全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数は前年比251件増の2万2,605件
――厚生労働省による賃金不払が疑われる事業場に対する2025年の監督指導結果
国内トピックス
厚生労働省が8月21日に発表した2025年に賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導(立入調査)結果によると、2025年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数は、前年から251件増加して、2万2,605件となった。監督指導件数を業種別にみると、「商業」や「製造業」がいずれも4,000件を超え、それぞれ全体の2割前後に及んでいる。
賃金不払事案は前年比約43億円減の128億5,782万円に
2025年に、全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数は2万2,605件で、前年から251件増加した。その対象労働者数は17万3,016人で、前年から1万2,181人減少。金額は128億5,782万円で、前年から43億5,331万円減少した。
取り扱った件数のうち、2025年中に、労働基準監督署の指導によって使用者が賃金を支払い、解決された賃金不払事案の件数は2万1,731件(96.1%)で、その対象労働者数は16万7,828人(97.0%)、金額は109億9,703万円(85.5%)だった。
監督指導金額は「保健衛生業」「製造業」「商業」の3業種で全体の5割超
業種別の監督指導状況をみると、件数は「商業」が4,701件(20.8%)で最も多く、次いで「製造業」が4,370件(19.3%)、「保健衛生業」が3,620件(16.0%)、「接客娯楽業」が2,813件(12.4%)、「建設業」が2,290件(10.1%)、「運輸交通業」が1,152件(5.1%)などとなっている。
対象労働者数は、「保健衛生業」が4万7,033人(27.2%)で最も多く、以下、「製造業」が4万3,028人(24.9%)、「商業」が2万568人(11.9%)、「建設業」が1万1,877人(6.9%)、「接客娯楽業」が1万214人(5.9%)、「教育・研究業」が7,459人(4.3%)などと続く。
金額は、「保健衛生業」が27.1億円(21.1%)、「製造業」が26.0億円(20.2%)でともに20億円台となっており、そのほかに、「商業」が13.0億円(10.1%)、「教育・研究業」が11.4億円(8.9%)、「建設業」が10.6億円(8.2%)、「映画・演劇業」が8.2億円(6.4%)など。「保健衛生業」「製造業」「商業」の3業種で、不払金額全体の51.4%を占める。
公表結果では、「労働時間の一律切り捨て」や「固定残業代の不適切な運用」の是正事例と、「賃金の全額不払い」や「時間外・深夜労働の割増賃金不払い」といった送検事例が取り上げられている。是正事例をみると、自動車付属品を製造する企業が、慣例として始業直前・就業直後の15分間を一律に切り捨てており、「労働者によっては、当該15分間に業務に従事していた可能性は否定できない」ことから、労基署が過去の時間外労働の実態調査や労働時間の適正な把握について指導。割増賃金の不払いが認められた複数の労働者に対し、追加で差額分を支給するとともに、一律の切り捨て処理を廃止した。
また、別の例では、固定残業代制度を採用している建設資材等の卸売の企業が、一部の労働者に割増賃金を支払っていなかったことで、労基署が是正勧告と指導を行い、追加で差額の割増賃金を支払った。
(調査部)
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