タイトル:平成9年賃金構造基本統計調査結果速報
賃金上昇率は3年連続で1%台の伸び
大卒男性の中年層では年齢間賃金格差は縮小・
同一年齢層内の賃金の散らばりはやや拡大
大企業との企業規模間格差は女性で縮小傾向
発 表:平成10年4月23日
担 当:労働大臣官房統計調査第2課
電 話 03-3593-1211(内線5675・5269)
03-3502-6730(夜間直通)
T 調査の概要 この調査は、我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年6月分の 賃金等について実施している。調査対象は、日本標準産業分類による9大産 業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、 卸売・小売業、飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業)に属する 5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び10人以上の常用労働者を 雇用する公営事業所である。 この度、平成9年調査の10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所に 関する結果を取りまとめた(集計事業所数は約4万8千、集計労働者数は約 127万人であった。)。 なお、パートタイム労働者と表現したもの以外は、一般労働者についての ものである。 U 調査結果の概要 【骨子】 1 賃金、賃金上昇率 ―賃金上昇率は3年連続で1%台の伸び― 賃金(所定内給与)は、男女計298,900円となり、対前年上昇率 は、男女計1.1%と3年連続で1%台の伸びとなった。 男女別には、男性337,000円、女性212,700円となり対前 年上昇率は、男性0.9%、女性1.5%となった。 2 男性労働者の賃金 ―大卒中年層では年齢間賃金格差は縮小・賃金の 散らばりはやや拡大― (1) 賃金のピークは、50〜54歳層の432,500円で、20〜24 歳層(202,800円)の2.1倍となっている。 (2) 20〜24歳層を100とした年齢間格差を、5年前と比較すると5 0歳代で格差が拡大していることを除き、他の年齢層では格差はほとん ど変化していない。 年齢間格差を学歴別にみると、5年前と比較して大卒では30歳代で 格差が拡大しているものの40〜54歳の各年齢層では格差が縮小して いる。 また、高卒についても35〜49歳の各年齢層で格差が縮小している。 (3) 20〜24歳層の非職階者を100とした職階間格差は、部長は31 5、課長は256となっており、5年前との比較では賃金格差はあまり 変化していない。 なお、部長、課長の平均年齢は5年前と比較して1〜1. 3歳上昇し ている。 (4) 賃金の散らばり度合いを示す十分位分散係数を、年齢階級別に5年前 と比較すると、大卒では55〜59歳層で縮小する一方、30〜34歳 層及び40歳代でやや大きくなっており、これらの年齢層では同一年齢 層内での賃金の散らばりがやや拡大している。 3 女性労働者の賃金 ― 大企業との企業規模間格差は縮小傾向 ― (1) 賃金のピークは、35〜39歳層の234, 600円で、20〜24 歳層(182, 500円)の1.3倍となっている。 (2) 20〜24歳層を100とした年齢間格差を、5年前と比較すると、 30〜59歳の各年齢層でおおむね拡大している。 (3) 大企業を100とした企業規模間格差は、中企業で89、小企業で8 1となっている。 企業規模間格差を年齢階級別に5年前と比較すると、中企業、小企業 とも、ほぼ各年齢層で格差が縮小している。 (4) 標準労働者の男女間賃金格差を年齢階級別にみると、男性を100と して高卒では最大が72(50〜54歳層)、大卒では82(45〜4 9歳層)で、大卒では高卒に比べて格差は小さい。 4 女性パートタイム労働者の賃金 ―1時間あたりの賃金は871円と前年と同水準 ― 女性パートタイム労働者の1時間あたりの賃金は、871円でほぼ前年 (870円)と同水準となった。 5 勤続年数 ―勤続年数は女性の各年齢層、男性の50歳代などで長期化 ― (1) 男性労働者 勤続年数は13.3年(前年差+0.2年)となり、5年前との比較では0.8 年長くなっている。年齢階級別には、5年前との比較では35〜44歳 の各年齢層で短くなっているが、20〜34歳の各年齢層及び50歳代 で長くなっている。 (2) 女性労働者 勤続年数は 8.4年(前年差+0.2年)となり、5年前との比較では1.0 年長くなっている。年齢階級別には、ほぼすべての年齢層で長くなって いる。 (3) 女性パートタイム労働者 勤続年数は、5.1年となり前年に比べ 0.1年、この5年間では 0.3年長 くなっている。 (注) 1 10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所に関する集計は、昭和 51年以降行っているものである。 2 集計対象者は、常用労働者(臨時・日雇名儀であっても、前2カ月に それぞれ18日以上雇用された者を含む。)であり、一般労働者とパート タイム労働者(同一企業の一般労働者より1日の所定労働時間又は1週 間の労働日数が少ない労働者)とに区分して集計している。 3 賃金額は、一般労働者については労働者1人当たりの月間平均所定内 給与であり、パートタイム労働者については1時間当たりの所定内給与 である。 4 集計結果は企業規模別に表示しており、常用労働者1,000人以上 を大企業、100〜999人を中企業、10〜99人を小企業としてい る。 5 賃金額におけるベース・アップの算入の割合(1月〜6月中にベース ・アップを決定し6月分の所定内給与額に算入されている労働者及びベ ース・アップをしないことを決定している労働者の全労働者に対する割 合をいう。)は、次のとおりである。
(単位:%) |
企業規模計 | 大企業 | 中企業 | 小企業 | ||||
平成8年 | 9年 | 平成8年 | 9年 | 平成8年 | 9年 | 平成8年 | 9年 |
86.3 | 85.1 | 91.1 | 91.0 | 86.8 | 84.2 | 81.8 | 81.1 |