2015年7月の図書紹介(2015年6月受け入れ図書)

1.安藤至大著『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』筑摩書房(214頁,新書判)

 本書では、労働経済学の見地から、働くことにまつわる基本的な疑問を解き明かしている。著者は、私たちの働き方の現状と問題点、今後の変化の方向とそれへの対応について、法律と経済学という二つの視点から探求。例えば、「非正規雇用がなぜ増えたのか」「長時間労働はなぜ生じるのか」「どうすればブラック企業を減らせるのか」といった疑問に具体的な事例を交えて解説する。働き方の未来としては、「妻や夫が専業主婦(夫)をしているのは、とてもぜいたくなことになる」「労働力不足への対処として、外国人労働者や移民の受け入れが真剣に議論される」「ホワイトカラー労働者に対しては、より頻度の高い健康状態のチェックが義務づけられる」などと予言。

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請求記号:366/kor

書誌番号:JB00105036

ISBN:9784480068231

2.大沢真知子著『女性はなぜ活躍できないのか』東洋経済新報社(vi+301頁,四六判)

 「高学歴女性はなぜ仕事を辞めるのか」「女性管理職はなぜ少ないのか」。本書は、日本企業で女性人材が育たない原因を明らかにするとともに、女性の活躍を推進してきた企業へのインタビューに基づき、その取り組みを紹介。女性の意識の多様化、個人差の拡大の下で、人材の育成・活用を実現するため、ポジティブ・アクションの導入や間接差別の禁止などの女性差別的雇用慣行の見直しとワーク・ライフ・バランス支援、同一労働・同一賃金、セカンド・チャンスのある社会などの処方箋を提示。男女雇用機会均等法が施行されてから現在までに、日本の女性労働がどのように変化したかを多角的な視点から考察している。エピローグに、桐野夏生氏へのインタビューも掲載。

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請求記号:366.38/jos

書誌番号:JB00105042

ISBN:9784492223536

3.中谷文美著『オランダ流ワーク・ライフ・バランス』世界思想社(iii+248頁,四六判)

 「パートタイム経済」の先進国、オランダがいかにワーク・ライフ・バランスを実践してきたかを紹介。オランダもかつては既婚女性の圧倒的多数が専業主婦であったが、1980年代の新たな労働政策や年金改革で方針を転換。いまや女性の就業率は7割弱でEU平均を大きく上回る。働く理由は家計補助が多いが、6割強がパートタイム勤務。世帯単位で多いのは「1.5稼ぎ」と言われるフルタイム(夫)とパートタイム(妻)のパターン。また、「フル」と「パート」の間の切り替えが行えるのもオランダのパート労働を考えるうえで重要と強調。オランダ滞在都合9カ月の経験とインタビューに基づき、やりがいのある仕事と母親であることを優先する生活の両立を描出する。

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請求記号:366.7/ora

書誌番号:JB00105030

ISBN:9784790716464

4.上林千恵子著『外国人労働者受け入れと日本社会』東京大学出版会(xiv+278頁,A5判)

 外国人労働者受け入れ論議が再燃し、技能実習制度や家事支援などの受け入れ拡大策が政策課題となっている。本書の目的は、このような様々な議論を呼び起こしている、主に低熟練外国人労働者問題に対して、議論の材料を提供すること。本書には、著者の四半世紀に及ぶ、外国人技能実習制度を中心とした外国人労働者受け入れに関わる論文がまとめられており、主として面接調査という手法を用いて、その実態と問題点が提起されている。世界的な人の移動の増大が今後も見込まれるなか、日本でも単純外国人労働者の受け入れは不可避になっているが、技能実習制度を単純労働者受け入れ制度の代替物として取り扱うことのリスクを考慮する必要があると著者は主張している。

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請求記号:366.89/gai

書誌番号:JB00104918

ISBN:9784130501866

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2015年4月-2015年5月に労働図書館受け入れ

  1. 奥田浩美著『会社を辞めないという選択』日経BP社(196頁,四六判)
  2. 田辺明生他編『多様性社会の挑戦』法政大学出版局(xii+368+9+2頁,A5判)
  3. 時事通信社編『全論点 人口急減と自治体消滅』時事通信出版局(xiii+372頁,A5判)
  4. 田尾雅夫著『公共マネジメント』有斐閣(x+270頁,A5判)
  5. 高橋重郷他編著『人口減少と少子化対策』原書房(viii+282頁,A5判)
  6. 小池和男著『なぜ日本企業は強みを捨てるのか』日本経済新聞出版社(ii+279頁,A5判)
  7. 牟田太陽著『「後継者」という生き方』プレジデント社(255頁,A5判)
  8. 野中郁次郎他著『全員経営』日本経済新聞出版社(303頁,A5判)
  9. 石嵜信憲他編著『非正規社員の法律実務』中央経済社(19+41+988頁,A5判)
  10. 竹内貞雄他編著『共生の現代的探究』晃洋書房(ix+197+5頁,A5判)
  11. ロバート・B.ライシュ著『ロバート・ライシュ 格差と民主主義』東洋経済新報社(219頁,A5判)
  12. ジー・チェン著『中国の中間層と民主主義』NTT出版(xiv+258+27頁,A5判)
  13. マイケル・ヒル他著『イギリス社会政策講義』ミネルヴァ書房(xiii+372頁,A5判)
  14. 安西愈著『そこが知りたい!労災裁判例にみる労働者の過失相殺』労働調査会(501頁,A5判)
  15. 市野川容孝他編著『労働と思想』堀之内出版(509頁,四六判)
  16. 熊沢誠著『私の労働研究』堀之内出版(284頁,A5判)
  17. 岡山茂著『格差時代の労働法制改革への提言』労務行政(241頁,四六判)
  18. 第二東京弁護士会労働問題検討委員会編『労働事件ハンドブック』第二東京弁護士会(411頁,B5判)
  19. 和田肇他著『労働法』日本評論社(xiii+257頁,A5判)
  20. 菅野和夫他編『集団的労使関係・紛争解決手続』第一法規(13+303頁,A5判)
  21. 東京弁護士会労働法制特別委員会編著『労働事件における慰謝料』産労総合研究所出版部経営書院(xxix+456頁,A5判)
  22. 白木朋子著『子どもたちにしあわせを運ぶチョコレート。』合同出版(143頁,A5判)
  23. リチャード・A.ポズナー著『加齢現象と高齢者』木鐸社(500頁,A5判)
  24. 高橋和幸他編著『大学教育とキャリア教育』五絃舎(131頁,A5判)
  25. 加賀博著『社会人基礎力』日本生産性本部生産性労働情報センター(185頁,A5判)
  26. 野村陽子著『看護制度と政策』法政大学出版局(vi+360頁,A5判)