ガイドラインを拡充し、「退職手当」などを追加。待遇差の説明を求めることができることも明確化
 ――厚生労働省・労働政策審議会の同一労働同一賃金部会が報告をとりまとめ

スペシャルトピック

正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止する、いわゆる同一労働同一賃金に関する規定である「同一労働同一賃金ガイドライン」の施行から5年が経過したことを受け、見直しの必要性や見直す場合の具体的な内容などを議論していた厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会(部会長:小畑史子・京都大学大学院人間・環境学研究科教授)は昨年12月25日、「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組の強化について」と題する報告をとりまとめた。報告は、同一労働同一賃金ガイドラインについて、働き方改革関連法施行後の雇用労働者の正規・非正規間の不合理な待遇差に関する裁判例などをふまえ、「更なる明確化を図ることが適当である」と提言し、項目に「退職手当」や「家族手当」などの原則的な考え方を追加。また、雇い入れ時に待遇差の内容や理由について事業主に説明を求めることができることをガイドラインに追加することも明記した。

<同一労働同一賃金の規定の見直しの背景>

働き方改革関連法によって各規定が整備

同一労働同一賃金についての規定は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の是正を図ること等を目的とした働き方改革関連法の柱の1つとして措置されたもの。同法により、「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」のなかで、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の実効ある是正を図るため、不合理な待遇差の禁止、非正規雇用労働者に対する待遇に関する説明義務の強化、行政による履行確保措置、裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の各規定が整備されることとなった。

また、短時間・有期雇用労働者や派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関して企業が講ずべき措置をまとめた指針である「同一労働同一賃金ガイドライン」が策定され、2020年4月1日から施行されることとなった(中小企業へは2021年4月1日から適用された)。

2020年4月1日の施行から5年が経過

働き方改革関連法の附則では、法施行後5年を目途に「改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」としており、厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会が2025年2月から附則にしたがって検討を開始。正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差に関する法施行後の5年間における最高裁判決もふまえながら議論を進めた。14回の議論を経て、結論に至った。

報告は、働き方改革関連法の「施行から5年が経過し、非正規雇用労働者の待遇改善の取組は着実に進められてきた」とする一方、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間には依然として賃金格差がある」とも指摘。「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組の強化更なる取組が求められる状況にある」として、ガイドラインなどの見直しを求めている。

<均等・均衡待遇>

ガイドラインをさらに明確化することが適当

報告は、必要な対応の具体的な内容について、①均等・均衡待遇②労働者に対する待遇に関する説明義務の改善③公正な評価による待遇改善の促進等④行政による履行確保――の4項目に分けて記述している。

均等・均衡待遇からみていくと、同一労働同一賃金ガイドラインについて、わが国が目指す同一労働同一賃金の実現に向けた労使の取組を促進する観点から、「更なる明確化を図ることが適当である」などとし、ガイドラインの改定内容(見直し案)を提示した。なお、部会の審議に参加した労働側は、合理的な理由のない待遇差の禁止規定の整備などの法改正を求めたが、報告は法改正までは踏み込まなかった。

報告はまた、ガイドラインについて「更なる明確化」を図ると提案した待遇等について、「明確化の趣旨等に関する関係者の理解の促進に資するよう、分かりやすいパンフレット等により周知・啓発に取り組むことが適当である」とした。

待遇差について問題となる具体例も盛り込む

今回の報告の全体としての特徴の1つは、現行のガイドラインには記載がなかった、施行後に最高裁判決がその目的や性質を示した「退職手当」や「家族手当」、「住宅手当」などを項目に加えたこと。また、待遇差についての原則的な考え方や問題となる具体例も盛り込み、事業主が判断しやすいよう工夫を施している。

ガイドラインの見直し案について変更点に絞って順にみていくと、「目的」について書かれた文章では、短時間・有期雇用労働法および労働者派遣法に規定された均等・均衡待遇は、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質、目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化した規定であるということを、明確化する文章を追記した。

「基本的な考え方」の中では、ガイドラインのなかで原則となる考え方や具体例が示されていない待遇であっても、不合理と認められる可能性があることを明確化する記載や、労使コミュニケーションの重要性に関する記載なども追記した。

