若い世代の労働組合の認知率は7割程度
――連合「連合および労働組合のイメージ調査2025」結果
国内トピックス
連合(芳野友子会長)は3月6日、「連合および労働組合のイメージ調査2025」の集計結果を発表した。全国の15歳以上の男女(全回答者)に労働組合を知っているか尋ねると、「知っている」と回答した「10代」は69.0%、「20代」は71.3%となり、若い世代は7割程度の認知度だった。また、連合の認知度をみると、「知っている」(「どのような組織か知っている」「名前を聞いたことがある」の合計)と回答した「10代」は43.5%、「20代」が55.0%で、両世代とも6割に満たない結果となった。
調査は、連合が労働組合や連合自身に対する認知度やイメージを把握することを目的に実施。インターネット調査により2024年11月22日~11月25日の4日間で行った。全国の15歳以上の男女2,000人を有効サンプルとして集計した。
<労働組合の認知度>
調査では、労働組合を「労働組合は、働く人が主体となって、賃金や働く環境を向上させるために、経営者などに対して法律上対等な立場で交渉ができる団体」と説明したうえで、労働組合の認知度を調べた。認知度では、「知っている」が81.8%で、2022年10月に実施した前回調査に比べ、8.7ポイント減少した。「知らない」は18.3%となり、前回調査に比べ8.7ポイント増加した(図表1)。
図表1:労働組合の認知度(全体および世代別を抜粋)
(公表資料から編集部で作成)
世代が高くなるごとに労働組合の認知度が高まる
「知っている」と回答した割合を世代別にみると、「10代」が69.0%、「20代」が71.3%、「30代」が79.0%、「40代」が85.8%、「50代」が91.8%、「60代以上」が93.0%となり、世代が高くなるほど認知度が上がっており、「10代」と「60代以上」では、24.0ポイントも差があった。
勤務先で労働組合に加入している割合は3割程度
調査対象者2,000人のうち就業者(1,466人)に尋ねた、勤務先の労働組合の有無をみると、「ある」と回答した割合は36.0%、「ない」が33.4%、「わからない」が30.6%となっている。
勤務先での労働組合に加入しているかどうかについては、「加入している」が23.5%、「加入していない」が50.1%、「わからない」が26.3%で、加入していない人がほぼ半数を占めた。
「加入している」と回答した割合を世代別にみると、「10代」が16.4%、「20代」が28.5%、「30代」が29.2%、「40代」が21.1%、「50代」が20.4%、「60代以上」が10.1%となっている。
若い世代ほど自分が労働組合に加入しているか「わからない」と回答
「わからない」と回答した割合を世代別にみると、「10代」が60.0%、「20代」が40.1%、「30代」が28.0%、「40代」が23.2%、「50代」が13.7%、「60代以上」が6.1%と、若い世代ほど割合が高くなっており、特に「10代」は60%と6割を超えている。
<連合の認知度>
連合の認知度について「連合は、日本最大の労働組合の中央組織である」と説明したうえで尋ねた。「知っている」(「どのような組織か知っている」「名前を聞いたことがある」の合計)と回答した割合は52.3%で、2022年10月に実施した前回調査より4.3ポイント低かった(図表2)。「知らない」は47.8%となり、前回調査より4.4ポイント高かった。「名前を聞いたことがある」は33.8%で、前回に比べ3.0ポイント減少した。
図表2:連合の認知度について(全体及び世代別を抜粋)
(公表資料から編集部で作成)
10代の連合の認知度は43.5%
「知っている」と回答した割合を世代別にみると、「10代」が43.5%、「20代」が55.0%、「30代」が50.7%、「40代」が49.8%、「50%」が52.8%、「60代以上」が62.5%。「10代」の認知度は4割程度であるのに対して、「60代以上」は6割程度となり、労働組合の認知度と同様に、若い世代と差がある。
このうち、「知っている」と回答した人の連合の認知経路をみると(複数回答)、「TV」(32.6%)が最も高く、次いで「新聞」(19.9%)、「労働組合に加入しているため」(13.2%)などの順だった。
若い世代はSNSを通して連合を認知
