推定組織率は16.0%で4年続けて過去最低水準
――厚生労働省の2025年「労働組合基礎調査」結果
国内トピックス
厚生労働省が昨年12月に公表した2025年「労働組合基礎調査」結果によると、労働組合に加入している人が雇用者に占める割合を示す「推定組織率」は16.0%となり、過去最低水準を4年続けて更新した。労働組合員数は前年より1万5,000人増えたものの、雇用者も同66万人増えたために、推定組織率は前年より0.1ポイント減少した格好となった。
組合員数は前年比1万5,000人増
調査結果によると、個人加入形式で支部・分会などの下部組織を持たない「単位組織組合」と、個人加入形式で下部組織を持つ「単一組織組合」をあわせた「単一労働組合」における労働組合数は、前年より268組合(1.2%)少ない2万2,244組合となった。
労働組合員数は992万7,000人で、こちらは前年に比べて1万5,000人(0.2%)増えた。組合員数は2018年に1,000万人台に回復したが、2021年からは減少傾向に転じ、2022年からは再度1,000万人を割り込んでいる。
女性の組合員数は前年より4万人増えて354万5,000人に
今回、組合員数は増えたものの、雇用者数(総務省「労働力調査」6月原数値)も6,205万人と前年比で66万人増えたことから、推定組織率は16.0%と前年(16.1%)から0.1ポイント低下し、1947年の調査開始以来、最低の水準となった。推定組織率は2010年の18.5%から9年連続で少しずつ低下し続けていた。2020年には反転して17.1%となったものの、翌21年からは再び低下し、さらに下がり続けている。
なお、女性の労働組合員数は354万5,000人で、前年より4万人(1.1%)増加したが、推定組織率(女性雇用者数に占める女性労働組合員数の割合)は12.3%で、前年より0.1ポイントの低下となっている。
パート労働者の組合員も3万1,000人増の149万4,000人
パートタイム労働者の労働組合員数は149万4,000人で、前年(146万3,000人)に比べ3万1,000人(2.1%)増えた。全労働組合員数に占める割合は15.1%で、前年(14.9%)より0.2ポイント上昇している。推定組織率(パートタイム労働者数に占めるパートタイム労働者の労働組合員数の割合)は、前年と同水準の8.8%だった。
目立つ「宿泊業、飲食サービス業」の組合員数の増加
労働組合員数を産業別にみると、最も多かったのは「製造業」で261万4,000人(全体の26.5%)。次いで「卸売業、小売業」157万4,000人(同16.0%)、「建設業」83万5,000人(同8.5%)、「運輸業、郵便業」80万人(同8.1%)、「公務(他に分類されるものを除く)」71万5,000人(同7.2%)、「金融業、保険業」70万1,000人(同7.1%)などが続いている。
対前年差で増加幅が大きかった産業は、「宿泊業、飲食サービス業」(4万1,000人増、11.0%増)や「卸売業、小売業」(1万5,000人増、0.9%増)など。他方、「教育、学習支援業」(2万人減、4.9%減)と「公務(他に分類されるものを除く)」(1万7,000人減、2.4%減)は減り幅が大きい。
組合員数は全体の7割弱を1,000人以上規模が占める
民営企業の労働組合員数は874万2,000人で、前年(869万5,000人)比で4万7,000人(0.5%)増。これを企業規模別にみると、1,000人以上規模が596万7,000人(全体の68.3%)と全体の7割弱を占める一方で、300~999人規模は106万8,000人(同12.2%)、100~299人規模は52万6,000人(同6.0%)、30~99人規模が15万8,000人(同1.8%)、29人以下規模が2万人(同0.2%)となっている。
対前年差でみると、1,000人以上規模は9万2,000人増えたが、それ以外の規模は減少している。減少数が最も多かったのは、300~999人規模で前年より1万1,000人減った。
連合は前年比1万人増の682万2,000人
主要団体別に、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数をみると、連合が682万2,000人(前年比1万人増)に増やした一方で、全労連は43万5,000人(同1万6,000人減)、全労協は6万7,000人(同5,000人減)となった。