正社員の労働条件引き下げでの対応が不適切であることを明確化

また、「短時間・有期雇用労働法及び労働者派遣法に基づく通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等の目的は、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の待遇の改善であり、その目的に鑑みれば、当該待遇の相違の解消等に当たっては、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の労働条件の改善を図ることが求められる」ことを盛り込み、不合理と認められる待遇の相違を解消する場合は、処遇レベルの高いほうである通常の労働者の労働条件を不利益に下げるのではなく、短時間・有期雇用労働者・派遣労働者の待遇の改善を図ることが求められることを明確化した。

賞与の性質・目的も留意すべき事項であることを明文化

短時間・有期雇用労働者の各処遇項目に関する記載では、「賞与」の注において、定年退職後の嘱託乗務員には不支給である一方、正社員には支給していることについて「不合理ではない」と判断した長澤運輸事件最高裁判決をふまえて、「賞与については、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的として、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、短時間・有期雇用労働者に対し、通常の労働者との間の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該賞与の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである」と追記し、賞与の性質や目的なども留意すべき事項であることを明文化した。

なお、上記の趣旨の記載は派遣労働者についても追記している。

退職手当ではメトロコマース事件最高裁判決をふまえて追記

「退職手当」については項目として新設した。有期の契約社員(駅売店)と正社員とで退職金の支給に相違があったことについて「不合理ではない」と判断したメトロコマース事件最高裁判決をふまえて、「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的として、労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、短時間・有期雇用労働者に対し、通常の労働者との間の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の退職手当を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該退職手当の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである」と追記し、退職手当の性質や目的なども留意すべき事項であることを明文化した。

「無事故手当」「家族手当」「住宅手当」についても追記

退職手当を除く各種手当では、「無事故手当」「家族手当」「住宅手当」などの項目で追記。「無事故手当」については、契約社員に対して無事故手当を支給していなかったことを不合理と判断したハマキョウレックス事件最高裁判決をふまえて、通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の無事故手当を「支給しなければならない」ことを追記した。なお、派遣労働者にも同趣旨の内容を追記した。

「家族手当」では、契約社員について扶養手当が支給されていなかったことを不合理と判断した日本郵便(大阪)事件最高裁判決をふまえて、「労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければならない」と追記した(派遣労働者にも同趣旨の内容を追記)。

「住宅手当」については、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給される場合、通常の労働者と同一に転居を伴う配置の変更がある短時間・有期雇用労働者についても同一の手当を「支給しなければならない」とした(派遣労働者にも同趣旨の内容を追記)。

継続的な勤務が見込まれるなら病気休職の給与保障も同一に

このほかの主な項目では、「病気休職」について、「通常の労働者に病気休職期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の給与の保障を行わなければならない」との内容を追記。「夏季冬季休暇」について、短時間・有期雇用労働者にも通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を「付与しなければならない」とした(派遣労働者にも同趣旨の内容を追記)。

また、「褒章」について、一定の期間勤続した労働者に付与するものであって、通常の労働者と同一の期間勤続した短時間・有期雇用労働者にも同一の褒章を「付与しなければならない」と記載した(派遣労働者にも同趣旨の内容を追記)。

過半数代表者との意見交換が円滑に進むよう指針等で示すことを提言

均等・均衡待遇についてはまた、「パートタイム・有期雇用労働者及び派遣労働者の意見の反映」について、「パートタイム・有期雇用労働法」(第7条)および「労働者派遣法」(第36条の6)において、事業主または派遣元事業主が就業規則の作成や変更等で、これらの労働者の過半数を代表するもの等に意見を聞くよう努めなければならないとされているが、「これらのものが事務を円滑に遂行できるよう必要な配慮等について、指針等で示すことが適当である」とした。

これに加え、事業主や派遣元事業主は、パートタイム・有期雇用労働者や派遣労働者の意見が反映されるための工夫をするよう努めるべきであることを指針等で示すことが「適当である」とした。

派遣先等に対する適切な待遇の情報提供に向けリーフレット等を活用

同一労働同一賃金を達成するための「労働者派遣制度における待遇決定方式の運用改善」についても、①派遣先による待遇情報の提供②一般賃金の算出方法及び運用の改善③派遣料金交渉の適切な実施④労使協定の周知等――の4項目にわたって見直しの内容を整理した。

このうち、①の派遣先による待遇情報の提供については「派遣先から派遣元事業主への比較対象労働者の待遇等の情報提供が適切に行われるよう、リーフレット等により派遣先及び派遣元事業主に対する周知・啓発に取り組むことが適当である」とした。

