2015年9月の図書紹介(2015年8月受け入れ図書)

1.麓幸子他編『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』日経BP社(271頁,四六判)

 「意志決定層に占める女性や女性管理職の割合を増やすにはどうしたらよいか」。本書は、2014年の「日経WOMAN 女性が活躍する会社ベスト100」にランキングされた企業のうち、資生堂や住友生命保険、日本IBMなど先進企業20社の女性管理職・経営人材育成の戦略と施策を考察。仕事と育児の両立支援策は、就業継続には効果的だが、女性管理職を増やす効果は限定的だと分析。女性管理職を増やすために組織が実行すべきなのは、①トップがコミットメント(決意)する②育成計画に数値目標を持つ③女性に成長機会を与えられる上司を増やす④女性のキャリア意識を高めるよう、取り組む⑤組織全体の生産性を上げる働き方改革を実行する、ことだという。

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請求記号:336.4/naz

書誌番号:JB00105225

ISBN:9784822278922

2.西村淳編著『雇用の変容と公的年金』東洋経済新報社(xix+272頁,A5判)

 不安のない老後を送るためには、持続的で信頼できる公的年金制度の確立が欠かせない。本書は、公的年金と一体的な関係にある雇用が、比較的不安定で賃金の安い非正規労働者や共働き世帯、母子家庭の増加などで大きく変化しているなか、①雇用政策および年金制度改革の影響評価、高齢者の所得格差と低所得問題、などの実証研究、②英国、ドイツ、韓国との比較研究、③マルチジョブホルダーや第3号被保険者制度、所得保障の権利の規範的基礎としての雇用、などの課題別研究、で構成。年金制度の側から雇用や経済の活性化にいかに寄与できるかを検討、雇用の不安定化に対応した年金制度の構築が今後の課題と主張。法学研究者と経済学者とのコラボ研究である。

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請求記号:364.6/koy

書誌番号:JB00105214

ISBN:9784492701416

3.八代尚宏著『日本的雇用慣行を打ち破れ』日本経済新聞出版社(310頁,四六判)

 経済のグローバル化が進むなか、労働市場改革は先進国共通の課題。だが、日本では戦後の経済成長に大きく貢献した「三種の神器」に固執し、それを守ろうとする動きが根強いと、著者は強調する。無限定で働くという仕組みは、成長の減速と少子高齢化が進展する現在、多くの労働者にとってリスクの高い働き方になっている、と指摘。効率的で公平な労働市場を妨げる、性別、年齢、企業規模、外国人などの障壁を透明性、均等処遇、多様性のある働き方などの観点とともに、「労・労対立」の視点からも考え、合理的な解決方法を探るのが本書の目的。緩和よりも正しいルールの解雇規制、派遣労働者の保護、同一労働・同一賃金、外国人雇用法の制定などを提案している。

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請求記号:366.21/nih

書誌番号:JB00105227

ISBN:9784532356323

4.筒井淳也著『仕事と家族』中央公論新社(v+209頁,新書判)

 男性中心の労働環境のため、女性が活躍しづらく、深刻な少子化に直面している日本。著者は「日本の仕事と家族のあり方は限界に達している」と強調する。一方で、「大きな政府」のスウェーデンと「小さな政府」を代表する米国は正反対な国と思われるが、実際には働く女性が多く、出生率も高いという共通点を持つと指摘。「共働き」というライフスタイルがそれを支えていると考察。日本では、夫が外で働いて給料を稼ぎ、妻は家庭を守るという伝統的な考え方が、出生率の低下をもたらした主因だと分析。日本が目指すべきは、共働き社会の実現による労働力と出生力の維持・拡大だと主張。国際比較と歴史的把握という空間的・時間的な視点からの追究に基づいた一冊。

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請求記号:366.7/shi

書誌番号:JB00105390

ISBN:9784121023223

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2015年6月-2015年7月に労働図書館受け入れ

  1. 野崎泰伸著『「共倒れ」社会を超えて』筑摩書房(229頁,四六判)
  2. 江上剛著『ビジネスマンのための「幸福論」』祥伝社(219頁,新書判)
  3. 竹村之宏著『リーダーシップと突破力』日本生産性本部生産性労働情報センター(219頁,四六判)
  4. 佐々木信夫著『人口減少時代の地方創生論』PHP研究所(253頁,A5判)
  5. 中西優美子著『EU権限の判例研究』信山社(xxii+574頁,A5判)
  6. 野口悠紀雄著『1500万人の働き手が消える2040年問題』ダイヤモンド社(293頁,四六判)
  7. 奥田聡他著『膨張する中国と世界』亜細亜大学アジア研究所(227頁,四六判)
  8. 中原圭介著『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』朝日新聞出版(268頁,四六判)
  9. 仮谷美香著『ブラック企業は誰がつくる?』保険毎日新聞(274頁,四六判)
  10. 下川裕治編『本社はわかってくれない:東南アジア駐在員はつらいよ』講談社(198頁,四六判)
  11. 東京都社会保険労務士会編『ダイバーシティマネジメントの実践』労働新聞社(232頁,A5判)
  12. グロービス経営大学院著『「変革型人事」入門』労務行政(286頁,A5判)
  13. 高崎経済大学産業研究所編『デフレーションの経済と歴史』日本経済評論社(viii+245頁,A5判)
  14. テツオ・ナジタ著『相互扶助の経済』みすず書房(xi+336+xlvp頁,A5判)
  15. 国際労働機関(ILO)著『仕事を伴う開発』一灯舎(xii+233頁,B5判)
  16. 伊原亮司著『私たちはどのように働かされるのか』こぶし書房(241+vipp頁,四六判)
  17. 東京弁護士会労働法制特別委員会編著『27のケースから学ぶ労働事件解決の実務』日本法令(417頁,A5判)
  18. 山川隆一他著『ローヤリング労働事件』労働開発研究会(xiv+305頁,A5判)
  19. 鵜飼良昭他編『労働者の権利』旬報社(589頁,A5判)
  20. 小山博孝著『私たちのしごと:障害者雇用の現場から』岩波書店(x+212頁,四六判)
  21. 高橋恭介著『会社選びの新基準』学研マーケティング(182頁,A5判)
  22. 君和田伸仁著『労働組合の結成・運営』中央経済社(4+13+203頁,A5判)
  23. マーガレット・T.ホッジェン著『英国労働者教育史』大学教育出版(ix+319頁,A5判)
  24. 労働法令協会編『改正パートタイム労働法の詳解』労働法令(161頁,A5判)
  25. マーティン・ジョセフ著『入門企業社会学』ミネルヴァ書房(xv+327頁,A5判)
  26. 柯隆編著『日経自動車メーカーの中国戦略』東洋経済新報社(ix+173頁,A5判)