監督指導を行った事業場の38.5%で違法な時間外労働
――厚生労働省による長時間労働が疑われる事業場に対する2025年度の監督指導結果
国内トピックス
厚生労働省が9月15日に発表した、2025年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果によると、監督指導を実施した2万9,150事業場の78.5%で労働基準関係法令違反があり、38.5%で違法な時間外労働があった。そのうち、時間外労働・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超える事業場の割合は44.5%となっている。
78.5%で労働基準関係法令違反あり
監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1カ月あたり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等にかかる労災請求が行われた事業場など、長時間労働が疑われる事業場を対象に実施される。
監督指導結果によると、2025年4月~2026年3月の1年間で、労働基準監督署が監督指導を実施したのは2万9,150事業場で、前年(2万6,512事業場)より約2,500事業場増加。そのうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、その78.5%にあたる2万2,882事業場で、前年(2万1,495事業場)より約1,400事業場増加している。
労働基準関係法令違反が認められた事業場数を主な業種別にみると、「商業」が4,885事業場で最も多く、次いで「製造業」(3,639事業場)、「保健衛生業」(3,102事業場)、「接客娯楽業」(2,640事業場)、「その他の事業」(2,349事業場)、「運輸交通業」(2,072事業場)、「建設業」(1,878事業場)の順となっている。
主な違反事項別にみると、違法な時間外労働があったのが1万1,228事業場(監督指導実施事業場の38.5%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが5,919事業場(同20.3%)、賃金不払残業があったものが1,901事業場(同6.5%)となっている。
月80時間超えが44.5%
監督指導で把握した実態をみると、違法な時間外労働があった1万1,228事業場のうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えていたのは4,991事業場(44.5%)となっており、前年(5,464事業場)より減少したものの、5,000事業場近くにのぼった。
内訳をさらに詳しくみると、月100時間を超えていたのは2,842事業場(25.3%)、月150時間を超えていたのは554事業場(4.9%)、月200時間を超えていたのは111事業場(1.0%)だった。
43.9%の事業場に健康障害防止措置を講じるよう指導
主な健康障害防止に関する指導の状況をみると、監督指導を実施した事業場のうち、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導したのは1万2,811事業場(43.9%)で、前年(1万2,890事業場)から微減している。
指導事項は、「月80時間以内への削減」(6,717事業場)が最も多く、これに「月45時間以内への削減」(5,990事業場)、「面接指導等の実施」(2,167事業場)、「長時間労働による健康障害防止対策に関する調査審議の実施」(1,509事業場)、「面接指導等が実施できる仕組みの整備等」(575事業場)、「ストレスチェック制度を含むメンタルヘルス対策に関する調査審議の実施」(491事業場)と続く。
また、労働時間の把握が不適正なため、厚生労働省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するよう指導したのは4,045事業場(13.9%)で、前年(4,016事業場)より微増した。
指導事項は「始業・終業時刻の確認・記録」(2,620事業場)が最も多く、ほかにも、始業・終業時刻の確認・記録が自己申告制による場合に把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか確認するなどの「実態調査の実施」(1,465事業場)も多くなった。
公表された監督指導結果では、違法な長時間労働等の監督指導事例と、働き方改革を進めるなかで企業が実施した長時間労働削減のための自主的な取組事例を紹介している。前者については、例えば、一部の現場労働者に違法な時間外・休日労働を行わせていた建設業の企業に対し、労基署が是正勧告や指導を実施。現場労働者の人員拡充や労働時間管理方法の見直しに取り組んだ結果、監督指導実施から3カ月後には労働時間の適正な把握が可能となり、時間外・休日労働時間数も大きく減って法律違反が解消された。
また、後者の例では、化粧品や入浴剤の製造・販売をしている企業が、RPAを導入して200以上の業務を自動化したり、集中作業や会議が多い日にテレワークを実施するなどの働き方を進めたことで、作業時間の大幅な削減や効率的な働き方が可能となった。その結果、2011年に月平均35時間あった残業時間数が2024年には月平均5時間48分まで削減。年次有給休暇も、年平均8日(2018年)から年平均13日(2024年)に増えたという。
厚生労働省は今後も長時間労働の是正に向けた取り組みを積極的に展開。11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中には、重点的な監督指導を行うとしている。
(調査部)
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