③の派遣料金交渉の適切な実施については、派遣先が派遣元事業主からの派遣料金交渉に一切応じない場合は、派遣料金の交渉における配慮を定めた労働者派遣法(第26条第11項)の規定の趣旨をふまえた対応でないことを指針等で示すとともに、派遣料金交渉の場で活用できる賃金等の情報をまとめたリーフレットで周知することを提言した。

法が示す以外の福利厚生施設の利用に対する配慮も指針で示す

「福利厚生施設」に関する均等・均衡については、パートタイム・有期雇用労働法(第12条)が示す給食施設、休憩室、更衣室以外の福利厚生施設について、その「利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるように配慮しなければならないことを指針等で示すことが適当」だと記載。また、これらの指針等における福利厚生施設の一例として「駐車場」を盛り込むことが適当だとした。

「立証責任」は意見の一致に至らず

正規雇用労働者と非正規雇用労働者との待遇差が不合理かどうかの「立証責任」については、部会では、労働者代表委員が「同一労働同一賃金の目的達成に向け、待遇の相違を設ける使用者に相違の合理性の立証責任を課すことを法律上明確にする法改正を行うべき」などと主張したのに対し、使用者代表委員は、企業では待遇改善の途上にあることをふまえ、「今後も現行法の枠組みを土台として、労使コミュニケーションを通じた待遇改善や雇用慣行の見直しを進めるべきである」などと反論。報告は、「意見の一致には至らなかった」と結論づけるとともに、「現時点では、法的枠組みを変更せず、説明義務の改善や、労使コミュニケーションの促進等を通じて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の更なる是正を図ることとすることが適当である」と言及した。

<労働者に対する待遇に関する説明義務の改善>

待遇の相違や理由に関する説明を求めることができるようにする

「労働者に対する待遇に関する説明義務の改善」では、パートタイム・有期雇用労働者および派遣労働者の雇入れ時における労働条件明示事項に、パートタイム・有期雇用労働法(第14条第2項)および労働者派遣法(第31条の2第4項)に基づき、事業主及び派遣元事業主に、待遇の相違の内容や理由などについての説明を求めることができる旨を追加することが「適当である」と明記した。

そのうえで、待遇についての納得性の向上は紛争の防止につながることから、労働者からの説明の求めがない場合でも労働契約の更新時等に待遇差の内容と理由について、パートタイム労働者等が容易に理解できるよう資料を交付することや、理由や内容に関する説明を求めることができることを周知するといった対応を行うことが望ましいことを指針等で示すことが適当だとした。なお報告は、この点について、労働者代表委員から、「労働者からの求めの有無にかかわらず待遇差の説明を事業主の義務とする法改正を行うべき」との意見があったことを併記した。

待遇差の説明方法については、①資料を活用し口頭により説明する方法か②説明すべき事項をすべて記載しパートタイム労働者等が簡単に理解できる内容の資料を交付する方法――のいずれかとし、前者の場合は説明に活用した資料を交付することが望ましいとした。また、個人情報等の観点からこうした資料の提供が難しい場合は、閲覧させる等の工夫をするよう指針等で示すことが「適当である」とした。

<公正な評価による待遇改善の促進等>

公正な評価に基づき賃金を決定することが望ましい

「公正な評価による待遇改善の促進等」では、「公正な評価による待遇改善の促進」「情報公表の促進」「正社員転換支援・キャリアアップ」「『多様な正社員』制度の普及促進等」「無期雇用フルタイム労働者」について整理した。

それぞれみていくと、「公正な評価による待遇改善の促進」については、パートタイム・有期雇用労働者の賃金について言及。事業主がパートタイム・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力や経験に基づいて評価して昇給に反映することや、公正な評価に基づき賃金を決定することが望ましいとした。そのうえで、具体例としてパートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者との間で共通する職務等に応じ、共通した賃金制度や評価項目を設けることをあげて、これを指針等で示すことが「適当である」とした。

