2015年5月の図書紹介(2015年4月受け入れ図書)

1.川島正樹著『アファーマティヴ・アクションの行方』名古屋大学出版会(v+198+34頁,A5判)

 「人種」問題を抱え続ける米国が、積極的差別是正措置(アファーマティヴ・アクション、AA)によってその克服に努めてきた歴史的な歩みを、できる限り平易に説明するのが本書の目的。筆者は、半世紀近くの厳格な法による差別禁止と、40年にわたる「優遇措置」の実施を経たにもかかわらず、依然として賃金や学歴などに人種間格差があることを「自己責任」の結果と片づけてよいのか、と主張。州レベルでAAを廃止する動きが拡大しつつあるが、人種間の格差是正のためには、廃止ではなく、改善すべきだと訴える。公正さを追求してきた米国史におけるAAの歴史的経緯と背景を確認し、未来社会を模索する現代アメリカの努力の下でのAAの行方を展望する。

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請求記号:316.853/afa

書誌番号:JB00104772

ISBN:9784815807917

2.古川久敬著『「壁」と「溝」を越えるコミュニケーション』ナカニシヤ出版(vi+208頁,四六判)

 従来の前提や発想が通用せず、多くの組織で、創造性と革新性が推奨され、創造的アイデアが盛り込まれた企画案が誕生している。しかし、その企画案を実現すべく動き始めたとたん、上司や部下、他部門など関係者の理解、協力が得られず、事態は暗礁に。管理者やリーダーが出合う、こうした組織の元凶が「壁」であり「溝」であると指摘する。本書では、組織内の壁や溝を乗り越えるために必要なコミュニケーションの効果的な方略を紹介。関係者といたずらに対峙するのではなく、「共に見るもの」を用意することの意義と効果について解くとともに、個人内部の壁の越え方としての役割の再定義、共に見ることと役割再定義の貴重な機会である目標設定面談の重要性を説く。

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請求記号:336.3/kab

書誌番号:JB00104781

ISBN:9784779508912

3.佐藤博樹他著『介護離職から社員を守る』労働調査会(193頁,四六判)

 社員の仕事と介護の両立支援について、企業の関心が高まりつつある。仕事と介護の両立に不安を感じている社員が多いことが背景にある。著者は、「育児と仕事の両立」と同様の支援で「介護と仕事の両立」問題が解決すると誤解しているケースもあると指摘。社員が仕事と介護の両立に困難を感じると、仕事への意欲を失い、最悪の場合は優秀な人材の流出もあり得る。本書は、社員の仕事と介護の両立支援に企業として取り組むことの必要性、支援の基本的な考え方、情報提供などの両立支援の方法を、データや事例に基づいて紹介。柔軟な働き方の実現に加え、介護支援制度などの利用、役割分担や評価のあり方などの人材マネジメントにより、介護離職防止策を提案する。

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請求記号:336.4/kai

書誌番号:JB00104698

ISBN:9784863193758

4.石田淳著『相対的剥奪の社会学』東京大学出版会(v+210頁,A5判)

 他人と自分の境遇を比較したときに感じる欠乏感や不満を表わす「相対的剥奪」は、社会学的概念・理論であるが、体系的な理論的枠組みは得られていない。本書は、経済的不平等指数との関連から相対的剥奪をモデル化・指数化したシュロモ・イツハキの研究を応用し、ミクロ(個人)とマクロ(集団)、主観と客観の両面、そして数理モデルを用いた理論と経験的データの分析による計量の両面から、「相対的剥奪の社会学」を展開することを目指している。機会不平等と相対的剥奪の関連を、理論と実証の両面から解明することが目的である。相対的剥奪指数の導入、相対的剥奪の歴史社会学、相対的剥奪の計量社会学の3部で構成。科学研究費補助金研究の成果の一部である。

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請求記号:361.8/sot

書誌番号:JB00104788

ISBN:9784130561082

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2015年2月-2015年3月に労働図書館受け入れ

  1. 大村敦志著『家族と法』左右社(205頁,四六判)
  2. 近畿弁護士会連合会編『生活保護と扶養義務』民事法研究会(x+133頁,A5判)
  3. トマ・ピケティ著『21世紀の資本』みすず書房(xv+608+98頁,A5判)
  4. 野田稔著『当たり前の経営』ダイヤモンド社(224頁,A5判)
  5. 花崎正晴著『コーポレート・ガバナンス』岩波書店(xi+180+4頁,新書判)
  6. 野地秩嘉著『アジアで働く いまはその時だ』日経BP社(247頁,四六判)
  7. 下井隆史他編『企業のための労働契約の法律相談』青林書院(xxiv+707頁,A5判)
  8. 岡崎隆彦著『労働判例に学ぶ予防的労務管理』産労総合研究所出版部経営書院(409頁,A5判)
  9. 岩崎仁弥著『よくわかる「多様な正社員制度」と就業規則見直しのポイント』日本法令(339頁,A5判)
  10. 川村遼平他著『ブラック企業と奨学金問題』ゆいぽおと(111頁,A5判)
  11. 朝日新聞「働く人の法律相談」弁護士チーム著『会社で起きている事の7割は法律違反』朝日新聞出版(259頁,新書判)
  12. 萬井隆令著『人間らしく働き生きる』学習の友社(167頁,A5判)
  13. 山田省三他著『よくわかる!労働判例ポイント解説集』労働開発研究会(143頁,B5判)
  14. 中野雅至著『ニッポンの規制と雇用』光文社(267頁,新書判)
  15. AERA編集部編『ぼくらは働く、未来をつくる。』朝日新聞出版(195頁,四六判)
  16. 加藤容子他著『わたしのキャリア・デザイン』ナカニシヤ出版(ix+200頁,A5判)
  17. 宝島社著『日本人の給料大辞典』宝島社(143頁,A4判)
  18. 二宮誠著『労働組合のレシピ』メディア・ミル(249頁,四六判)
  19. 林美佐子著『顔をあげて。そばにおるで。』メタモル出版(159頁,四六判)
  20. 松下美希著『生活“過”保護クライシス』文芸社(114頁,四六判)
  21. 清水隆彦著『キャリア教育で変える学校経営論』実業之日本社(170頁,A4判)
  22. 藤田晃之著『キャリア教育基礎論』実業之日本社(299頁,A5判)
  23. 川村雅則他著『ブラック企業に負けない!』きょういくネット(174頁,B5判)
  24. 小島京美著『キャリア教育で「人間力」が伸びる』東方通信社(208頁,四六判)
  25. 難波功士著『「就活」の社会史』祥伝社(396頁,新書判)
  26. 藤田昭夫他著『日本鉄鋼業の光と影』勁草書房(vii+232頁,A5判)