産業別組織をみると、連合傘下では、パートタイム労働者の組織化を積極的に進める「UAゼンセン」(196万1,000人)が前年より2万5,000人増えて突出しているほか、「電力総連」(20万1,000人、同5,000人増)や「情報労連」(19万2,000人、同4,000人増)、「JEC連合」(12万9,000人、同4,000人増)も増加している。他方、減少幅が目立つのは「自治労」(68万9,000人、同1万7,000人減)と「日教組」(18万7,000人、同9,000人減)、「JP労組」(21万8,000人、同4,000人減)などだった。
UAゼンセンは今回の結果について昨年12月24日に発行した政策ニュースで、消費者物価の高騰や深刻な人手不足などの厳しい環境の下、賃金闘争で2年続けて実質賃金を維持したことや、持続可能な税制や社会保障、雇用法制の整備などの企業労使間の話し合いでは解決できない社会的課題に取り組んできたことに加え、「健全な集団的労使関係の確立をめざすUAゼンセン活動への理解が、組織拡大の実績に結びついた」などと分析。「組織拡大の努力は当然のことだが、既存の加盟組合それぞれの組織強化も不可欠な活動」だとして、組合自体の求心力の一層の充実に努める必要性を強調している。
一方、自治労は1月29、30日に開いた中央委員会で確認した「当面の闘争方針」のなかで、「公共サービス労働者の総結集と組織強化」を掲示。「組織強化・拡大のための体制づくり」を進めるとともに、新規採用者等の若年層未加入者や再任用・役職定年等の高年齢層職員、会計年度任用職員等の非正規労働者の組織化を進める考えを列記している。そのうえで、脱退防止対策も強化。とりわけ「共済加入は脱退防止策として極めて有効」だとして共済の推進に取り組むこととあわせて、脱退した職員に対しても、「再度の関係構築をめざし声かけを行うなど再加入に向けて取り組む」としている。
なお、全労連傘下では、「日本医労連」(13万7,000人、同4,000人減)と「全労連自治労連」(11万人、同4,000人減)の減少が大きい。それ以外の主要団体では、「全建総連」(56万2,000人、同8,000人減)の減少が目を引く。
労働組合の存在意義を広く社会に発信し理解と共感の輪を広げる/連合
こうした結果を受けて、連合は12月24日、「連合の組合員数が増加に転じたことは、連合全体で組織拡大・強化に取り組んだ結果だ」などとする神保政史事務局長の談話を発表した。談話は、全労働者の推定組織率が減少していることをふまえ、「中小企業の組織拡大に加え、過半数に満たない労働組合の組織拡大、労働組合の解散・組合員の脱退を防ぐ取り組み、企業再編時の労働組合の対応など、組合員減少の歯止め対策も喫緊の課題であり、女性や若者を含め組織拡大を担う人財育成にも力を入れていく」ことを指摘。さらに、「経営者団体などへの積極的な働きかけを通じて労働組合の存在意義を広く社会に発信し、理解と共感の輪を広げることで、組合づくり・仲間づくりにつなげ、集団的労使関係の拡大・強化に取り組んでいく」考えを強調している。
「対話と学びあい」を徹底して広げて労働組合の仲間を増やす/全労連
一方、全労連も同日、推定組織率を民営企業の規模別でみて、「労働者の過半を占める中小零細企業労働者の組織化が依然として課題となっている」などと危機感をにじませたうえで、「物価高騰や社会保障の切り捨てにより労働者の暮らしがますます困難になる中、全労連への期待は、非正規公務員の全国一斉労働相談ホットラインに寄せられた声にも現れている」などと指摘。「引き続きすべてのたたかいにジェンダー平等推進の視点を位置づけ、労働者同士の『対話と学びあい』を徹底して広げ、たたかう労働組合の仲間を増やすために奮闘する」との決意を表明する黒澤幸一事務局長の談話を発表した。
調査は労働組合や労働組合員を産業別、企業規模別、加盟上部組合別にみた分布状況など、労働組合組織の実態を明らかにすることを目的に毎年実施。すべての労働組合を対象に、6月末日時点での組合員の状況について7月に調査を行った。
(調査部)
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