都内の組合の平均妥結額は1万6,179円で前年から4割超増加
 ――東京都の「2024年春季賃上げ要求・妥結状況」中間集計結果

2024春闘における賃上げの状況

東京都が5月20日に公表した「2024年春季賃上げ要求・妥結状況」の中間集計結果によると、都内に所在する組合の平均妥結額は1万6,179円と、前年より4割超増加したことがわかった。業種別にみると、「建設業」や「宿泊業、飲食サービス業」などでは2万円以上の平均妥結額となっている。

調査は、都内に所在する1,000民間労働組合を対象に、2024年5月16日時点の要求状況と妥結状況をそれぞれ集計。要求状況については、要求を提出した369組合のうち前年との比較が可能な339組合の結果、妥結状況については、すでに妥結した282組合のうち前年との比較が可能な263組合の結果をとりまとめた。

平均要求額は前年から4,000円超増加

要求状況(加重平均)からみていくと、339組合の平均要求額は1万7,424円で、前年(1万3,236円)から4,188円(31.64%)増加(図表1)。賃上げ率(平均賃金に対する平均要求額の割合)は5.34%となっている。

図表1:要求状況(加重平均)
画像:図表1
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注1:金額は原則として組合平均である。

注2:「製造業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」(*印のもの)は、業種(内訳区分を単位とした40業種)の分析には含まれない。

注3:4組合以下の業種に網かけ。

(公表資料から編集部で作成)

平均要求額を規模別にみると、「299人以下」(87組合)では1万6,679円、「300~999人」(78組合)では1万6,228円、「1,000人以上」(174組合)では1万7,560円となり、大企業と比べて中小企業のほうが1,000円程度低い。

「鉄鋼業」「非鉄金属」の平均要求額は前年比150%以上増加

業種別(内訳区分を単位とした40業種のうち、5組合以上のデータが集約されているものを対象。以下同)にみると、平均要求額が最も高いのは「鉄鋼業」(8組合、2万5,767円)で、前年(9,765円)から1万6,002円(163.87%)増加し、賃上げ率は8.75%にのぼる。次いで高い「非鉄金属」(5組合、2万3,936円)も、前年(8,192円)に比べて1万5,744円(192.19%)増加しており、賃上げ率は7.86%に及んでいる。

このほかの業種では、平均要求額は「建設業」(14組合、2万2,403円)、「その他運輸」(11組合、2万1,353円)、「情報通信機械器具製造業」(6組合、1万9,646円)、「輸送用機械器具」(13組合、1万9,513円)、「私鉄・バス」(11組合、1万9,273円)などの順で高くなっている。

中小企業でも平均で1万円以上の妥結額に

妥結状況(加重平均)についてみると、263組合の平均妥結額は1万6,179円となっており、前年(1万1,204円)から4,975円(44.40%)増加した(図表2)。賃上げ率(平均賃金に対する平均妥結額の割合)は4.93%となり、5%近くの水準となっている。

図表2:妥結状況(加重平均)
画像:図表2
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注1:金額は原則として組合平均である。

注2:「製造業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」(*印のもの)は、業種(内訳区分を単位とした40業種)の分析には含まれない。

注3:4組合以下の業種に網かけ。

(公表資料から編集部で作成)

平均妥結額を規模別にみると、「299人以下」(64組合)では1万1,634円、「300~999人」(56組合)では1万3,818円、「1,000人以上」(143組合)では1万6,463円となっている。いずれも平均要求額を下回るものの、大企業だけでなく中小企業においても1万円を超える賃上げを獲得している。

平均妥結額が最も高いのは「建設業」

業種別(5組合以上のデータを集約できた業種のみ)にみると、平均妥結額が最も高いのは「建設業」(10組合、2万4,913円)で、前年(1万9,047円)から5,866円(30.80%)増加し、賃上げ率は6.49%。次いで高い「宿泊業、飲食サービス業」(8組合、2万3,534円)も、前年(1万5,210円)から8,324円(54.73%)増加し、賃上げ率は7.38%に及んでいる。

このほかの業種の平均妥結額は「輸送用機械器具」(9組合、1万9,755円)、「情報通信機械器具製造業」(6組合、1万9,626円)、「機械器具製造業」(31組合、1万8,351円)などの順で高い。

5組合以上のデータを集約できなかった業種では、「鉄鋼業」(4組合、3万3,967円)、「非鉄金属」(4組合、2万3,215円)の妥結額の高さが目立った。

業種別に対前年比をみると、最も高いのは「私鉄・バス」で115.22%と、100%超の水準となっており、次いで「金属製品」(99.33%)、「その他運輸」(90.33%)などの順で高くなっている。一方、対前年比が最も低いのは、「情報制作(出版等)」で1.52%となり、次いで「道路貨物運送」(10.27%)、「印刷・同関連」(10.48%)などとなった。

(調査部)