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V 調査結果
1 賃金、賃金上昇率 平成9年の賃金(6月分の所定内給与、以下同じ。)は、男女計で298,9 00円(平均39.5歳、11.8年勤続)、対前年上昇率は1.1%となり 、3年連続で1%台の伸びとなった。 男女別にみると、男性労働者は337,000円(平均40.5歳、13. 3年勤続)、同0.9%、女性労働者は212,700円(平均37.3歳、 8.4年勤続)、同1.5%となった。(第1表、第1図、付属統計表第3表)。 なお、学歴や年齢、勤続年数別の労働者構成を平成9年と同じとした場合の 賃金上昇率を計算すると、男性0.3%、女性0.4%となる(第2表)。 2 男性労働者の賃金 (1) 年齢階級別にみた賃金、勤続年数 イ 男性労働者の賃金を年齢階級別にみると、50〜54歳層の432,5 00円がピークで、20〜24歳層(202,800円)の2.1倍とな っている。 対前年上昇率をみると、55〜59歳層で1. 9%となっているのに対 し、他の年齢層では1%以下の伸びとなっている。(第3表、第2図)。 ロ 勤続年数は13.3年となり、前年に比べると0.2年、5年前との比 較では0.8年長くなっている。年齢階級別にみると、5年前との比較で は、35〜39歳層、40〜44歳層で短くなっているが、20〜34歳 の各年齢層及び50歳代では長くなっており、特に50歳代では勤続年数 が1年以上長くなっている(第3表、付属統計表第3表)。 (2) 学歴別にみた賃金 学歴別にみると、大卒の賃金は398,400円(平均38.3歳、12 .0年勤続)、高専・短大卒では298,600円(平均34.1歳、9. 3年勤続)、高卒316,200円(平均40.3歳、13.5年勤続)、中 卒305,400円(平均50.0歳、17.6年勤続)となっている。 これを年齢階級別にみると、大卒は55〜59歳層がピークで、586, 500円(20〜24歳層の2.7倍)、他の学歴は50〜54歳層がピー クで、高専・短大卒449,800円(同2.3倍)、高卒415,700 円(同2.1倍)、中卒345,500円(同1.6倍)となっている (第4表、付属統計表第4表)。 (3) 年齢間格差 イ 20〜24歳層を100として年齢間格差を5年前と比較すると、50 歳代で格差の拡大がみられることを除き、他の年齢層では格差はあまり変 化していない(第5表、付属統計表第5表)。 ロ 学歴別の年齢間格差をみると、大卒の30歳代では格差が拡大している が、40〜54歳の各年齢層では縮小している。 また、高卒については、55〜59歳層で格差が拡大しているが、35 〜49歳の各年齢層では縮小している(第5表、第3図)。 (4) 企業規模別にみた賃金 イ 企業規模別にみると、大企業の賃金は388,200円(平均39.8歳 、16.8年勤続)、中企業で325,400円(平均39.9歳、12 .9年勤続)、小企業で302,400円(平均41.8歳、10.6年 勤続)となっている。 対前年上昇率をみると、大企業が1.2%、中企業が0.9%、小企業が 0.7%となっている。 これを年齢階級別にみると、各企業規模とも50〜54歳層がピークで 、大企業522,000円(20〜24歳層の2.5倍)、中企業421 ,100円(同2.1倍)、小企業355,800円(同1.7倍)とな っている(第6表、付属統計表第3表)。 ロ 大企業を100として企業規模間格差をみると、中企業が84、小企業 78となっている。 企業規模間格差を年齢階級別にみると、中企業、小企業とも若年層では 格差が比較的小さいが、30〜54歳までは年齢とともに規模間格差が大 きくなり、50〜54歳層では中企業81、小企業68となっている (第4図、付属統計表第6表)。 (5) 産業別にみた賃金 イ 産業別にみると、金融・保険業(450,400円)、電気・ガス・熱 供給・水道業(404,400円)が高く、鉱業(310,200円)、 運輸・通信業(317,800円)、が低くなっている(第7表)。 ロ これを年齢階級別にみると、金融・保険業、電気・ガス・熱供給・水道 業では、賃金のピークがそれぞれ622, 300円(20〜24歳層の3 . 0倍)、583, 300円(同2. 9倍)と高くなっているのに対し、 鉱業、運輸・通信業ではそれぞれ346, 600円(同1.6倍)、36 7,700円(同1. 7倍)と低くなっている(第5図)。 (6) 労働者の種類、職階別にみた賃金 イ 製造業について生産労働者、管理・事務・技術労働者別にみると、生産 労働者の賃金は279,100円(平均40.0歳、13.9年勤続)と なっており、年齢階級別にみると、50〜54歳層の345,700円が ピークで、20〜24歳層の1.8倍となっている。 管理・事務・技術労働者の賃金は384,700円(平均41.1歳、 16.4年勤続)であり、50〜54歳層の514,100円がピークで 、20〜24歳層の2.5倍となっている(第8表、第6図)。 