派遣労働者の公正な評価について、派遣元事業主は、派遣労働者の職務の成果等の評価、教育訓練やキャリアコンサルティングの実施、就業機会の確保や提供を行うにあたって、その職務の成果等の向上により待遇が改善するよう、派遣労働者の希望に応じて評価結果のフィードバック等に努めること等の留意事項を指針等で示すことを「適当である」とした。加えて、派遣先は派遣労働者の業務遂行状況の情報を提供することにより、派遣労働者の職務の評価に協力することを指針等で示すことが「適当である」とした。

処遇改善の取り組みの状況を自社サイトで公開

「情報公表の促進」については、事業主がパートタイム・有期雇用労働者の処遇改善に関する取組状況や正社員転換制度の実績等を公的機関または自社のWebサイトで公表することが望ましいことを指針等に示すことが「適当である」と述べた。

「正社員転換支援・キャリアアップ」については、正社員転換推進措置に関するパートタイム・有期雇用労働法(第13条)について言及。事業主が、通常の労働者への転換のための制度を設けるとともに、複数の措置を講ずることが望ましいこと、措置を講ずるにあたっては、面談等によりパートタイム・有期雇用労働者の意向を確認し配慮しなければならないことを指針等で示すことが「適当である」とした。

柔軟な働き方の1つとして、職務、勤務地、労働時間を限定した「『多様な正社員』制度の普及促進等」については、「多様な働き方の実現応援サイト」において制度導入マニュアルや事例集を紹介したり、働き方改革推進支援センターにおいて2025年度から、短時間正社員制度等の導入を検討している企業に対するコンサルティングを実施しており、その実施状況もふまえ支援を行っていくことが「適当である」とした。

「無期雇用フルタイム」は枠外だがガイドライン趣旨の考慮を

無期転換労働者も含めた「無期雇用フルタイム労働者」については、同一労働同一賃金の法規定の対象外となっているため、通常の労働者との待遇差の禁止規定について法改正も含め検討されていた。この点について、労働者代表委員は「待遇改善の観点からは、無期雇用フルタイム労働者と通常の労働者との間の合理的な理由のない待遇差の禁止規定を法制的に整備すべき」と意見する一方、使用者代表委員は、無期雇用フルタイム労働者に対して「合理的理由のない待遇差の禁止を設ければ5年を超えて有期労働契約を更新することを控える作用が生じかねない」と意見し、報告は、就業の実態に応じて均衡待遇を考慮しなければならないと定められている労働契約法(第3条第2項)が施行されていることをふまえ、現時点では法的枠組みを変更せず、均等の考慮にあたっては「同一労働同一賃金ガイドラインの趣旨が考慮されるべきであること等」をガイドラインで示すことが適当だと最終的に整理した。

<行政による履行確保>

行政ADRのさらなる利用促進を

「行政による履行確保」については、同一労働同一賃金のより一層の遵守の徹底を図るため、都道府県労働局による報告徴収等や労働基準監督署と連携した取り組みを通じて法の履行確保を図るとともに、各種マニュアルや職務分析・職務評価の手法の活用促進、働き方改革推進支援センターによるコンサルティングの実施などによって、制度周知や企業の取組支援を進めることが適当だとした。

また、裁判によらず公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いを通じて解決を図る手続である行政ADR(裁判外紛争解決手続き)について、利用が十分に進んでいないことをふまえ、「更なる利用促進を図ることが適当である」とした。

<労働側の反応>

連合は「法改正の結論に至らず不十分」との事務局長談話を発表

連合(芳野友子会長)は、報告が公表された12月25日に神保政史事務局長の談話を発表。談話は、パート・有期・派遣労働者の待遇改善に資する方策が示された点については「前進である」としつつ、「法改正の結論には至らず不十分である」とした。

談話はまた、「法改正以降も正社員と正社員以外の者の賃金比率は6割強に留まり直近では差が拡大傾向にあるなど雇用形態間格差が存在し、待遇改善に消極的な司法判断もある現状を踏まえれば、どのような働き方を選択しても納得できる待遇を受けられるようにするという『同一労働同一賃金』の目的達成に向け、法改正による規制強化が必要である」と主張した。

一方、ガイドラインにおける退職金等の項目の新設や、雇い入れ時の労働条件明示事項に労働者が待遇差の説明を求めることができる点等が明記されたことについては、「労使が直面する課題への対応に資するものである」と評価。そのうえで、今回の報告もふまえたうえで、「『同一労働同一賃金』を着実に職場に定着させ、次期法改正につなげていくことが重要」だと強調している。

(調査部)