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Home > コラム >  ワーキングメモリと中高年

コラム

本コラムは、当機構の研究員等が普段の調査研究業務の中で考えていることを自由に書いたものです。

コラムの内容は執筆者個人の意見を表すものであり、当機構の見解を示すものではありません。

ワーキングメモリと中高年

主任研究員  長縄 久生

ワーキングメモリとは

ワーキングメモリは短い間情報を蓄えておく記憶であるが、いわゆる短期記憶と異なるのは、情報を保持している間にほかの情報処理を行うことである。つまり、ワーキングメモリは同時にいくつもの情報処理を行うときに機能する。ワーキングメモリを初めてモデル化したバッドレーはラグビーファンとのことである。車を運転しながらラグビーの実況放送を聞いていて、運転とゲームを思い浮かべることを同時にやるのはひどく難しいことからワーキングメモリの概念を思いついたという。このエピソードからワーキングメモリの働きをイメージすることができる。

さまざまな認知活動がこのような情報処理によって担われているに違いない。いくつもの項目や場面を記憶して処理を進め、最後にそれをまとめるという作業はワーキングメモリの働きがないとできない。典型的な例は暗算や論理パズルである。逆にワーキングメモリの機能が低下すると、眼鏡や鍵を使った後すぐその置き場所がわからなくなったり、長い話をしていて話の脈絡がつかなくなったりする。

ワーキングメモリを測る

このような機能にはもちろん個人差がある。ワーキングメモリの容量が違えば認知情報処理の方法が異なり、課業の遂行にも違いがでてくるのではないか、新しい職業適性検査が作れるのではないかと気の早い向きは考えるようだ。残念ながら、まだそこまではわかっていない。いまのところ、処理と同時に記憶しておく能力と関連することが確かめられているのは、大学入試センター試験レベルの長文読解の成績や数字当てパズルの成績などである。ワーキングメモリの機能は従来の知能テストの成績とはあまり関係がなく、これらのテストで測定されていなかった機能だと考えられている。あるいは、ワーキングメモリはさまざまな認知情報処理の基底にある機能であって、そうした認知情報処理を含む課業は相当広い範囲におよび、表層的な個々の職業の違いに対応するわけではないのかも知れない。

ただ、一つ確かなことがあって、ワーキングメモリは加齢の影響を受けやすいということがわかっている。そこでわれわれは、その程度をみるためにワーキングメモリのテストを作ってみた。中高年の人たちが、若い頃と同じようにハードな認知情報処理に耐えられるかどうか、自分でテストしてみようというわけである。テストそのものは、四則演算の式がパソコンの画面上に現れるので、その答が合っているかどうかをマウスで答えるという簡単な課題である。けれども、同時に式の中の指定された数字を覚えておいて、後でこれを再生することが求められる。

テストや実験をデザインすると、心理学者は必ず自分でもやってみるものである。このテストでは、筆者は若い後輩の大学生に及ぶべくもなく、立派に中高年であることを思い知らされた。式3つくらいまではどうということもないが、式つまり記憶する数が4つ5つとなると集中しないと答えられない。式6つとなるとお手上げである。短期記憶の容量が低下するというよりは注意の制御ができなくなるという仮説が体験的に納得できたのであった。一つの救いは、こうしたテストは繰り返しているうちに成績がよくなることである。脳トレがはやるのはそのせいだろう。ただし、この成績の向上は、テストへの慣れやパソコンやマウスの操作に習熟することにもよるのだろうから、ワーキングメモリの機能そのものが練習によって向上するのかどうかはわからない。

(2008年5月 23日掲載)

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