ロ 生産労働者を100とした管理・事務・技術労働者との格差は138と なっている。 これを年齢階級別にみると、年齢とともに格差が拡大し、賃金がピーク となる50〜54歳層では149となり、55〜59歳層では151と格 差が最も大きくなっている(第8表)。 ハ 労働者100人以上の企業における男性職階者(部長、課長及び係長) の賃金について、男性非職階者20〜24歳層の賃金を100とした賃金 格差をみると、部長は315、課長256、係長197となっている。 これを5年前と比較すると、係長で格差が拡大し、部長、課長ではあま り変化はみられない(第9表)。 ニ 職階別に平均年齢をみると、部長が51.8歳、課長46.9歳、係長 42.3歳となっており、各職階ごとに5歳程度の違いがある。 各職階の平均年齢は、5年前と比較して1〜1. 3歳上昇している (第9表)。 (7) 標準労働者の賃金 イ 標準労働者(学校卒業後直ちに就職し、同一企業に継続勤務している者 )の賃金について年齢階級別にみると、大卒は55〜59歳層がピ−クで 、646,300円(20〜24歳層の3.0倍)、高卒では50〜54 歳層がピークで、536,200円(同2.7倍)となっている (第10表、第7図)。 ロ 20〜24歳層を100として年齢間格差をみると、5年前と比較して 大卒の25〜39歳の各年齢層でやや拡大しているが、大卒の40〜59 歳の各年齢層、高卒の各年齢層では縮小している(第10表)。 (8) 賃金分布 イ 賃金階級別の労働者の分布を年齢計でみると、20万円未満は12.9 %、20万円台が35.5%、30万円台が25.7%、40万円台が1 3.8%となっている。 これを年齢階級別にみると、20〜24歳層では16〜23万円台に7 9%が集中しているのに対し、55〜59歳層では20万円台が24.2 %、30万円台が27.7%、40万円台が18.5%、50万円以上が 23.3%と分散している(付属統計表第7表)。 ロ このような分布の広がりの程度を十分位分散係数よりみると、20〜2 4歳層の0.22から55〜59歳層の0.56まで次第に大きくなって おり、賃金の散らばり度合いは年齢とともに大きくなっている (付属統計表第7表)。 ハ 十分位分散係数の大きさを年齢別に5年前と比較すると、高卒では同程 度かやや小さくなっているが、大卒では55〜59歳層で縮小する一方、 30〜34歳層及び40歳代ではやや大きくなっており、これらの年齢層 では5年前に比べ、同一年齢層内での賃金の散らばり度合いがやや拡大し ている(第11表)。 3 女性労働者の賃金 (1) 年齢階級別にみた賃金、勤続年数 イ 女性労働者の賃金を年齢階級別にみると、35〜39歳層が234,6 00円とピークになっているが、20〜24歳層(182,500円)の1 .3倍と年齢間での差はあまりみられない。 対前年上昇率をみると、30〜34歳層、40〜44歳層、55〜59 歳層で2%程度、50〜54歳層で1.6%となっているほかは、1%未 満となっている(第12表、第8図)。 ロ 勤続年数は8.4年となり、前年に比べると0.2年、5年前との比較 では1.0年長くなっている。年齢階級別にみると、5年前と比較して2 0〜24歳層以上の各年齢層で長くなっている。 また、勤続年数20年以上の長期勤続者の割合は10.3%となり、5 年前と比較して2.3ポイント上昇している(第12表、第13表、 付属統計表第3表)。 (2) 学歴別にみた賃金 学歴別にみると、大卒の賃金は272,000円(平均31.5歳、5.9年 勤続)、高専・短大卒では226,700円(平均31.0歳、6.2年勤続) 、高卒204,000円(平均38.1歳、8.8年勤続)、中卒177,40 0円(平均51.8歳、12.6年勤続)となっている。 これを年齢階級別にみると、大卒、高専・短大卒でピークは55〜59歳層 、高卒、中卒で50〜54歳層となっており、大卒が478,500円(20〜 24歳層の2.3倍)、高専・短大卒316,200円(同1.7倍)、高卒 229,400円(同1.3倍)、中卒184,400円(同1.2倍)となっ ている(第14表、付属統計表第4表)。 (3) 年齢間格差 イ 20〜24歳層を100とした年齢間格差を5年前と比較すると、30 〜59歳の各年齢層で、おおむね格差が拡大している(第15表)。 ロ 学歴別に年齢間格差をみると、高専・短大卒では45〜59歳以上の各 年齢層で縮小している。高卒ではあまり大きな変化はみられないものの、 おおむね各年齢層で縮小傾向となっている(第15表)。 (4) 企業規模別にみた賃金 イ 企業規模別にみると、大企業の賃金は239,600円(平均34.8歳 、9.5年勤続)、中企業で212,700円(平均36.3歳、7.9年 勤続)、小企業で194,700円(平均39.9歳、8.0年勤続)と なっている。 対前年上昇率をみると、大企業が2.0%、中企業が1.8%、小企 業が0.7%となっている。 