【賃上げの全体状況】
すべての地方連合会の代表が集まり、回答結果を報告
 ――連合が2025春季生活闘争に関する地方連合会合同記者会見を初めて開催

春闘取材

連合(芳野友子会長)は5月27日、2025春季生活闘争に関する地方連合会合同記者会見を開いた。春闘期間中に地方連合会を集めて記者会見するのは今回が初めてで、会見には、47都道府県のすべての地方連合会が出席した。各地方連合会での最新の賃上げ回答額を発表するとともに、交渉の最新状況を報告することで、組合のない地方・地場の中小・零細企業や未組織労働者にも賃上げ相場を波及させるのが狙いだ。

会見の様子

会見する地方連合会の会長ら(5月27日、都内・連合会館)

「地場共闘集計結果」の公表は21年ぶり

会見の冒頭で芳野会長は、「4月までに賃金改定を行う企業は日本の企業の半分程度であり、中小企業なども含めて高い賃上げを日本全体に発表させるにはこれからが勝負どころだ」と話し、今回の記者会見も活用しながら「引き続き構成組織、地方連合会とともに全国の中小組合の賃上げに向けた機運醸成に注力していく」と強調した。

会見では、全地方連合会の結果を一覧表にした「地場共闘集計結果」が2004年以来、21年ぶりに公表された(図表)。

図表:地方連合会合同記者会見で連合が公表した
地方連合会地場共闘集計結果(連合本部集約5月19日時点)

画像:図表

(会見配付資料から編集部で作成)

価格転嫁は3次、4次取引ほど進まず

連合広島の大野真人会長は広島県の中小企業を取り巻く情勢について、価格転嫁の進捗には濃淡があり、2次、3次、4次と取引先がおりるほど「進んでいない」と説明。ただ、中小企業からは人手不足で防衛的に賃上げせざるを得ないとの声が聞かれるとした。

交渉については、今年は中小でも多くの組合が6%以上(定期昇給相当込み)の賃上げ要求をしているのが特徴だとし、回答の状況については、5月19日の集計で、定昇相当込みの加重平均で1万7,211円(5.51%)、300人未満では1万2,477円(4.72%)となっており、中小については額、率ともに集計開始以来で最高だと説明した。

6月には初めて担当者レベルで価格転嫁について意見交換

連合北海道の須間等会長は、5月4日の時点で、定昇相当込みの加重平均で1万3,898円(5.01%、昨年比0.39ポイント増)、300人未満では1万2,329円(4.84%)となっており、「賃上げの流れは中小でも継続している」とする一方、「規模間格差は広がるおそれがあり、その点は心配している」と話した。

また、須間会長は、1月22日の北海道政労使会議で採択された「物価上昇を上回る賃上げに向けた環境整備の取組強化」共同宣言にもとづく価格転嫁の取り組みを紹介。6月には初めて担当者レベルの意見交換の場を開く予定だと話した。

一覧表をみると、都道府県によって賃上げ率が3%台~6%台までばらついているが、集計日が交渉の序盤であったり、集計している企業規模にも偏りがあることが影響している場合があり、今後、率が低い地方は上昇し、高い地方は低下していく可能性もある。 なお、連合長崎(5月12日、6.15%)と連合大分(5月9日、6.14%)は、集計日が5月であるにもかかわらず、6%超の賃上げ率となっている。

(調査部)