民間企業に雇用される障がい者数が21年連続で過去最高を更新
――厚生労働省が2024年「障害者雇用状況」集計結果を公表
国内トピックス
厚生労働省が昨年12月に公表した民間企業や公的機関などにおける2024年の障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業に雇用されている障がい者数は、前年より3万5,283.5人多い67万7,461.5人となり、21年連続で過去最高を更新した。実雇用率は前年比0.08ポイント上昇の2.41%で、こちらも過去最高。ただし、法定雇用率(2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げ)を達成している企業の割合は46.0%で、前年から4.1ポイント低下した。
障がいの種類別では精神障がい者の雇用が大きく伸びる
民間企業に雇用されている障がい者数を、障がいの種類別にみると、身体障がい者が36万8,949.0人(前年比2.4%増)、知的障がい者が15万7,795.5人(同4.0%増)、精神障がい者が15万717.0人(同15.7%増)となっており、特に精神障がい者の伸び率が大きい。
実雇用率は13年連続で過去最高を更新
法定雇用障がい者数の算定基礎となる労働者に占める、雇用障がい者数の割合である実雇用率は、前年から0.08ポイント上昇して2.41%となり、13年連続で過去最高を更新した。法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%で、前年の50.1%から4.1ポイント低下した。法定雇用率が2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げられたことが影響したものと思われる。
実雇用率を企業規模別にみると、今回から新たに報告対象となった「40.0~43.5人未満」は2.10%だった。「43.5~100人未満」は1.95%(前年は1.95%)、「100~300人未満」は2.19%(同2.15%)、「300~500人未満」は2.29%(同2.18%)、「500~1,000人未満」は2.48%(同2.36%)、「1,000人以上」は2.64%(同2.55%)となっている。
法定雇用を達成している企業の割合を規模別にみると、「40.0~43.5人未満」は33.3%だった。「43.5~100人未満」は45.4%(前年は47.2%)、「100~300人未満」は49.1%(同53.3%)、「300~500人未満」は41.1%(同46.9%)、「500~1,000人未満」は44.3%(同52.4%)、「1,000人以上」は54.7%(同67.5%)となっている。
実雇用率を産業別にみると、「医療、福祉」(3.19%)が最も高く、法定雇用率の2.5%を上回っている。以下、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.50%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.47%)、「運輸業、郵便業」(2.45%)、「複合サービス業」(2.43%)などの順。一方、「教育、学習支援業」(1.89%)、「情報通信業」(1.98%)、「不動産業、物品賃貸業」(1.99%)は2%に満たない実雇用率となっている。
未達成企業の6割近くは障がい者の雇用数がゼロ
法定雇用率の未達成企業は6万3,364社。このうち、雇用されている障がい者の不足数が0.5人または1人の企業(1人不足企業)は、全体の約3分の2(64.1%)を占める。また、法定雇用率の未達成企業のうち、障がい者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は57.6%となっている。
特例子会社は16社増えて614社に
親会社の実雇用率に算入できる、障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社である特例子会社の認定を受けている企業は614社で、前年から16社増加した。特例子会社に雇用されている障がい者数は5万290.5人(前年は4万6,848.0人)となっている。
特例子会社に雇用されている障がい者数を障がいの種別にみると、身体障がい者が1万2,488.5人(同1万2,134.0人)、知的障がい者が2万5,553.5人(同2万4,062.0人)、精神障がい者が1万2,248.5人(同1万652.0人)となっている。
国の機関の実雇用率は3.07%
公的機関の状況をみると、国の機関に在職している障がい者の数は1万428.0人で、前年から4.9%増加した。実雇用率は3.07%で、前年から0.15ポイント上昇。44機関中43機関が法定雇用率(2.8%)を達成したほか、未達成の1機関も集計結果の発表時点では達成している。
都道府県の機関に在職している障がい者の数は1万1,030.5人で、前年から3.8%増加。実雇用率は3.05%で、前年から0.09ポイント上昇した。知事部局は47機関中45機関が法定雇用率(2.8%)を達成しており、知事部局以外は121機関中105機関が達成している。
市町村の機関に在職している障がい者の数は3万7,433.5人で、前年から5.1%増加。実雇用率は2.75%で前年から0.12ポイント上昇した。2,488機関中1,769機関が法定雇用率(2.8%)を達成している。
障害者雇用促進法では事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇うことを義務づけている。また同法では、毎年6月1日現在の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の雇用状況について、雇用義務のある事業主等に報告を求めており、今回の集計結果はそれを取りまとめたもの。短時間労働者は原則0.5人でカウントしている。
民間企業についてはこれまで従業員数43.5人以上を対象としていたが、2024年4月から40人以上に拡大した。2026年7月にはさらに37.5人以上まで拡大し、法定雇用率も2.7%に引き上がる。
(調査部)
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