「AI・半導体」など17の戦略分野を選定。労働市場改革の裁量労働制では、現場実態・労使の立場をふまえた見直し検討を打ち出す
 ――政府が「日本成長戦略」を決定

スペシャルトピック

政府の「経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議」(ともに議長:高市早苗首相)が7月21日にまとめた「日本成長戦略」(同日に閣議決定)では、「AI・半導体」「デジタル・サイバーセキュリティ」など17の戦略分野を選定したうえで、8つの分野横断的課題の解決に向けた目標(KPI=Key Performance Indicator)と主要施策を提示している。分野横断的課題では、労働施策に関係するものとしては「人材育成」「労働市場改革」「賃上げ環境整備」が盛り込まれた。「労働市場改革」の主要施策では、リ・スキリング支援の強化や、労働時間法制の見直しなどが打ち出されており、裁量労働制については現場の実態や労使双方の立場を十分にふまえて見直しの検討を行うとしている。なお、同日の会議は、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針)もあわせてとりまとめ、閣議決定された。

経済成長に向けた戦略的投資などに向けた方策を議論

内閣が2025年11月に設置した「日本成長戦略本部」(本部長は内閣総理大臣)は、わが国の経済の成長に向け、リスクや社会課題に対して先手を打った官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを提供するため、その具体的な方策を検討する「日本成長戦略会議」(議長は内閣総理大臣)を同月に設置。

戦略会議では、①「危機管理投資」・「成長投資」による強い経済の実現②分野横断的課題への対応――の2点を検討課題の柱に据えて議論を進め、7回の会議を経て成長戦略をまとめた。

成長戦略は4部構成となっており、Ⅰ部で戦略についての基本的な考え方を整理し、「AI・半導体」「造船」など17の戦略分野を選定(図表1)。Ⅱ部では、17の戦略分野それぞれにおける対応方針を提示した。Ⅲ部では、17の戦略分野における分野横断的課題として、労働に関連する「人材育成」「労働市場改革」「賃上げ環境整備」を含む8項目をあげて、具体的な政策や目標(KPI)を提示(図表2)。最後にⅣ部で、予算編成の考え方などを整理した。

図表1:17の戦略分野
画像:図表1

(公表資料から編集部で作成)

図表2:8つの分野横断的課題
画像:図表2

(公表資料から編集部で作成)

成長戦略をとりまとめた7月21日の「経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議」で高市首相は、「『今の時代を生きる国民の皆様』への責任を果たすため、そして、『22世紀を迎えることができる多くの若者達』が『未来は明るい』と自信を持って言える日本を創り上げていくため、『強い経済』の構築と『財政の持続可能性』を一体的に実現していく。我が国の『潜在成長率』は、主要先進国と比べて低迷しているが、『日本人の底力』、すなわち『技術革新力』や『労働効率性』などを表す数値は他国と遜色なく、圧倒的に足りないのは『国内投資』だ。高市内閣では、『行き過ぎた緊縮志向』と『未来への投資不足』の流れを断ち切り、『国内投資』を徹底的にてこ入れする。『日本成長戦略』と『地域未来戦略』で『官民投資』を誘発し、『供給力』を強化し、『雇用と所得』を増やし、『消費マインド』を改善し、『事業収益』が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう、GDP(国内総生産)拡大の下での好循環を実現する」と述べた。

労働効率性は他国と遜色ないが、圧倒的に足りない国内投資

戦略の内容を具体的にみていくと、成長戦略は、日本の潜在成長率は主要先進国と比べて低迷しているものの、「技術革新力や労働の効率性などを表す数値は他国と遜色がなく、圧倒的に足りないのは国内投資である」と強調。「国内投資を起点として日本を再び成長軌道に乗せる必要がある」と述べた。

そのうえで、世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを開発し、国内外に提供することで日本の成長につながることが期待できるもの、またはイノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保につながるものとして、図表1にあげた「AI・半導体」「デジタル・サイバーセキュリティ」「情報通信」「量子」「防衛産業」「航空・宇宙」「海洋」「造船」「マテリアル(重要鉱物・部素材)」「合成生物学・バイオ」「創薬・先端医療」「資源・エネルギー安全保障・GX」「フュージョンエネルギー」「防災・国土強靭化」「港湾ロジスティクス」「フードテック」「コンテンツ」の17の戦略分野を選定した。

目指す成長の軌道は「危機管理投資」と「成長投資」

17の戦略分野を中心とした国内投資で日本が目指す成長の軌道を2つ提示した。1つめについて戦略は、「様々なリスクを最小化する『危機管理投資』。経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策、サイバーセキュリティなどの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え、先手を打って『危機管理投資』を行うことにより、自国の主張に他国を従わせようとする経済的威圧の動きが顕在化する中にあっても、日本の『自律性』を確保する。こうした様々なリスクや社会課題は世界共通であり、その解決に資する製品・サービス・インフラを強化し、国内外に提供することができれば、『不可欠性』の確保や日本の成長につながる」と説明。