これを年齢階級別にみると、大企業では50〜54歳層がピークで、 294,200円(20〜24歳層の1.6倍)となっているが、中企業 は35〜39歳層がピークで、239,400円(同1.3倍)、小企業 は30〜34歳層がピークで207,800円(同1.2倍)となってい る(第16表、付属統計表第3表)。 ロ 大企業を100として企業規模間格差をみると、中企業が89、小企業 81となっている。 企業規模間格差を年齢階級別にみると、おおむね年齢が高くなるほど格 差が大きくなり、50〜54歳層では中企業77、小企業69となってい る。 5年前と比較すると、大企業との企業規模間格差は中企業、小企業とも ほぼ各年齢層とも縮小しており、格差の大きい40歳以上の年齢層で5ポ イント以上格差が縮小している(第9図、付属統計表第6表)。 (5) 産業別にみた賃金 イ 産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(264,900円)、 金融・保険業(243,200円)が高く、製造業(184,500円)、 鉱業(195,900円)が低くなっている(第17表)。 ロ 年齢階級別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業、金融・保険業では 、ピーク時の賃金がそれぞれ356,200円(20〜24歳層の1.8 倍)、 335,900円(同1.9倍)となっているのに対し、製造業、 鉱業では年齢による賃金の差は小さく、ピーク時の賃金は205,000 円(同1.2倍)、221,400円(同1.2倍)と低くなっている (第17表、第10図)。 (6) 労働者の種類別にみた賃金 イ 製造業について生産労働者、管理・事務・技術労働者別にみると、生産 労働者の賃金は166,700円(平均43.1歳、10.4年勤続)と なっている。年齢階級別にみると、30〜34歳層の177,900円が ピークとなっているが、年齢による賃金の差はあまりみられない。 管理・事務・技術労働者の賃金は213,400円(平均33.6歳、 8.8年勤続)であり、50〜54歳層の255,700円がピークで、 20〜24歳層の1.4倍となっている(第18表、第11図)。 ロ 生産労働者を100とした管理・事務・技術労働者の格差は128とな っている(第18表)。 (7)標準労働者の賃金 標準労働者の賃金について年齢階級別にみると、各学歴ともに55〜59歳 層がピークで、大卒が585,000円(20〜24歳層の2.9倍)、高専・ 短大卒が468,700円(同2.5倍)、高卒では398,100円(同2. 2倍)となっている(第19表、第12図)。 (8) 標準労働者の男女間賃金格差 年齢、学歴、勤続年数について条件を同一にした標準労働者の男女間賃金格 差を、男性を100としてみると、高卒では年齢とともに拡大する傾向が見ら れ、50〜54歳層では72となっている。 大卒では、格差が最も大きい45〜49歳層で82となっているが、高卒と 比べると各年齢層で格差の大きさは小さい(第20表)。 4 女性パートタイム労働者の賃金 (1)パートタイム労働者の賃金 イ 女性パートタイム労働者の1時間当たりの賃金は871円で、対前年上 昇率は0.1%とほぼ前年(870円)と同水準となった(第13図)。 ロ 企業規模別に1時間あたりの賃金をみると、大企業で887円、中企業 889円、小企業842円となっている。 大企業を100として企業規模間格差をみると、中企業が100、小企 業95と中企業では大企業と同水準となっている。 企業規模間格差の変化をみると、前年との比較ではあまり大きく変化は していないが、5年前との比較では両規模とも格差がかなり縮小している (第21表)。 (2) 産業別賃金 イ 産業別に1時間当たりの賃金をみると、サービス業が982円、金融・ 保険業970円と、ともに900円を超えているのに対し、製造業が81 4円、卸売・小売業,飲食店843円となっている。 ロ 製造業を100として産業間格差をみると、サービス業が121、金融 ・保険業119、卸売・小売業,飲食店104となっている。 これを前年と比べると、金融・保険業で格差が縮小している (第22表)。 (3)地域別賃金 地域別に1時間当たりの賃金をみると、南関東が939円と最も高く、次い で京阪神が920円と高いのに対し、南九州が723円と低くなっている。 南関東を100として地域間格差をみると、京阪神が98と格差が最も小さ く、東海、近畿、北関東、北陸で90〜94と比較的小さいが、南九州では 77と最も大きくなっており、その他の地域では84〜87となっている (第23表)。 (4) 実労働日数、実労働時間数、勤続年数 女性パートタイム労働者の実労働日数は19.8日となり、前年に比べると 0.2日、この5年間でみると1.1日短くなっている。 1日当たりの所定内実労働時間数は5.7時間となり、前年に比べ0.1時 間長くなっているが、この5年間では0.1時間短くなっている。 勤続年数は5.1年となり、前年に比べ0.1年、この5年間では0.3年 長くなっている(第24表)。