2015年1月の図書紹介(2014年12月受け入れ図書)

1.リンダ・グラットン著『未来企業』プレジデント社(323頁,四六判)

 前著で働き方の未来像を提示した著者が、今回は企業を構成する経営者や従業員に対して、未来の世界でどのような活動を、どのような方法で取り組むべきかを指南。不確実性を増す世界で最も重要な能力は「レジリエンス」(復元力)と強調。企業のレジリエンスでは、①職場環境②地域社会③グローバル社会の「三つの領域」を示し、取り組みを行っている企業の事例を日本も含め世界中から紹介、成長や利益のみでなく今後のあるべき姿をいかに描くべきかを問うている。さらに各企業の経営者も「果たすべき役割」「伸ばすべきスキルや能力」などが変わってくるとし、リーダーシップを再定義。著者は、未来の企業のあり方についての議論が深まることを望んでいる。

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請求記号:336/mir

書誌番号:JB00104461

ISBN:9784833420938

2.今野浩一郎著『高齢社員の人事管理』中央経済社(iv+VIII+195頁,A5判)

 急速な高齢化が進む日本。少子化が同時進行するため、今後の経済社会では、否が応でも高齢者の活躍が期待される。本書は、こうした環境下でも高齢社員を戦力化して経営力の向上につなげられ、高齢社員が能力を十分発揮できる人事管理モデルを提示。高齢社員は、多様な社員の1タイプだと位置づけ、その処遇は、60歳定年までは正社員、それ以降に再雇用された社員は非正社員として雇用する「1国2制度型」ではなく、「新しい人事管理」で行う必要があると主張。高齢社員の成果を正しく評価し、賃金などに適正に反映することを提唱している。著者の長年にわたる人事管理研究の活用し、具体的な制度・施策に結びつけるための考え方、視点、進むべき方向を示す。

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請求記号:336.42/kor

書誌番号:JB00104447

ISBN:9784502111211

3.渡辺深著『転職の社会学』ミネルヴァ書房(xvii+313頁,A5判)

 本書は、日米の労働市場におけるジョブ・マッチング過程について、米国の経済社会学者、グラノヴェター教授が提唱する分析枠組み(「埋め込み」アプローチ)に基づいて行った、1985年~2002年の17年間にわたる6本の調査の結果である。東京とロサンゼルスの日米の労働者の共通点と相違点から、日本の労働者の転職行動の変化と特徴を明らかにした。分析の結果明らかになった変化は、日本のジョブ・マッチング過程で「人的つながり」の活用度が低下したことと、「強い紐帯」から「弱い紐帯」への変化。ソーシャル・ネットワークがジョブ・マッチングに与える影響を研究し続けた、日本の転職研究の第一人者の約20年にわたる地道な研究活動の集大成と言える。

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請求記号:366.29/ten

書誌番号:JB00104458

ISBN:9784623070732

4.中野円佳著『「育休世代」のジレンマ』光文社(349頁,新書判)

 出産後も就労継続を望み、男性と同等の仕事に就くことを目指した総合職女性15名への綿密なインタビューを基に、なぜこうした女性たちの多くがその後職場をやめてしまうのかを探った。本書では、もともと大半の女性が「やりたいこと」や「やりがい」重視で仕事を選んでいたと指摘。出産後こうした仕事に就いていても、「そこまでしてやる仕事ではない」ものに変えられてしまうことが多いという。管理職女性は、ほとんど独身かDINKSといったつぶやきも。本書は、産休や育休、育児支援制度が整った2003~08年に総合職として入社した「育休世代」の勝ち組女性の生きづらさを分析、その社会構造を明らかにしようとしている。修士論文を一般向けに加筆修正。

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請求記号:366.38/iku

書誌番号:JB00104524

ISBN:9784334038168

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2014年10月-2014年11月に労働図書館受け入れ

  1. 養老孟司著『「自分」の壁』新潮社(222頁,新書判)
  2. 古市憲寿著『だから日本はズレている』新潮社(237頁,新書判)
  3. 石川公一著『自治体職員と説明責任』ぎょうせい(344頁,A5判)
  4. 連合総合生活開発研究所編『「好循環」への反転を目指して』連合総合生活開発研究所(145頁,A4判)
  5. 浜辺陽一郎著『経営力アップのための企業法務入門』東洋経済新報社(318頁,A5判)
  6. 伊吹英子著『CSR経営戦略』東洋経済新報社(318頁,A5判)
  7. 今井佑著『経営者支配とは何か』文眞堂(xv+349頁,A5判)
  8. 労務研究所編『福利厚生の今後をどう考えるか』労務研究所(74頁,AB判)
  9. 小幡道昭著『労働市場と景気循環』東京大学出版会(xiv+251+5頁,A5判)
  10. 社会保険広報社編『ねんきん便覧』社会保険広報社(64頁,B5判)
  11. 福間聡著『「格差の時代」の労働論』現代書館(245頁,A5判)
  12. 河野順一著『労使トラブル解決マニュアル』酒井書店(20+502頁,A5判)
  13. 浅井隆編著『最近の労働裁判例27』労働調査会(viii+251頁,A5判)
  14. 松田憲二著『介護施設の人材育成・仕事・賃金』産労総合研究所出版部経営書院(253頁,B5判)
  15. 連合総合生活開発研究所編『賃金のあり方に関する論点整理』連合総合生活開発研究所(63頁,B5判)
  16. いじめメンタルヘルス労働者支援センター著『“職場のいじめ”労働相談』緑風出版(261頁,四六判)
  17. 全国介護事業者協議会編『3・11を忘れない!』全国介護事業者協議会(106頁,A4判)
  18. 家計経済研究所編『女性と労働』家計経済研究所(140頁,A4判)
  19. 川喜多喬著『組織改革論集・労働組合編』新翠舎(305頁,A5判)
  20. 伊藤幹郎著『労働審判を使いこなそう!』エイデル研究所(253頁,A5判)
  21. 片山雅也他編『労働紛争解決のための民事訴訟法等の基礎知識』労働調査会(279頁,A5判)
  22. 上松司著『会社習慣病』マイナビ(207頁,新書判)
  23. 増田仁著『高度経済成長期における家事労働者形成過程の再検討』風間書房(iii+175頁,A5判)
  24. 島津明人著『ワーク・エンゲイジメント』労働調査会(157頁,A5判)
  25. 中内功記念館編『キャッシュレジスターの歴史』流通科学大学(48頁,A4判)
  26. 大泉一貫著『希望の日本農業論』NHK出版(237頁,四六判)