2つめについては、「先端技術を花開かせる『成長投資』。これを戦略的に行うことにより、日本が優位性を有する技術をいかしたビジネス展開を促進する。誰にもまねのできない優れた科学技術、新たな付加価値を生み出すイノベーションは、『強い経済』の基盤であると同時に、日本の技術や製品が世界中から求められる、というような『不可欠性』の確保にもつながる」と説明した。

そして、この2つの成長の軌道を歩むにあたって「加速装置となるのが、AIトランスフォーメーション(AX)」などと強調した。

投資を行う際に欠かせない「資金」と「人材」

また、成長戦略は、17の戦略分野で先陣が切られる官民連携での国内投資を日本全国に広げ、日本経済のさらなる成長につなげていくため、「『官民投資ロードマップ』や『地域未来戦略』の策定過程で抽出された投資のボトルネックとなり得る課題に対し、分野横断的に対応し、国内投資促進の環境整備を図っていく必要がある」と指摘。

一方、「投資を実際に行うには、資金と人材が欠かせない」と指摘し、「17の戦略分野やそれを支えるエッセンシャルサービスの担い手を育成するとともに、働く方一人ひとりが生き生きと活躍できるよう、本人の希望に応じた労働移動の円滑化や、心身の健康維持と本人の選択を前提とした柔軟で多様な働き方を実現し、多様な人材の労働参加を促進していく。とりわけ、戦略分野等における女性活躍は重要であり、女性を含め多様な人材がライフイベントによりキャリアを諦めることのないよう、家事等の負担軽減にも取り組まなければならない」と提起した。

さらに、「国内投資を促進し、賃上げを通じて消費と企業収益の拡大、更なる投資拡大につなげる『投資と賃上げの好循環』を加速させるためにも、変化に挑む中堅・中小企業の稼ぐ力を強化していく必要がある」と指摘。地方や中小企業まで景気回復の実感はまだ広がっていないとしたうえで、「成長の果実が一部の高所得層や大企業、都市部に偏ることなく、中低所得者、中小企業、地方にまで広く行き渡るよう、国内投資を全国に拡げ、地域の産業・雇用・所得を底上げしなければならない」と強調した。

優先支援すべき製品・技術について「官民投資ロードマップ」を策定するとともに、課題を洗い出し

成長戦略は、17の成長戦略分野のなかで、「国内の経済安全保障等の様々なリスク低減の必要性、海外市場の獲得可能性、関係技術の革新性等の観点」から、官民投資を優先的に支援することが必要と考えられるものを、62の「主要な製品・技術等」として戦略的に特定し、それぞれ「官民投資ロードマップ」を策定した。

さらに、62の「主要な製品・技術等」ごとの「官民投資ロードマップ」を策定する過程で、国内投資促進のため解消する必要がある課題を洗い出し、図表2であげたとおり、「8つの分野横断的な課題」として、その解決策を検討した。

不確実で非連続な変化が起こり得る未来に対応できる人材の育成が必要

8つの分野横断的課題のなかで、労働施策に関係するものではまず、「人材育成」をあげている。

人口減少やAXが進展するなか、「不確実で非連続な変化が起こり得る未来に対応できる人材の育成が求められている」と指摘。特に、AX時代の産業構造の変化に伴い、2040年にかけて理工・デジタル系人材や現場人材の不足など人材需要の大きな変化が見込まれるなか、「文理が分断され理系が少ない現在の学びの構造のままでは、将来の人材需要とのミスマッチが生じる懸念がある」とした。

人材育成における目標として、実践的職業人材の育成について、大学・専門学校等におけるリ・スキリング人口を2030年までに1年あたり60万人にすると提起。そのほか、大学の工学系学部の女子学生数の割合を2040年までに36%とすることを目指すことや、博士課程入学者数・博士号取得者数を2030年度までにそれぞれ1年あたり2万人とすることなども目標に掲げた。

そのうえで、17の戦略分野など成長分野のニーズに対応した人材育成を推進するため、リ・スキリング支援などの取り組みを進めるとともに、社会人向け教育プログラムの開発や全学的な体制整備・収益化推進等に取り組む大学等への重点的な支援、社会人による奨学金の活用のさらなる向上に向けた検討、スキル・学習歴のデジタル化の基盤構築等に取り組むとしている。

労働市場改革で成長投資をけん引する専門人材などを育成・確保

分野横断的課題の「労働市場改革」では、対応の方向性として、〔処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性向上〕〔円滑な労働移動の促進〕〔多様な人材の労働参加の促進〕のいわゆる「三位一体の労働市場改革」に取り組むことで、成長投資をけん引する専門人材と、投資の実行を支える現場人材の育成・確保を図るとした。

