タイトル:人事考課制度は5割の企業で実施

     300人以上の企業では9割を超える

     人事考課の公開制度がある企業はうち25%

     公開内容は「考課結果」、「考課項目ごとの判断基準」など

      (平成11年雇用管理調査結果速報 )

発  表:平成11年6月25日(金)

担  当:労働大臣官房政策調査部産業労働調査課

              電 話 03-3593-1211(内線5247)

                  03-3502-6729(夜間直通)





I 調査の概要





1 雇用管理調査は、民営企業における労働者の採用から退職に至るまでの一連の

 諸管理の状況を明らかにするため、テーマを採用管理、採用後の諸管理、退職管

 理に分け、毎年、実施しているものである。

  平成11年調査においては、毎年行っている定年制関係の調査のほか、企業が進

 めている人事  管理の能力主義化・業績重視主義化に関連し、昇進・昇格基準、

 人事考課制度の状況と今後の課題等について調査を行った。

  この度、その結果がまとまったので、ここに報告する。



2 調査対象は、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通

 信業、卸売・ 小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サ−ビス業(家事サ

 ービス業、教育、外国公務を除く。)に属する本社の常用労働者数が30人以上の

 民営企業のうちから産業、企業規模別に無作為に抽出した5,842企業(回収率

 74.5%)である。

  調査は、平成11年1月1日現在(一部の調査事項は平成10年1月〜12月までの

 1年間)の状況について行ったものである。



II 調査結果の概要





  【骨子】





1 昇進・昇格等



 (1) 職位昇進基準を定めている企業割合は、 事務、技術・研究、現業のい

    ずれの職種においても3割〜4割。事務職の昇進基準の内容は「能力評価」、

    「業績評価」とするが7割〜8割、「在籍年数」4割〜5割、「人柄」3割〜4割

    (第1図付属統計表第1表)。	



 (2) 資格制度は、全企業の31.9%が実施(付属統計表第2表)。	

     上位資格への昇格のための選考基準を定めている企業割合は「役職者」

    について84.2%、「一般職」について86.9%。選考基準の内容は、「能力評

    価」が役職者、一般職それぞれ86.8%、85.3%と最も高く、次いで「業績評

    価」86.0%、80.6%、「在籍年数」57.6%、63.7%、「人柄」35.2%、31.7

    %(第2図付属統計表第3表)。



 (3) 専門職制度は、 全企業の18.2%、5,000人以上規模では51.5%が実施

   (付属統計表第4表)。専門職制度の設定理由は、「生産、販売等の各分野の

    個々の労働者をスペシャリスト化して、その能力の有効発揮を図るため」と

    する企業が35.7%と最も多い(第3図付属統計表第6表)。	





2  人事考課制度



 (1) 人事考課制度がある企業は50.8%、300人以上の企業規模では9割を超える

    (第4図付属統計表第8表)。



 (2) 人事考課の公開制度がある企業割合は人事考課制度のある企業の25.3%、 

    5,000人以上規模では59.8%。公開内容は「考課基準等」89.9%、「考課結果」

    85.8%となっている。「考課基準等」の内容は「考課項目ごとの判断基準」

    69.0%、「考課者」60.5%、「考課項目ごとのウエート」58.8%

   (第5図第6図付属統計表第9表)。



 (3) 公開制度の対象者は、考課基準等を公開する企業と考課結果を公開する企

    業の別にみると 、「対象者全員」がそれぞれ65.6%、59.0%、「申し出があ

    った者」がそれぞれ12.6%、16.6%(付属統計表第10表)。	



 (4) 異議申立て制度のある企業は、考課結果を公開する企業の41.0%

    (第7図付属統計表第11表)。



 (5) 人事考課を行う上で用いる諸制度の導入割合は、目標管理制度43.5%、

    多面評価制度41.8%、自己評価制度29.2%(付属統計表第12表)。



