2021年5月の新着図書紹介

1.山田 寬久著『なぜ僕はここで働くのか』ダイヤモンド社

(2021年1月刊,231p,四六判)

著者は東京大学に半年入学したものの中退し、世界で通用する人材になるため、米ハーバード大へ入学。就職では新卒のエンジニアとして、米巨大テック5社GAFAMの1社、Googleで内定をもらう。しかし、最終的には斬新なビジネスモデルや製品を開発する力を持つ企業形態、スタートアップを選ぶ。業務管理ツールを扱う中堅スタートアップに出会ったからだ。なぜ大企業に入れたのに、中小を選んだのか。なぜ入社直後にもかかわらず、日本法人を任す企業に入ったのか。著者は、中小企業は間違いも犯すが、それは技術的におもしろい挑戦ができる証しだと評価。「フリーミアム」という新しいビジネスモデルを使った日本での事業展開にもひかれたようだ。

著者の会社もシリコンバレーに本社を置く。同社はよい製品を作るために必要なシンプルかつパワフル(多機能)な考えを重視。さらに業界標準(デファクトスタンダード)になることを目標にし、利用者からのフィードバックを届きやすくし、それをもとによりよい製品を作ることを目指しているのが魅力だと著者は解説する。

請求番号:289.1/naz
書誌番号:JB00114300
ISBN:9784478111536

2.八代 尚宏著『日本的雇用・セーフティーネットの規制改革』日本経済新聞出版

(2020年12月刊,215p,四六判)

一貫して雇用分野の規制改革を唱えてきた著者の最新刊。今回はこうした改革が対象とする労働市場と社会保障について、日本的雇用慣行や非正規社員問題、高齢者雇用、女性労働、全世代型社会保障の見直しを提言している。従来の日本の働き方で一般的だったメンバーシップ型については、過去の高い経済成長期には合理的であったものの、今後の少子高齢化社会ではジョブ型の働き方が適するケースが少なくないと指摘。そのうえで非正規社員問題を一掃するには、表裏一体の関係にある正規社員の働き方も変えなければならないと強調する。

高齢者雇用ではエイジフリー(年齢不問)を基本として目指す。女性労働に関しては、男性の育児休業促進が必要であり、そのための規制緩和が求められると説く。一方、社会保障改革では、「子ども保険」の設立で保育の福祉からサービスへの転換が不可欠だと主張。日本でも最近注目を集めている解雇の金銭解決も取り上げ、十分な補償金なしに解雇されている中小企業労働者にとって大きな利益をもたらす政策であると展望している。

請求番号:366.11/nih
書誌番号:JB00114304
ISBN:9784532358730

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2021年2月~3月の労働図書館受け入れ図書

  1. 角田 陽一郎著『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか?』アスコム(251頁,四六判)
  2. 原マサヒコ著『トヨタの非常識な仕事のルール』三笠書房(262頁,文庫判)
  3. 露木 利行ほか著『人事労務担当者の勘違いあるあるQ&A』第一法規(x+272頁,A5判)
  4. 片桐 あい著『テレワークで部下を育てる』青春出版社(190頁,A5判)
  5. 榎本 あつし著『評価をしない評価制度』アニモ出版(221頁,A5判)
  6. 出口 治明ほか著『あなたの会社、その働き方は幸せですか?』祥伝社(270頁,四六判)
  7. 永野 仁著『日本の高齢者就業』中央経済社(ii+v+245頁,A5判)
  8. 和田 耕太郎ほか著『経営×ファイナンス:ポストコロナのキャリア戦略』ロギカ書房(20+199頁,四六判)
  9. 野原 蓉子監修『ハラスメント大全』青春出版社(217頁,四六判)
  10. 大内 伸哉ほか共著『同一労働同一賃金最高裁5判決と企業対応』日本法令(103頁,B5判)