具体的な目標としては、5年間で労働生産性を15%上昇させること、労働供給量の推移が生産年齢人口の推移を上回るようにすること、いわゆるフルタイム労働者の転職入職率を2029年までに9.0%とすること(2024年は8.3%)、転職により賃金が増加した人の割合を2029年までに42.3%とすること(2024年は40.5%)などを掲げた。

さらに、第一子出産前後の女性の継続就業率を2030年までに80.0%とすること(2021年は69.5%)や、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施率を2029年までに40.0%とすること(2025年は34.8%)も目標としている。

スキルの標準化・可視化からの一気通貫によりリ・スキリングを支援

こうした目標を達成するために、労働市場改革の1つめの〔処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性向上〕としては、17の戦略分野や、建設や医療・介護・障害福祉をはじめとした社会インフラ関連分野等の業所管省庁と厚生労働省、経済産業省、文部科学省が、業界団体や大学等と連携して、スキルの標準化・可視化から、教育訓練体系の整備、教育訓練プログラムの開発・提供まで、一気通貫でリ・スキリング支援を行うとした。

また、人材開発支援助成金も含め、効果的にプログラムの開発が進むような支援の充実について検討するとともに、各分野の所管大臣がプログラム認定制度を創設した場合、その適切性を所管省庁と厚生労働省が連携して精査したうえで、専門実践・特定一般教育訓練給付金の対象とすることを検討する。

各種リ・スキリング・職業関連情報サイトについて、厚生労働省をはじめ、経済産業省、文部科学省、デジタル庁等の関係省庁で連携し、最終的な一本化を目指し、早期に一体的な提供を実現すると提起している。職業能力開発を効果的に推進するため、教育訓練給付金の指定講座の効果把握や申請・審査プロセス等の合理化、実績・成果の検証をふまえた教育訓練給付金および人材開発支援助成金の見直しや支援の重点化について検討するとした。

スキル情報、スキルに紐づく教育訓練プログラムなどのデータの連携を強化

2つめの〔円滑な労働移動の促進〕としては、特に17の戦略分野等の成長分野への労働移動を円滑化するため、スキルの情報や、スキルに紐づいた教育訓練プログラム、職業情報といったデータ連携を強化する。

また、外部労働市場の機能を強化するため、厚生労働省が運営する総合的データプラットフォーム「みんなの労働ナビ」について、各支援制度の申請画面への遷移やAI機能装備等、利便性向上の具体策について検討し、2026年度内を目途に結論を得るとともに、経済産業省、デジタル庁を含む関係省庁における情報連携を推進するとした。あわせて、リ・スキリングの支援等を行う事業主が必要な支援策を活用しやすいよう、雇用関係助成金のDXを進める。

さらに、労働移動を希望する労働者のニーズをふまえ、失業中の生活保障など労働者の生活と雇用の安定といった制度の役割を維持したうえで、労働力がより希少になるなかでの雇用保険制度における対応のあり方について、「年内を目途に結論が得られるよう引き続き労働政策審議会において検討する」とした。

変形労働時間制は他律的要因に対応できていない現場の実態などに留意し検討

3つめの〔多様な人材の労働参加の促進〕では、労働時間法制等に関する政策対応について、「夏以降の労働政策審議会において議論を行う」とした。

裁量労働制については、「現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う」とした。また、変形労働時間制については、「他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める」としている。

そのほか、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置づけ、「つながらない権利」のあり方、副業・兼業にあたっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、「現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める」としている。

女性活躍では「企業の意識や行動を変えていくことが重要」

女性活躍の推進については、「戦略分野における女性活躍は総じて進んでいない状況」としたうえで、「『のびしろ』が大きい」と指摘。特定の産業分野や職種は男性のものであるという思い込み(アンコンシャス・バイアス)が女性の活躍を狭める要因ともなっているとしたうえで、「企業の意識や行動を変えていくことが重要」だとした。

そのため、戦略分野における女性活躍の重要性について、官民が明確に認識を共有するとともに、女性、女子学生等にメッセージを発信していくことが重要とした。また、意欲ある女性が能力を遺憾なく発揮できるエコシステムの構築に向けて、官民が連携して取り組みを強力に進める必要があるとした。

具体的な政策としては、戦略分野等への転換を希望する女性の人材育成・就業促進のため、各分野のニーズに対応したリ・スキリングを強化する。また、戦略分野ごとの特性・実情等に応じて、女性の若手研究者・技術者向けの研修会等の開催やネットワークづくりなど、人材育成、新規参入、長時間労働の是正をはじめとする就業継続等に資する取り組みの推進や、ロボットの開発や遠隔操作の導入、女性用トイレ・更衣室、事業所内託児所の整備など、体力・性別の壁を越えて活躍できる環境整備の取り組みを促進するとしている。