 (6) 人事考課制度の問題点は、「質の異なる仕事をする者への評価が難しい」

    59.4%、「考課者訓練が不十分である」54.0%、「考課基準が不明確又は統

    一が難しい」45.7%「考課の寛大化のため格差がつかない」36.0%

    (第9図付属統計表第14表)。	



 (7) 人事考課制度の運営を最近3年以内に見直し・改定を行った企業は、人

    事考課制度のある企業の26.7%、5,000人以上では53.5%(第10図)。見直し・

    改定事項は、「業績考課の重視」が最も高く65.8%(5,000人以上73.1%)、

    次いで「目標管理制度の導入・充実」46.0%(5,000人以上68.4%)、「考課

    者への訓練の導入・強化」24.9%(5,000人以上43.5%)、「考課基準等の公

    開」24.6%(5,000人以上30.1%)(第11図付属統計表第16表)。





3 人事政策 

	

 (1) 人事管理諸制度の導入状況は、「自己申告制度」14.0%、「複線型人事

    管理制度」9.7%、「限定勤務地制度」6.9%、「社内人材公募制度」3.2%、

    5,000人以上規模では「自己申告制度」77.5%、「複線型人事管理制度」53.4

    %、「社内人材公募制度」43.3%、「限定勤務地制度」30.4%

    (付属統計表第17表)。



 (2) 人事管理上の問題点は、「中高年現業職員の配置及び処遇」が35.2%と

    最も多く、次いで「若年社員の帰属意識・モラールの変化」28.2%など。

    5,000人以上規模では「中高年ホワイトカラーの配置及び処遇」が68.8%と最

    も多く、次いで「中高年現業職員の配置及び処遇」36.7%

    (第12図付属統計表第18表)。	





4  定年制の実施状況・定年後の措置



 (1) 一律定年制における定年年齢の状況

     一律定年制を定めている企業における定年年齢の状況をみると、60歳とす

    る企業が91.2%(前年86.7%)、65歳とする企業が6.2%(前年5.1%)

    (付属統計表第20表)。	



 (2) 勤務延長制度又は再雇用制度がある企業は、一律定年制を定めている企

    業の67.8%(第14図付属統計表第21表)。最高雇用年齢を定めている企業

    においては、最高雇用年齢を65歳とする企業が最も多い(付属統計表第22表)。



(注) 主な用語の説明
職    種  「事務職」とは、管理、経理、営業、人事福利厚生等の部門で事務的業務に従事する者をいう。
 「技術・研究職」とは、技術者、デザイナー等専門的・技術的職業及び研究に従事する者をいう。
 「現業職」とは生産作業者、販売従事者(販売店員、外交員等)、運輸・通信従事者、保安職業従 事者及びサービス業従事者をいう。
人事考課関係   「人事考課制度」とは、人事考課表を用いている場合をいう。なお、考課表を用いていないが、それに準じた形で慣行として行っている場合も含めている。
 「人事考課の公開制度」とは、考課基準、考課結果などを本人に明示する制度をいう。
 「目標管理制度」とは、労働者各人に職務について具体的な目標を設定させ、その達成度合いを評価する制度をいう。
 「多面評価制度」とは、直属の上司・同僚・部下・他部門の者などにより多面的に評価する制度をいう。
 「自己評価制度」とは、労働者自身が自己の業績・能力を評価する制度をいう。
人事管理諸制度関係  「複線型人事管理制度」とは、複数の職掌(総合職、一般職など)を設定し、人事管理を分けて行う制度をいう。
 「限定勤務地制度」とは、一定の地域内の事業所だけに勤務することを前提として雇用する制度をいう。
 「転勤一時免除制度」とは、特定の事項(子供の教育・家族の病気)などにより転勤が困難な者について、一定期間転勤免除を認める制度をいう。
 「役職任期制度」とは、役職ごとにあらかじめ一定年数の任期を決めて役職に任命する制度をいう。
 「自己申告制度」とは、労働者各人の能力開発・人事異動等に関する希望を会社に申告させる制度をいう。
 「社内人材公募制度」とは、ある特定のプロジェクト・事業のための要員や一般に欠員が生じた場合の補充の募集源を社内の自由公募に求め、通常本人の上司を経由しないで応募することができる制度をいう。



   



III 調査結果



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