死傷者数が前年から約4割増加し、統計開始以来の最多を記録
 ――厚生労働省の2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)

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厚生労働省が5月27日に発表した2025年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)によると、2025年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は前年から約43%増加の1,803人となり、統計開始(2005年)以来の最多を記録した。一方、死傷者数のうち死亡者数は19人で、前年から約39%減少した。

死亡者数減少の背景に労働安全衛生規則の改正

死傷者数は前年の1,257人から546人増加。一方、死亡者数は前年の31人から12人減少した(図表)。厚生労働省では、気象庁が作成している2025年6月~8月の平均気温偏差〈基準値(1991年~2020年の30年平均値)からの偏差〉が統計開始以来最高を記録したこともあり、「死傷者数の増加の一因となったと推測される」とみている。

図表:職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)の数と死亡者数の推移(単位:人)
画像:図表

(公表資料から編集部で作成)

また、死亡者数が減少したことについては、「2025年に労働安全衛生規則の改正により、熱中症のおそれのある作業を行うときには、事業者に報告体制の整備、手順の作成等の措置を講じることを義務付けたところであり、これにより、事業場における熱中症の重篤化防止対策が一段と進み、当該改正が主な目的としていた熱中症の重篤化による死亡災害の防止が一定程度図られたと考えられる」とコメントしている。

死傷者数が最も多い業種が「製造業」

死傷者数を業種別にみると、「製造業」が365人で最も多く、「その他」(326人)を除けば次いで「建設業」(292人)、「商業」(237人)、「運送業」(220人)、「警備業」(199人)、「清掃・と畜業」(121人)、「農業」(34人)、「林業」(9人)の順となっている。

業種別の死傷者数を2021年以降の5年間の合計でみると、「製造業」(1,063人)が最も多く、次いで「建設業」(1,038人)が多くなっている。また、同期間での死亡者数(131人)についても業種別にみると、「建設業」(52人)が最も多く、次いで「警備業」(18人)となっており、この2業種で約5割を占めている。

2025年は死傷者数が3番目に多い月が「6月」に

死傷者数を月別の状況でみると、「7月」(718人)が最も多く、次いで「8月」(583人)、「6月」(268人)、「9月」(188人)、「5月」(23人)、「10月以降」(12人)、「4月以前」(11人)となり、死傷者数の約72%が7月~8月の2カ月間に集中している。また、前年は3番目に多かったのは「9月」だったが、2025年は「6月」が3番目となり、順位に変動があった。

死傷者数の月別の状況を2021年以降の5年間の合計でみると、「7月」が2,241人で最も多く、次いで「8月」の2,056人となっており、この2カ月が全体の約77%を占める。死亡者数についても、いずれの年も7月と8月に集中しており、約85%がこの2カ月となっている。

死傷者数を発生の時間帯別にみると、「15時台」が233人で最も多く、次いで「9時台以前」(229人)、「14時台」(226人)、「11時台」(202人)、「10時台」(184人)、「16時台」(171人)、「12時台」(146人)、「13時台」と「18時台以降」(それぞれ145人)、「17時台」(122人)となっており、日中のいずれの時間帯でも発生していることがわかる。また、厚生労働省は「このうち死亡災害については、多くが午後の時間帯に発生している」と説明している。

死傷者数の約52%は50歳代以上

死傷者数を年齢別にみると、「65歳以上」(278人)が最も多く、次いで「50~54歳」(241人)、「55~59歳」(229人)、「60~64歳」(181人)、「45~49歳」(179人)、「20~24歳」(151人)、「40~44歳」(133人)、「25~29歳」(129人)、「30~34歳」(123人)、「35~39歳」(121人)、「19歳以下」(38人)となり、50歳以上が全体の約52%を占めている。そのうち死亡者数は、40歳以上に集中しており、50歳代以上で全体の約84%を占めると厚生労働省は説明している。

死傷者数の年齢別の状況を2021年以降の5年間の合計でみると、「65歳以上」(915人)が最も多く、次いで「55~59歳」(703人)、「50~54歳」(699人)、「45~49歳」(586人)、「60~64歳」(585人)、「40~44歳」(453人)などとなっており、50歳代以上が全体の約52%を占めた。また、死亡者数では50歳代以上が約65%を占めた。厚生労働省は「一般に高齢者は、暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており暑さに対する身体の調節機能も低下するなど、加齢による身体機能の低下等の影響により熱中症を発症するリスクが高いことから、死亡災害に至る割合が高くなっていることが考えられる」としている。

(調査部)