、地方における外国人労働者の受け入れ・活用に関するヒアリング調査を行う。

多様な働き方と処遇に関する研究

労働時間、賃金、仕事と育児・介護の両立、という従来取り組んできたテーマに、テレワーク、兼業・副業といった柔軟な働き方に関する視点を加え、企業・労働者双方の抱える課題を抽出し、ワークライフバランスの実現に資する政策的インプリケーションを提示する。

令和6年度は、働き方改革関連法の施行後の働き方と職場管理の状況を明らかにするための企業・労働者のアンケート調査に加え、賃金の引き上げと企業行動に関する企業アンケート調査を実施する。また、育児・介護と働き方に関する国際比較研究をコロナ禍を経て再開するとともに、外部機関との連携では、引き続き労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターとの共同研究を行う。

多様な働き方とルールに関する研究

多様で柔軟な働き方における労働者概念や労使関係の変容について、国際比較を含めて実態を把握し、労働法・政策面の課題を摘出するとともに、新しい時代に相応しい政策的インプリケーションを提示する。

令和6年度は、解雇無効時の金銭救済の実態を明らかにするため、海外ヒアリング調査及びあっせん事案(解雇または雇い止め)の収集・分析のほか、コロナ禍を素材とした日独比較法研究を行う。また、OECDとの共同研究を生かし、諸外国におけるAI技術の活用に関する国別分析、医療・福祉分野の雇用・労働条件に関するヒアリング調査等を実施する。