世代別にみると、「10代」は「TV」(34.5%)が最も高く、次いで、「YouTube」(17.2%)、「新聞」(14.9%)などとなっている。「20代」は「TV」(20.5%)が最も高く、次いで、「X(旧Twitter)」(14.5%)、「労働組合に加入しているため」(13.6%)など。「30代」は「TV」(26.6%)が最も高く、次いで、「労働組合に加入しているため」(15.8%)、「YouTube」(15.3%)などとなっている。
「40代」は「TV」(38.7%)が最も高く、次いで、「新聞」(16.1%)、「労働組合に加入しているため」(15.1.%)となっている。「50代」は「TV」(39.8%)が最も高く、次いで、「新聞」(30.3%)、「労働組合に加入しているため」(13.3%)など。「60代以上」は「TV」(40.8%)が最も高く、次いで、「新聞」(39.2%)、「労働組合に加入しているため」「労働組合の機関誌」(ともに10.4%)となっている。
いずれの世代も「TV」がトップになるものの、他の世代に比べ、10代から30代までの若い世代は「YouTube」や「X(旧Twitter)」などのSNSを通して認知している割合が高い。
10代~30代の連合へのイメージは「真面目な」がトップ
「知っている」と回答した人の連合へのイメージをみると(複数回答)、全体で「伝統的だ」が15.2%と最も高く、次いで、「影響力のある」が14.7%、「保守的な」が14.4%などとなっている。
同割合を世代別にみると、「10代」では「真面目な」「堅実な」「頼れる」がいずれも20.7%と最も高く、「20代」と「30代」では、「真面目な」が最も高く、それぞれ15.9%と16.3%となった。「40代」は「影響力のある」が16.1%と最も高く、「50代」と「60代以上」では「伝統的だ」が最も高く、それぞれ21.3%と20.8%となっている。
知っている取り組みは「春闘の実施」と「労働組合づくり支援・労働相談の実施」
一方、連合を知っていると答えた人に、連合の取り組みとして知っているものを聞いたところ、「春闘(春季生活闘争)の実施」(25.0%)が最も高く、以下、「労働組合づくり支援・労働相談の実施」(20.3%)、「政府・政党などへの政策・制度要請」「政治・選挙活動」(いずれも15.9%)、「非正規雇用の問題解決に向けた取り組み」(15.1%)が続いた。
これを世代別にみると、10代では「労働組合づくり支援・労働相談の実施」(26.4%)がトップで、「非正規雇用の問題解決に向けた取り組み」(25.3%)が2番目に高く、20代では「春闘(春季生活闘争)の実施」と「労働組合づくり支援・労働相談の実施」(いずれも16.8%)が同率1位だった。
その半面、連合の取り組みが「全くわからない」と回答した人も28.5%いた。世代別では、一番高い40代(35.7%)と30代(32.0%)が3割超。60代以上(29.6%)も約3割を占めたほか、50代(25.6%)と10代(24.1%)の4人に1人、20代(22.7%)も2割強が「全くわからない」と答えた。
「連合を身近な存在と思う」認知者は35.8%にとどまる
連合を知っている人に、「身近な存在だと思うか」を尋ねたところ、「思わない」(「全くそう思わない」16.7%、「そう思わない」13.8%、「あまりそう思わない」33.8%の合計)が64.2%で、「思う」(「非常にそう思う」5.7%、「そう思う」9.4%、「ややそう思う」20.7%の合計)の35.8%を大きく上回った。世代別では、「思う(同)」と答えた人の割合は若い世代のほうが高く、最も高い20代(53.6%)と最も低い60代以上(16.8%)の間には36.8ポイントの差がみられた。
認知度を広げる取り組みとわかりやすい発信を進める
連合は、「取り組みとして知っているものの上位に『労働組合づくり支援・労働相談の実施』が、とりわけ若い世代に多くみられる一方で、連合の取り組みが『全くわからない』と答えた人も少なくない」などとしたうえで、「引き続き連合の認知度の拡大をはかるとともに、取り組みをわかりやすく、工夫しながら発信していくことが重要だ」と指摘。「労働組合・連合の活動の重要性・必要性を肝に銘じ、引き続き、連合が『必ずそばにいる存在』となるための取り組みを進めていく」と主張している。
(調査部)