時間外労働の上限規制で事業運営に制約が生じている中小企業は約2割
――日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の働き方改革に関する調査」集計結果
国内トピックス
日本商工会議所と東京商工会議所(ともに小林健会頭)が5月25日に発表した「中小企業の働き方改革に関する調査」集計結果によると、時間外労働の上限規制が事業運営に与える影響について、事業運営への制約が生じているとした会員企業は約2割(19.1%)で、約8割(80.9%)は、「概ね支障なく対応できている」と回答した。より長い労働時間を希望・承知する正社員の有無を尋ねると、「ほとんどいない」が半数近く(48.2%)を占め、「一部にいる(1~2割)」が31.3%などとなっている。
回答企業の属性
調査は、4月7日~5月18日の期間で全国47都道府県の各地の商工会議所の会員企業(1,724社)を対象に実施。324の商工会議所から回答を得た。回答企業の従業員規模は、「20人以下」が52.7%を占め、「21~50人」が19.9%、「51~100人」が13.1%、「101~300人」が12.3%、「301人以上」が2.0%となっている。業種については、「製造業」(26.5%)が最も大きな割合を占め、次いで「建設業」(19.0%)、「その他サービス業」(12.9%)、「小売業」(10.4%)などの順で高い割合となっている。
正社員1人あたりの月間の平均的な時間外労働時間
正社員1人あたりの月間の平均的な時間外労働時間を聞いたところ、「月平均0時間超20時間未満」が61.8%で最も多く、次いで「時間外労働が発生していない」(19.2%)、「月平均20時間以上30時間未満」(12.0%)などの順となっており、20時間未満と答える企業の割合が全体の約8割(81.0%)を占めた。
過去1年間で、1カ月あたりの「時間外労働が最も多かった正社員」の時間外労働時間をみると、「単月0時間超20時間未満」と回答する企業が29.9%で最も多く、「時間外労働が発生していない」(17.1%)、「単月30時間以上45時間未満」(14.8%)などと続いた。20時間未満とする企業が多かったものの、45時間以上と回答した企業の割合を合計すると3割近く(25.9%)にのぼり、調査結果は「特定の人材には長時間労働が発生している傾向」と説明している。
45時間以上と回答した企業の割合を業種別にみると、「運輸業」では62.5%に達し、「情報通信・情報サービス業」(35.2%)や「製造業」(34.6%)などで3割台に及んだ。
労働基準法では、第36条に基づくいわゆる36協定で特別条項を設けた場合、時間外労働が月45時間を超えることができるのは「年6か月まで」と定めている(運輸業のうち自動車運転手は対象外)。調査では、1カ月の「時間外労働時間が45時間を超えた回数が最も多かった正社員」について、45時間を超えた回数を尋ねたところ、「0回」が62.7%で約6割を占め、「1~2回」が17.0%、「3~4回」が8.6%、「5回以上」が11.7%だった。業種別にみると、「5回以上」の割合は「運輸業」では32.1%と3割を超えた。
時間外労働の上限規制が事業運営に与える影響
時間外労働の上限規制が事業運営に与える影響について尋ねると、「現行の上限規制の範囲内で、概ね支障なく対応できている」が80.9%と約8割を占めた。他方、「上限規制の範囲内で対応しているが、事業運営に一定の制約が生じている」は16.4%で、「上限規制の範囲内では対応が難しく、事業運営に大きな制約が生じている」の2.7%とあわせて19.1%が「事業運営に制約が生じている」と答えた。
「上限規制の範囲内で対応しているが、事業運営に一定の制約が生じている」と「上限規制の範囲内では対応が難しく、事業運営に大きな制約が生じている」を合わせた割合を業種別にみると、「運輸業」が35.7%で最も高く、「建設業」(28.7%)も3割弱にのぼった。
自社の正社員の労働時間についての考え
今後の事業運営や人材戦略をふまえ、自社の正社員の労働時間についての考えを尋ねると、「増やしたい」は9.4%と1割以下で、「現状を維持したい」が60.5%と約6割を占め、「減らしたい」が30.1%だった。
(調査部)
2026年7月号 国内トピックスの記事一覧
- 労働災害による死亡者数が統計開始以来で最少に ――厚生労働省が2025年の労働災害発生状況を公表
- 死傷者数が前年から約4割増加し、統計開始以来の最多を記録 ――厚生労働省の2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)
- 子が中学3年生になるまで継続して常勤で働く母の割合がこの10年間で約8ポイント増加し、約3割に ――厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」
- 直近5年での正社員との待遇差の是正の取り組みについて、ほぼ半数の事業所が不合理な待遇差がないことを確認済み ――東京都の2025年度「パートタイマーに関する実態調査」集計結果
- 時間外労働の上限規制で事業運営に制約が生じている中小企業は約2割 ――日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の働き方改革に関する調査」集計結果


