相談件数は1万8,989件で、電話相談・メール相談ともに「医療・福祉」での相談がトップ
 ――連合の労働相談の2024年集計報告

国内トピックス

連合(芳野友子会長)はこのほど、「なんでも労働相談ホットライン」の2024年の集計報告をまとめた。電話、メール、LINEをすべて合わせた相談件数は1万8,989件で、前年から311件増加した。電話相談、メール相談ともに、業種割合では「医療・福祉」が最も高く、相談内容ではともに「パワハラ・嫌がらせ」が最も多くなっている。

<全体集計>

前年に比べて電話とLINEが増加し、メールが減少

集計報告は、2024年の1年間で、47の地方連合会と連合本部に寄せられた相談をまとめたもの。①電話②メール(連合本部ホームページ経由のメール相談)③LINE(6回11日間実施)――の3つの相談方法に分けて集計しており、それによると、相談件数は、「電話」が1万6,272件、メールが1,882件、LINE(回数)が835件で、合計の件数が1万8,989件となっている。

前年と比べると、電話(385件増)とLINE(97件増)は増加となり、メール(171件減)は減少した。全体では311件増加した。

<電話相談>

40代以降の世代の相談が7割超を占める

相談方法ごとに詳しくみると、電話相談では、男性からの相談が45.7%、女性からが54.0%で、女性からの相談のほうが多くなっている。女性の相談件数が男性を上回るのは5年連続。

年代別の割合をみると、10代が0.8%、20代が11.4%、30代が16.1%、40代が24.5%、50代が30.2%、60代が13.6%、70代が3.4%と、40代の割合が最も高く、40代より上の年代で全体の7割超を占めている。

雇用形態別にみると、「正社員」が50.9%、「パートタイマー」が17.7%、「アルバイト」と「契約社員」がそれぞれ6.0%、「臨時・非常勤職員」が0.7%、「嘱託社員(再雇用含む)」が1.6%、「派遣社員」が5.3%、「その他」が11.7%となっている。

この4年間、業種別割合の上位5位は変わらず

業種別割合をみると、「医療・福祉」(22.1%)が最も割合が高く、2位が「サービス業(他に分類されないもの)」(19.2%)、3位が「製造業」(12.6%)、4位が「卸売・小売業」(10.2%)、5位が「運輸業」(8.5%)という順位となっている。1位から5位までの順番は2021年以降、変わっておらず、「医療・福祉」がトップなのは4年連続。

相談内容の割合をみると、パワハラや嫌がらせなどが該当する「差別等」(20.9%)が最も高い割合で、4年連続で最多となっている。次いで割合が高いのは「労働契約関係」(12.6%)で、「賃金関係」(12.3%)、「その他」(11.1%)、「雇用関係」(10.6%)、「労働時間関係」(9.6%)、「退職関係」(8.9%)などの順で続く。

相談内容をさらに細かい小項目でみると、「パワハラ・嫌がらせ」が19.1%で最も高い割合となっている。

<メール相談>

メール相談では30代以下の割合がほぼ5割に

メール相談では、男性からの相談の割合が38.9%で、女性が59.1%。女性からの相談が男性を上回るのは6年連続となっている。

年代別割合は、10代が1.3%、20代が22.0%、30代が27.3%、40代が24.8%、50代が19.1%、60代が5.3%、70代が0.2%で、30代の割合が最も高い。30代以下の割合が全体のほぼ5割を占めている。

電話相談よりも「正社員」の割合が高い

雇用形態別にみると、「正社員」が57.4%、「パートタイマー」が12.5%、「アルバイト」が8.1%、「契約社員」が6.6%、「臨時・非常勤職員」が1.0%、「嘱託社員(再雇用含む)」が1.6%、「派遣社員」が5.8%、「その他」が7.0%となっており、電話相談よりも「正社員」の割合が高くなる。

業種別割合は、「医療・福祉」(17.9%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(14.2%)、「製造業」(13.8%)、「卸売・小売業」(9.3%)、「飲食店、宿泊業」(5.4%)などの順で割合が高い。「医療・福祉」の割合が最も高いのは5年連続。

相談内容の割合をみると、「差別等」(23.2%)の割合が最も高く、次いで「賃金関係」(15.4%)、「労働契約関係」(15.2%)、「労働時間関係」(13.3%)、「雇用関係」(8.8%)、「退職関係」(7.4%)などの順となっている。「差別等」の割合が最も高いのは5年連続。

相談内容の割合を小項目でみると、「パワハラ・嫌がらせ」が20.2%で最も高く、2年連続での20%台となっている。

AIチャットボットの応答件数は2万件超

連合では、本部のホームページで、労働相談AIチャットボット「ゆにボ」を導入している。「ゆにボ」から質問に応答した件数は、集計報告での相談件数には含めていないが、2024年の1年間で応答した件数は2万967件で、3年連続で2万件を超えている。

(調査部)