不確実性が続くなかで実質賃金のプラス定着が課題

分野横断的課題の「賃上げ環境整備」では、成長戦略は現状について、「春季労使交渉での賃上げ率は3年連続で5%台の高水準だが、物価高騰による不確実性が続く中、実質賃金のプラス定着が課題である」と指摘。そのうえで、中小企業は雇用の7割、付加価値の5割を占める日本経済の屋台骨であり、「中小企業の成長こそ日本の成長である。賃上げと成長投資の好循環を生み出すことで地域の消費を喚起し、そして次の投資へとつながるメカニズムを早急に構築する必要がある」と強調した。

具体的な目標としては、2029年度までの間で、日本経済全体で、実質賃金で年1%程度の上昇、すなわち、持続的・安定的な物価上昇の下で、物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルム(社会通念)として定着させるとした。また、中小企業の労働生産性を2030年度までの5年間で15%増加させることも掲げた。

価格転嫁・取引適正化の「更なる徹底」を図る

こうした目標達成に向けた施策としては、まず、「価格転嫁・取引適正化の更なる徹底」をあげた。2026年1月から施行された取適法・振興法を着実に執行するため、「公正取引委員会・中小企業庁・事業所管省庁の連携や取引Gメンの拡充等を通じた執行体制強化と、現場への浸透に向けた一層の周知徹底を行い、あわせて、地方組織を含めた公正取引委員会の体制面の抜本的な強化を図る」とした。また、取適法対象外の取引への規制強化に向けて、独占禁止法上の告示、知的財産権等の適切な取引に関する指針等の周知・遵守徹底を図るとしている。

「賃上げの促進」に向けては、中小企業の生産性向上に関する補助金について、足元の賃上げ状況も審査・評価する仕組みに見直すことで、早期の賃上げを促すとともに、積極的に賃上げを行う中小企業を重点支援するための税制も含めた効果的な措置を検討する。

同一労働同一賃金のさらなる徹底も掲げている。正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消等を図るため、新たに家族手当、住宅手当等に関する考え方を明確化する改正を行った「同一労働同一賃金ガイドライン」を今年10月から適用し、都道府県労働局による報告徴収等を通じ、現場における同一労働同一賃金の履行確保に取り組む。

最低賃金の引き上げへの対応にも言及。昨年度の骨太の方針で掲げた2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、「官民でたゆまぬ努力を継続し、労働生産性の継続的な向上を図ることで、遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」とした。

また、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるなど、地域間格差の是正を図るとした。

経団連は「高く評価したい」との筒井義信会長のコメントを発表

経団連は7月21日、「日本成長戦略」と同日に閣議決定された「骨太方針2026」に関する筒井義信会長のコメントを発表。コメントは、「骨太方針2026」と「日本成長戦略」について「これまでの投資不足の流れを断ち切り、潜在成長率を高めるとの方針は、経団連が掲げる『投資牽引型経済』と軌を一にするものであり、高く評価したい」と表明した。

連合は「長時間労働を助長しかねない裁量労働制の拡充などは行うべきではない」とあらためて強調

一方、労働界の反応をみると、連合は、閣議決定の同日に神保政史事務局長の談話を発表。談話は「労働市場改革」における労働時間法制について、「『夏以降の労働政策審議会において議論を行う』とされたが、長時間労働を助長しかねない裁量労働制の拡充などは行うべきではない」とした。そのうえで、必要なのは長時間労働の是正と生産性向上を両輪で進める真の「働き方改革」であるとして、「勤務間インターバルの義務化や連続勤務制限規制の導入など、その土台となる労働時間規制こそ実現させるべき」と強調した。

一方、「物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルムとして我が国に定着させる」ことを賃上げ環境整備の目標として堅持したことは「評価できる」とした。そのうえで、実質賃金を安定的にプラスにしていくには「中小企業や労働組合のない企業への賃上げの波及が不可欠」と主張。道半ばである価格転嫁・取引適正化に向けた取り組みを徹底し、中小企業等支援を推進すべきとした。

最低賃金については、政府目標が毎年のように変更されるようでは中期目標として不安定であるため、「合理的な目標設定のあり方を検討すべき」とした。

「最低賃金を1,700円以上へ直ちに引き上げる」べきだと全労連

全労連も同日、黒澤幸一事務局長(談話発表時)の談話を発表。最低賃金の目標が今回の成長戦略で「2030年代前半できる限り早期に全国平均1500円を達成する」となったことに触れたうえで、「とどまることを知らない物価高騰の下で労働者の生活は悪化する一方であることに加え、非正規雇用労働者を中心に最低賃金近傍で働かざるを得ない労働者が増加していることをふまえるなら、最低賃金を1,700円以上へ直ちに引き上げるとともに2,000円をめざすこと、全国一律最賃制を確立することを強く求める」と主張した。

(調査部)

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